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第2章 摩利支天



龍一と秀一のタイマンから一週間が経った……

いつもの四人は瑠奈の喫茶店 「LUNA」にやって来た。

龍一以外の三人は初めてだ。

「すごくオシャレな店ですね〜」

 舞はすごくはしゃいでいた。 

「ありがとう……いつでも来てね。」

「しかし秀一さんと、恵ちゃんこれで決まりだね!?」

と一が言うと、四郎が龍一に

「いつコクるんだ?」

と、からかってきた。

「なんだ、リュウ好きな人がいるのか?」

瑠奈に言われると、龍一は心の中で、ルナさんが好きです!いや愛しています!とっ 言いたいと思った……

 

「リュウ、お前は、顔は悪くないし運動神経もいい・・だがその秀一って子と違って頭の方が……舞ちゃんこいつにいい子紹介してあげてよ。」

「は、はあ〜でも皆彼氏がいるみたいなんです」

舞は龍一と瑠奈がうまくいけばいいのにと思った。 

 「ごちそうさまでした。」

舞達は店を出た……


  次の日、龍一は遅刻をしたため、トイレ掃除をさせられていた……

こんなどこにでもいそうな少年が、街の悪たちから恐れられているとは……              

四郎は舞と一に

「先に帰ろうぜ。」

と言った。

三人は龍一を置いて先に帰ることにした。


帰宅途中、秀一と恵に会った。

 「恵、怪我の方はだいぶ良くなったみたいね。」

 「うん、もう大丈夫よ。」


その時、五人のゾッキーが現れた!

彼らは摩利支天と言う暴走族のメンバーだ!

 

「昨日はこいつらが世話になったみたいだな!?」

ゾッキーの中の一人が言った。

彼は摩利支天の七代目、高橋雅史(18)だ!

 「秀一さん、また喧嘩したんですか?」

と、一が聞いた。

 「昨日、恵にちょっかいをだしていたんでね……でもあそこまでボコボコにしてないけどね」

 「小僧おれは、パンピーでも容赦しねえぜぇ!」


秀一は構えた……

そして二人のタイマンが始まった……ものすごい激戦だ!

秀一は後方宙返りをし、距離を置いた。だが秀一が膝を付いた

だがマサシの攻撃は止まらない……

 「やばいぞ!」

四郎は、震えながら言った。

舞が止めようとした。

だが、マサシが舞を突き飛ばした。

 「族をなめんなよ!コラー!」  

そして、マサシが秀一にとどめをさしに…… 

するととっさに舞は

「私達には龍一君がいる!」

と叫んだ!

ゾッキーの一人が

「龍一……誰それ?」

と言った。

 「てめえらはだまっとれ!おい龍一がいるだと!?上等だよ…てめえら……」

 「龍一君は強いはよ」

 「ああ〜強い……ちょっと前まで俺もヤツが怖かった……」

するとマサシは、ナイフを出し何の躊躇もなく秀一の太ももを刺した!

 「ぐわ〜!」

秀一が叫んだ!

 「やつに伝えろ!明日の土曜集会で待つと……」

そしてマサシ達は去っていった……


 秀一は病院に運ばれた。

龍一も舞から連絡を受け駆けつけた。

 「舞ちゃん、秀一さんをやったのは本当にマサシなんだね!?」

すると舞は、

「ごめんなさい……龍ちゃん、私を殴って……私、龍ちゃんの名前を勝手に……だから殴って!」

 「何言ってんだよ。そんな事出来る分けないじゃん。それにそんなこと関係ない」

 「そうだ瑠奈さんにたのめば……」

と、四郎が言った。  

 「ルナさんは関係ない…これは修羅と摩利支天の戦いだ」

そう言って、龍一は家に帰っていった……


 「おかえり、龍一」

 「ただいま、母さん」

 「兄ちゃんお帰り!ねえゲームして遊ぼうよ」

龍一には七つ下の弟がいた。

 「ごめんな、龍之介、今日はそんな気分じゃないんだ」           

龍一は部屋にもどると、しまってあった特攻服を取り出した。

 「まさか、またこいつを着るとは思わなかった……」


 次の日の夜、龍一は再び金髪に染め「修羅 参上」の文字が入った特攻服を着て、木刀

を持って、家を出た……


途中、龍一の前に一人の男が現れた!

