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第14章 さよなら

夕方……

龍一は、弟の龍之介と、ゲームをして遊んでいた。

そんな時、龍一の携帯が鳴った。

瑠奈からだ!

龍一が、電話に出た。

 「もしもし……ルナさん!?」

 「リュウ、お前に会えて良かった」

 「ルナさん?」

 「もう、私がお前に教える事は何もない」

 「ど、どうしたんですか?」

 「私のことは忘れて、幸せになってね。今まで、ありがとう、そして……さようなら……」

そう言って、彼女は、電話を切った。

 「も、もしもし?」


龍一は、瑠奈の携帯に掛けるが、つながらない。

瑠奈の店にもかけたが、誰も出ない。

龍一は、瑠奈のことが気になり、急いで店に向かった。


 龍一が店に着くと、瑠奈の店は閉店してあった。

 「(やはりおかしい……まだ五時過ぎなのに……)」


龍一は、持っていた鍵で、店に入った。

だが、瑠奈の姿はどこにもなかった。

瑠奈の愛車であるフェラーリもなかった。

だが、他の荷物は全てある。

再度、携帯に掛けるが、やはりつながらない。

龍一は、北斗に電話しようとしたが、プレシャスは、今ツアー中であった。

龍一は、舞、一、四郎、さらに、トオルや秀一に電話をし、事情を話した。


しばらくして、五人が現れた。

 「みんな、忙しいのに、ゴメン……舞ちゃん、原田さんは?」

 「電話したけど、つながらないの……自宅にも行ったけど、いなかったわ」

 「そう、ありがとう」

 「龍一、分かったぜ!瑠奈さんと、原田さんは、付き合っているんだ!」

 「四郎、何言っているのよ」

 「四郎君の言うとおりかも……」

 「龍ちゃん……」

 「でも、相手が原田さんなら……それでルナさんが幸せなら……」

 「龍ちゃん、二人が、本当に付き合っているかどうかは、まだ分からないわ。明日は、土曜、学校も休みだし、今からみんなで、探しに行きましょう」

 「もういいんだ……原田さんと幸せになっている……そう、信じたい……今日は、ありがとう。みんな……」

 「龍ちゃん……」

その後、五人は帰宅し、龍一は、店に残った。


 次の日の朝・・五人は、再び店にやって来た。

 「おい、龍一、鍵くらいしとけよ」

 「あっ、四郎君……皆……僕、そのまま眠ってしまったみたいだね」

龍一は、まだ寝ぼけている感じだ。

 「龍ちゃん、大変よ」

 「何が?」

 「来る途中に、一ちゃんと二人で、原田さんの自宅に行ったら、昨日は、友達と飲んでいて、電話に気づかなかっただけみたい」

 「それで?」

 「この卒業アルバムを見てよ!」

それは、原田、北斗、瑠奈達の、中学時代の卒業アルバムであった。

 「わー、ルナさんの中学生時代……初めて見る。ヤンネーだけど、やっぱ美しいなあ……あっ、この人が、武さんか……」

 「もう、後でゆっくり見なさい。それより、コイツを見てよ!」

その男の、写真を見た瞬間、龍一の目が鋭くなった。

 「コイツは……昨日の……そんな……まさか昨日来たヤツが凍矢!?じゃ、ルナさんは、コイツのところに!?」

 「原田さんからの伝言よ。凍矢には手を出すな!と言っていたわ」

 「手を出すなか……そうだよな……俺では勝てないから、ルナさんは……」

 「龍ちゃん……」

 「俺は出来が悪いからな〜、だから……俺にはまだ、ルナさんが必要だ!」

 「そうだぜ!龍一!」

 「今から僕たちも、瑠奈さんのところに行こう」

 「トオル、一君……ありがとう」

 「でも、龍ちゃん、瑠奈さんが、今どこにいるのか、分からないじゃない」

 「おそらく、阿の山……そこにいると思う……ん?誰か来た!」

龍一達は、店に侵入者が入ってきた事に気づいた。

 「泥棒かしら?」

 「俺は、ちゃんと、鍵を閉めたぜ!」

 「ここに来る!」

ついに侵入者は、龍一達のいるリビングに現れた!

