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僕の大好きだった姉

作者: セズ

僕の実話です。

文章を書くこと自体初めてなので、お世辞にも読みやすい話とは言えませんが、読んで頂けたら幸いです。



僕は女の子が苦手だ。

だけど、姉の事は好きだった。

それが恋愛感情だったのか、何だったのか、この25年間まともに恋愛なんかしてないので今でも分からないが。



小学生の時、母と買い物に出掛け、店の中で母と別れその時ハマっていたビーズを見ていた。

隣におじさんが居たのでおじさんもビーズ好きなのかなと思っていたら、股間を触られた。

一瞬何が起きたか分からなかった。

呆然としてるとそそくさとおじさんは店から出ていってしまった。

数分後に母が来て、買うもの決まった?と聞いてきた。

おじさんに触られた事を話した。

その後警察の人が来て、色々聞かれたけどおじさんの顔も見てないし、当時その店に監視カメラはなかったので、結局捕まらなかった。

泣きながら家に帰ると、姉が玄関まで来た。

「あれ?拐われたんじゃないの?」なんて聞いてきた。

母は拐われたんじゃなくて、触られたのよ、というとふーんと言って、自分の部屋に戻っていった。





中学に入り、僕は学校にあまり行かなくなった。

親は共働きで先に出ていってしまうし、姉も高校に行くために電車通学なので必然的に僕が1番後に出る事になる。

学校に言っても楽しくないし、家でアニメを見ていた方が楽しかった。

アニメを見た後に遅刻して学校に行ったり、1日中アニメを見てるそんな毎日だった。

そんなんだから、見た目も特に気にしなかった。


そんな僕を姉は嫌った。

姉のバイト先に行ってみようと言う計画が家族で持ち上がったのだが、皆は来ていいがお前はダメだと言われ、意味が分からなくて泣いた。

姉は母親に注意されたが、悪びれた素振りもなく結局計画は無くなった。


僕を嫌ってたはずだったが、ある日キスをされた。

夕飯の前の一瞬だった。

姉は初めて彼氏が出来て、浮き足立ってたのかもしれない。

姉にとって、そのキスが初めてだったのか、彼氏とした後なのかは分からないが、僕のファーストキスはその時奪われたのだった。

それから、態度も特に変わることなく、僕の事を嫌っていた。


学校行かずにアニメばっか見てたので、成績は良くなかった。

なので母は塾に行かせた。

最初は新しい友達も出来て楽しかったが、やはり見た目の所為か、虐められるようになっていった。

筆箱のペンが無くなってることなんて、しょっちゅうだった。あとは、トイレに呼び出され暴言を吐かれたりした。

ある日、珍しく教室が生徒でいっぱいになっていた。

皆友達同士で座っていて、僕の隣の席だけが空いていた。

始まるギリギリに僕を虐めてた奴が来た。

座れる場所は僕の隣しかない。

奴は言った「こいつの隣に座るくらいなら死んだ方がマシだ!」

それから、そいつが隣に座ったのか誰かが代わりに座ったのかわからない。覚えていない。

もう無理だと思った。帰ってから母に言った。

結局その塾は辞め、虐めてた奴も辞めさせられたらしい。

虐めてた奴の1人が同じ学校だったが、関わらないようにした。

その子は特別仲が良かったわけじゃなかったが小学生の時は友達だったはずだった。

だから塾に通い始めてからも仲良くしようとした。

結局裏切られるなら、友達なんて要らないね。

その後そいつからは謝られたが、謝ろうが何しようが今までの事を消せるわけじゃない。

いいよと言ったが、許す許さないじゃなくて面倒くさくなっただけだった。


時は過ぎ、体育祭が始まった。

楽しかった。で、終わりたかった。

塾長を見かけた、同級生が僕が居なくなった後に入ったらしく、それを応援しに来たみたいだった。

あの後親と僕にきちんと謝ってくれて、虐めてた奴を追い出すから残ってくれって言ってくれて、いつも笑顔で優しかったあの人と久しぶりに話したくなった。