彼の名は西村和也(20) 摩利支天の六代目の頭をはっていた男だ。

 「龍一、本当に行くつもりか?」

龍一はタバコをくわえ火をつけた。

 「カズヤさん止めても無駄ですよ」

 「止めはしない、もうチームも俺には関係ないし……ただ、マサシは強くなった……あいつに、七代目を譲ったのはあいつに俺は負けたんだよ…それに今、特隊をしてるのはトオルだ!」


特攻隊長をしている岡村徹(18)は龍一の二つ上で、龍一が、中学時代の時の親友だった男でボクシングの経験もある強者だ。

 

「関係ないっスよ…今の俺は、カズヤさんが頭をはっていたチームを潰そうとしている男です……トオルだろうと誰であろうと邪魔するヤツはぶっ殺す!」

「龍一!」

龍一は、振り向くことなく、戦場へと向かっていった……


その頃、舞達は瑠奈の所に向かっていた。

「瑠奈さん大変です!龍ちゃんが……」   

舞達は必死で瑠奈に事情をはなした。

 「そう……秀一君の仇を討ちに……あいつを修羅にしてしまったのは私のせい……私はあいつの両親に悪い事をしたと思っている。格闘王が引退したのは、私の父に負けたからじゃない、本当は自分の妻、つまりリュウの母の事を思って、引退したのよ。自分が試合で傷ついた姿を、これ以上見せたくない、だから引退し、技を封印し、リュウに武術を教えなかった……だが私は、あいつに技を教えた。あいつの父、格闘王を倒した天神流を・……最初は、あいつがいじめられていたから、護身術のつもりで教えた……どうせ、すぐに逃げ出すと思ったし……だがあれからもう6年がたった……よく耐えたよ、あいつは……あいつの気持ちは分かっている、けど私は裏の世界で生きる女……あいつには、もっといい女性が現れるさ……さて行ってくるね」

 「私達も付いていきます!龍ちゃんは大切な友達なんです」

 「(……リュウ、いい友達をもったね)」

と、瑠奈は心の中で喜んだ……


すでに、修羅対摩利支天の戦いは始まっていた。

 「今宵の月は、我を狂わせる……」

龍一はそうつぶやいた……

すでに十人以上倒したが、相手は五十人以上いる。

 

「下がれ〜おまえらでは無理だ!」

 「ト、トオルさん……」

ついに龍一とトオルのタイマンが始まった。

 「トオル何でこんな腐ったチームにまだ入やがる!」

 「お前とまさかやる事になるとはなぁ……お前にとって腐ったチームでも、俺にとっては大切なチームなんだ!だから特隊としておまえを倒す!」

トオルのストレートパンチが炸裂した。

龍一はふっ飛んだ

更に、トオルの攻撃が続く……


だが、一瞬のスキを見て、龍一がローキックからハイキックを……

今度はトオルがふっ飛んだ

更にトオルの頭に龍一の木刀が……だがトオルはかわした。

龍一は木刀を投げ捨てた。

 「お前とは、素手で戦いたいからな〜」

すざましい戦いが続いた……

再びトオルのストレートパンチが……だが龍一は紙一重でかわし、関節を決め投げた

そして、トオルの喉にかかと落とし……これは天神流雷鳴……

だが、龍一はわざと外した

「龍一、俺の負けだ……」

ついに龍一が勝った。

龍一は、マサシのほうを見て叫んだ!  

「マサシ!俺とタイマンだ〜」

「てめえら〜、修羅を殺せ!」

龍一は、再び木刀を持ち、マサシのほうへ突進していった……

 「邪魔だー!」

次々と摩利支天のメンバーが倒れていく……

 「(な、何だ!?早すぎて何が起きているのか分からん)」

龍一の動きは、まさに電光石火……


「マ、マサシさん!」

「情けね〜ヤツらだ……龍一あんまりいきがるなよ!」

「マサシ、てめえ〜、いつから俺にタメ口利けるようになった!?」

「てめえの方こそ年下のくせに調子にのるなよ!?」

龍一が、木刀でマサシの頭をかち割ろうとしたが、マサシのナイフが龍一の腹に……龍一は素早く避けた!マサシのナイフ攻撃が続く……

だが龍一は全て避け、マサシの手に蹴りを放ち、マサシはナイフを落とした。

龍一も木刀を投げた。  


その時ようやく瑠奈達が現れた。

そして……

 「臨、兵、闘、者、階、陣、列、在、前、天神流奥義龍神!」

ついに龍一は実戦で奥義を使った。


龍神は水神・・・降りしきる大雨を、避けるのは不可能・・まさに奥義龍神は、降りしきる大雨・・・常識を超えるスピードで相手の急所を確実に攻撃する。あまりの速さで数秒の間、相手を宙に浮かし動きを封じる・・・これが龍神である。

 

「ぐは〜」

マサシは吹っ飛び、そのまま立ち上がる事が出来なくなった……     

「秀一さんの太ももを刺したよな〜!」

そう言うとマサシのナイフを拾って、そして、マサシの胸めがけて……

だが、その時、瑠奈の投げた石がナイフに直撃!

パリン!

