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【WEB版】婚約者が浮気しているようなんですけど私は流行りの悪役令嬢ってことであってますか?  作者: コーヒー牛乳
-Season2-

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悪役令嬢の未来



そして、夜会で発表があった通り、今後リベラティオ国は宝島と永く同盟関係を築くこととなる。


宝島へ向かう一行は王都から港まで街道を進みながら様々な街に寄り王国の未来を言祝ぐ。人が行き交えば噂も広がり、それは次第に上流から市民まで国内から国外へも広がっていく。


「『リベラティオ国には聖女様がいて、貧民を救い希望を与え、薬学の発展に寄与し、奇跡を独占せず国を導く────だって。ローズって聖女だったんだね?知らなかったよ。聖女の名を乗っとるだなんて上手くやったな』と、あります」


「リーヴァ様、レイノルドお兄様を演じなくて良いのです。とてもお上手ですわ」


先日、わたくしの侍女となったリーヴァ様は照れたように微笑み、テラスに舞い降りた鳥の背を優しく撫でた。


プラージュ伯はこれから真珠の養殖で忙しくなるというのに、私の侍女になって良いのか聞けば私を主人公とした物語を書きたいそうで、どうか傍に置いてほしいと頼まれてしまった。ぜひ劇的に強く優しく勇ましい悪役令嬢で書いてほしいものである。史上最高の悪役令嬢は、やはり史上に名を残さなければいけませんからね。


武闘派のプラージュ伯出身のイメージとは異なり、とても優美な字を書くリーヴァ様がペンを持ち私の返事を待っている。


先ほどのレイノルドお兄様のお手紙の返事を出すのだろう。


「レイノルド殿下は、ローズ様がお相手だとこのようにくつろげるのですね」

「くつろぐというより、憎まれ口を叩けばわたくしが喜ぶとでも思っている雰囲気がありますわね」


やり取りを聞いていたモネがクスクスと笑いはじめ、「仲良しですね」と微笑んだ。

モネはいつもその表情でレイノルドお兄様の横暴を止めないのだから。


モネには戯れ合いに見えるかもしれませんけれど、これは鍔迫り合いのようなものですからね。


うんざり、という顔を返せば、護衛騎士まで小さく笑い始めた。


もう! と拗ねた表情を隠しながらリーヴァ様に向き直り、ビシッと伝える。


「レイノルドお兄様には一言、こう返してくださいませ。『これで終わりだと思わないことね』と。カッコよく、キリッとした雰囲気で、これは捨て台詞ではなく、まだまだこれからという宣言であって────」


お話の途中だというのに、背後から腕が伸び、いつもの香りに包まれる。


「楽しそうだね。レイノルドへの手紙?」

「リチャード様」


あらあら、うふふ、なんて言いながら侍女たちは退出し、護衛騎士まで窓を閉め背を向けてしまった。


リチャード様はテーブルに置かれたレイノルドお兄様の手紙を読み、満足そうな顔をした。


「国内では一部、奴隷売買にスラム一掃に弟王子の国外追放とやりたい放題の悪女となっていますが、ずいぶんと話がずれていらっしゃるようですわね」

「期待通り悪辣に裁いても良いのだけれどね?」


「ことが悪く転べば悪魔とののしられ、成功すれば聖女と崇められ。何かをなそうとすれば、誰かは泣くのです。誰かの物語では正義にも悪にも描かれるでしょう。だからこれで良いのです。わたくしは史上最高の悪役令嬢になるのですから! 受けて立ちましょう!」


ですからその黒いオーラをしまってくださいませ!?


「まったく。俺の聖女様はかっこよすぎる」


リチャード様のキスが髪に落とされた。

そして青空の瞳がこちらを覗き込んで来る。


甘いわ。私の大好きなスコーンに秘伝のクリームを乗せた時より甘いわ。


あまりの甘さに固まっていると、リチャード様は「もしかしてローズからもしてくれるの?」とキラキラと言い放った。


「……わたくし、から……???」

「ああ、史上最高の悪役令嬢となるぐらいだから、やられっぱなしはおもしろくないよね」


うんうんと頷いていらっしゃいますが、何もうんうんではございません。


「いえ、全然、もう充分、むしろわたくしはもう少し節度を保て……」


「────まぁ、ローズには出来ないか」


声色が変わった。それは少し、凄みを含んでいて。

突然流れてきた不穏な空気を察知し顔を上げると、そこには魔王よろしく、とっっっても黒く笑う美形がこちらを見ていた。


ひぇッ!!


ま、魔王……じゃなかった、リチャード様は悪役も裸足で逃げるような笑みで続けた。


「出来ないことは恥ではないよ、ローズは飼い猫のように俺に愛でられていればいい。史上最高の悪役令嬢、という寝物語も手が空いたら聞いてあげるよ」

「なっ……!」


なんですって……?

なんですって……!?


「そんなことをおっしゃって、覚悟はよろしくて!?」


勢いよく宣言すれば、リチャード様は悪い顔を一転させ花開くように朗らかに笑った。

その顔を見て、私は挑発に乗せられやすいのかもしれない。そう反省したわ。







「ローズ、そこは頬だよ」

「……そこは鼻」

「…………顎だね」

「………………ローズ、せめて目を開けてみてはどうだろう。可愛すぎるから、もう俺からしていいかな?」


「ま、まだまだですわ!! わたくしはまだ出来ます! うう動かないでくださいませ!」

「……降参だ。もう一思いにやってくれないか。それかもう今日のところは」

「いいえ。リチャード様に出来て私に出来ないことはございません。覚悟なさってください!!」

「……………………………拷問かな?」


今日ばかりは早くパトリックが来てくれることを願ったとか、願わなかったとか。


約2年ほどお付き合いいただきありがとうございました!

これから電子書籍の発売日に合わせてSSを投稿出来たらいいなと思います(直球)


こんなシーン見たいなという熱いメッセージ待ってます。


ぜひコミカライズ版をお読みいただき、このシーンはこんな場面だったんだと解像度を上げてお楽しみいただけたら嬉しいです。


このシーンが絵になるのかと煩悩が入り、見たいシーンを細かく書いたら想定より長くなってしまいました。困った困った!


カットされないよう頑張りたいと思います。手袋を口で取るシーンとかね。見たいですよね。わかります。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ぜひ広告したの☆☆☆☆☆から感想いただけたら嬉しいです!


また、新しく「お姉様の婚約者を略奪したいと思います」というラブコメ書き始めました。よかったら覗いて見てください


あらすじ→

シュナウザー侯爵家には月と太陽の女神のような姉妹がいる───物語は月の女神のように美しいとされる姉マリアが婚約したことから始まる。妹アンナは姉の婚約者ロアンを略奪しようと立ち上がる。負けられない戦いが今、ここに───!!


※ラブコメです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 初コメ最終話で失礼します! コミック版の方からこの小説版を知り読ませていただきました。正直言って文句の言いようもない作品です!キャラやストーリが面白く、ローズとリチャードの絡みも堪らないも…
[一言] 甘い! 甘すぎて虫歯になりそうでしてよ! ご馳走様でした。 更新が楽しみでした!
[一言] 完結、お疲れ様でした。 そしてありがとうございました♪ これで最後ではないんですね‼︎ わかりました、覚悟してお待ちしております。 次こそは、2人のもっとはっきりしたイチャラブが見られる…
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