金色の髪に蒼い瞳……外国人の男だ。

 「が、外人!?」

 「龍ちゃんの知り合い?」

 「いや、こういう時は、秀一さんに任せよう」

すると、外人は、

 「どいつが、神威龍一だ?」

と日本語で話してきた。

 「俺だ!お前は、何者だ?」

 「凍矢様の影だ!」

 「凍矢の影!?そんなのがいるのか!?それで、俺に何か用か?」

 「お前は、凍矢様と、月形瑠奈という女との、結婚を邪魔する気だろう?」

 「当たり前だ!」

 「二人の結婚を、邪魔するヤツは、殺して来いと命令されている」 

 「龍ちゃん……コイツ強いわよ」

 「ああ、でも今の俺の敵じゃない!」

龍一は、構えた。

 「行くぜ!影やろう!」

二人が同時に、回し蹴りを放った。

バシッ!

だが、龍一の方が、速かった。

男は一瞬ふらついた。


 「(バ、バカな……俺の蹴りより速いだと……)」

男は、再び構えたが、龍一の鋭い目に恐怖を感じ始めた。

 「まだやるか?」

 「ま、待て!俺達は、凍矢様……いや、凍矢を憎んでいるんだ」

 「俺達!?他にもいるのか?」

 「ああ、あの男と戦って、敗れたら、死ぬか、あの男の影になるしかない……そのためには、名前、国、そして、家族までも、捨てなければならない……お前が、あの男を倒してくれれば、俺は自由になれる」

 「ルナさんは、阿の山にいるのか?」

 「ああ、だが、あの男に負ければ、お前も影になるか、死ぬかのどっちかだ」

 「俺が勝つ!」

 「オ、OK!どのみち、任務を果たせなかった俺は、殺される……俺のためにも、勝ってくれ……それまで、どこかに、身を隠している」

男はそう言って、去っていった。

 

「みんな、この戦いは、かなり危険な戦いになる。だから、俺一人で行って来る」

 「龍ちゃん、私たち、友達よ!それに、瑠奈さんは、私にとっても、大切な人……絶対に、私も行くからね!」

 「舞ちゃん……」

 「龍一、俺は、お前の力になりたい。だから、俺も行く!」

 「四郎君……」

 「拳法家として、僕も戦うよ!」

 「秀一さん……」

 「僕だって、新戦会の四天王の一人……破門覚悟で、僕も行く!」

 「一君……」

 「龍一、摩利支天は、武士もののふの守護神だぜ!お前の敵は、俺の敵なんだよ!」

 「トオル……」

龍一の目から涙が流れた。

 「みんな、ありがとう!俺には、もの凄く強い、仲間がいることを忘れていた……」


この一年で、強くなったのは、龍一だけじゃない。

ここに、集まった者達は、皆、常識を超える強さを手に入れた格闘家達だ。

 

「トオル、お前の、クラウンで行こう」

 「ああ、いいぜ」

 「僕は、自分の単車に乗っていくよ」

 「秀一さん、何に乗っているんですか?」

 「フォアだよ」

 「へー、フォアか……よし、俺も、久々に単車に乗っていくか」

 「龍ちゃん、単車の免許持っていたの?」

 「持ってないよ。無免だよ。トオル、俺が、阿の山に行く前に、預けたよな……鍵返してくれ」

 「ああ、お前がいない間、ちゃんと綺麗にしといたぜ!」

 「さすが!」

 「龍一は、何乗っているんだ?」

 「ルナさんから、受け継いだニンジャだよ!あっ、俺、気合い入れたいから……二時間後に、また、ここに集合しよう」

 「龍ちゃん、何のんきな事を言っているの」

 「ゴメン、気合いを入れたいんだ!」

 「よし、二時間後に、また、ここに集合だ!龍一……後で、お前の家に行くよ」

 「別にいいよ。俺が歩いて、お前の家に行くから……」

 「遠慮するな」

 「そうか、じゃあ、頼む」


こうして、龍一達は、一度帰宅することにした。

これから始まる戦いのために……


それから、一時間半……


龍一は、金髪に染め、「修羅参上」の特攻服を着て、精神を集中していた。

 「林、兵、闘、者、階、陣、列、在、前!」

そして、真剣を手に取り、外に出た。

龍一が、外に出ると、そこには、特攻服を着て、タバコを銜えたトオルの姿があった。

 「待たせたな」

 「もういいんだな」

トオルは、三十分前から、龍一の家の前に車を止め、彼が出てくるのを、黙って、待っていたのだ。

二人は、車に乗り、龍一の単車を取りに行くため、トオルは、再び、自分の家に戻った。

これが、二人の友情なのであろう。


 トオルの家に着くと、龍一は、単車にまたがり、エンジンを掛けた。

そして、二人は、瑠奈の店に向かった。

全ては、大切な人を取り戻すために……





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