と、ナイフが折れる音がした。

「運が良かったな、今の俺を止めれる人がいて……」

瑠奈は、龍一の方に向かっていた……

そして、

 「お前は、ついに私との約束を破って奥義を使った……お前は今日から破門だ」

そう言うと、瑠奈は去っていった……


誰もがあまりの事で言葉を失った……

もちろん瑠奈は、龍一の事を思い、したことである。これで自分の事を忘れ、すばらしい女性に出会い、幸せになってくれると思ったからだ……


 摩利支天との戦いから二週間が経った。龍一は天神流を破門されたことで、ただ今を生きる事しか頭になかった……

最強の格闘家になる夢を忘れて……


龍一が、公園を散歩していたら、真面目そうな高校生カップルを見付けた。

自分には、ああいう青春が今までなかったな〜と思いながら、歩き始めた。

すると、カップルの前に二人組みのヤンキーが現れた。

 「ねえねえ、お姉ちゃんそんなヤツより俺達と遊ぼうぜ〜」

彼氏は震えながら彼女を守ろうとしていた。

 「俺達、君には用はないんだよ。」

その時、龍一が現れた。

 「嫌がってるじゃないですか。」

 「何だ、お前?殴られたいのか?」

 「僕を殴って、気が済むのでしたら、いくらでも殴って下さい。」

ヤンキー達は龍一をボコリ始めた……


その時、四郎と一が現れ、四郎が、ヤンキーの一人に背負い投げ、と同時に一が、もう一人にハイキックが決まった!

 「二人共ありがとう……そういえば舞ちゃんは?」

龍一が聞いた。

 「舞ちゃんは、今日は用事があるみたいで……僕達これから秀一さんのお見舞いに行くんだけど、龍一君も行かない?」

と一が聞いてきたので、龍一は行くことにした。


 その頃舞は、瑠奈の店にいた。彼女は何とか瑠奈と龍一のよりをもどそうと、考えていた。

 「瑠奈さん、お願いです。龍ちゃんを許してあげて下さい」

舞は瑠奈にお願いした。

 「別に私は、あいつが奥義を使ったから破門したわけじゃないのよ。前にも言ったように私があいつを修羅にしてしまった……私があいつの前から消えれば、私の事を忘れ、そして幸せになってくれる……そう思ったからよ」

 「確かに龍ちゃんは最近変わった……今まで、遅刻はするは、授業中はほとんど居眠りしてました……だけど最近は誰よりも早く来て授業も真面目に受けている……でも、なんか、今をただ、生きているって感じがするんです。」

 「そう……でもそれでいいのよ。あいつには、私みたいな汚れた人間になってほしくないの……天神流は、しょせん人殺しの技……あいつがまだ、強くなりたいと言うならば、新戦会に入門させてあげてよ」


 その頃、龍一達は秀一の見舞いに来ていた。一以外の三人はタバコを吸うので四人は喫煙室にいた。といっても、彼らは未成年……

当たり前の事だが、未成年の喫煙は、法律で認められていない。 

 

「龍一君タバコ吸わないのかい?一君達からいろいろ聞いたよ。本当に格闘技を辞めるのかい?そうだ!龍一君、ジャッキー・リーの映画が好きなんだよね!?燃えよ酔拳のDVDがあるんだけど、観る? 」

と、秀一が聞いた。

 「……もう僕は、強くなりたいと思わないんだ……」 

 「龍一君、君がお父さんや瑠奈さんを超えたいと同じように僕や舞ちゃん、四郎君や秀一さん……そして虎次郎も皆、龍一君を目標にしているんだよ。」

と、一が答えた。

 「僕は昔から変わらない……弱虫君なんだよ」


するとその時、一人の男が声をかけてきた。

 「君達も格闘技をやっているのかい?」


その男の名は野村昇児(27)でクローン病という難病を抱えている不良患者だ。


クローン病とは消化器の病気で、主に小腸や大腸に潰瘍ができたりし、狭窄つまり、腸が細くなったり、ろう孔と言って腸に穴が開いたりする。


彼は十八の時にクローン病と診断され、数え切れぬほどの入退院を繰り返し、オペも三回している。今の医学では完治はしないが、主な治療は点滴による絶食や薬物治療、そして外科的治療である。

 

「俺もガキの頃、少し少林寺拳法を学んでいた事があるし、病気してからも実戦空手を学んだ……けど病人は病人、強くなるどころか弱くなっちまった。だから、現実で、格闘をするのはやめて、今は格闘モノの小説を書いて、物語の中で格闘技を続ける事にしたのだ・……俺は君がうらやましいよ。若いし、なによりも健康だ。実にもったいないよ。」

 「……僕は、やはり強くなりたい……そしてルナさんを超えたい!」


その日の夜、瑠奈の店が終わる頃に、龍一が現れた。

 「何しにきた?」

 「破門されて、ここに来れる身分じゃありませんが、僕は一つ、言い忘れた事があります。それは、ルナさんの事が……ずっと前から、あの……その……す、好きです!」

 「……くだらない事言ってないで帰りな。」

 「ハジメ君達から聞きました。破門された本当の理由……そして、ルナさんが真剣に僕の事を考えていたという事……俺は必ず、ルナさんに認められる男になってみせます!」

最後の言葉に、瑠奈の心が一瞬ときめいた……

そして、龍一は帰っていった。










キャラデータ

月形瑠奈・・・幼き頃に母を亡くし、17の時に父と恋人を失い、その後、天神流17代目継承者になり、一人、裏世界を生きてきた女性。

また龍一の師匠である。

名前は僕の好きなバンドルナシーからです。

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