今塾に通って居る同級生と笑顔で話してた。

話が終わったのを見て声をかけた。

けれど、話しかけたら笑顔が無くなった。

話した内容は覚えていない。

でも、迷惑かけたお前がなんで俺に話しかけに来たんだ?みたいな事を言われた。

いつも優しかったのに、

ますます殻に閉じこもった。





高校に入ってからも、学校に余り行かず、アニメを見て過ごしていた。

姉は思春期を過ぎたのか、東京の大学に行って一人暮らしを始めたせいか、少し優しくなった。

たまに東京の姉の家に泊まりに行った。

前の彼氏と別れ、違う彼氏が出来たらしい。

それがよかったのか、悪かったのか、未だに分からない。


僕も多少は見た目を気にするようになった。

だからと言って恋人は出来なかったが。




姉が彼氏と別れたらしい。

彼氏の方に新しい女が出来たのか分からないが、彼氏の方から振ったらしい。

姉は荒れていた。

ビッチになったかも、なんて冗談?を言っていた。


1ヶ月か、もっと長かったかもしれないが、姉は彼氏とよりを戻した。





僕は頭が悪かったので、専門学校へ行った。

そこは女の子ばっかりだったが友達も出来た。

でも、目の前で友達同士が遊ぶ約束をしていても、僕は交ぜてくれなかった。

目の前で楽しそうに話してるのに会話にも入れて貰えなくなった。

そんな日々に耐えられず、休学した。


休学してからは、人生初めてのバイトをした。

先輩と話したりするのも初めてだった。

色々教えて貰い、頑張ってたと思う。


店長もいい人だった。

だけど、皆店長が嫌いだったみたい。

皆店長より前からこのバイト先に居るらしく、店長が居ない時は、〇〇大学なのに使えない、とか色々愚痴を言っていた。

理由は忘れたけど、ボイコットする話になっていた。

すっごいちょっとした事だったと思う。

この店で1番長く働いてるおばちゃんが提案したらしく、皆それに賛同してた。

悲しかったが、1番下っ端な僕にはどうする事も出来なかった。

おばちゃんがその話を店長にすると、事務所で膝を抱えて店長は泣いたらしい。

それをおばちゃんは楽しそうに言い触らしてた。


店長はほかの店舗に移り、違う店長になった。

その人も前の店長の悪口を言う。

嫌いじゃない人の悪口を聞くのは辛かった。


復学を理由にその店を辞めた。




専門学校に復学した。

前のクラスより、皆優しかった。

遊びに誘ってくれる友達もできた。


姉は就職したが、ブラックだったらしく早く辞めたいと嘆いていた。

そして、1年でその会社を辞めた。

大学から付き合っていた彼氏と住み始め、彼氏は無職を許さなかったらしくバイトを始めた。

詳しくは分からないが、そのバイト先はいい人ばかりだったみたい。よかった。


そして、1年くらい経って結婚した。

彼氏、元い、姉の旦那さんはいいとこの息子らしく盛大な式を行った。

姉は凄く綺麗で…綺麗だった。


昔から手芸が好きだったので、姉にリングピローを作って渡したらよろこんでくれた。






さて、僕はこの頃、就職に失敗し、また新しい専門学校に通っていた。

始めて独り暮らしを始めた。


クラスは自分入れて6人先輩入れて14人の少人数だった。

何処でも最初は楽しかった。

課題をやる部屋が先輩と一緒なので、先輩達と仲良くなった。

それが気に食わなかったのか、ただ単にぼくが気に食わなかったのか、同級生の女の子にやっかまれた。


研修旅行は日程と場所は決まっているが、そこをどう行動するかは生徒が決めるらしいのだが、何故か僕がそれを計画する事になってしまった。

他の課題がある中、しおり作りを頑張った。

今までで1番頑張ったと思う。

幾つかある島をフェリーで移動するので、その時間も視野に入れて、2泊3日の予定を調整する。

嫌われているのに態々同級生のとこに行きたくないので先輩とばかり交流してたせいで距離がより空いてしまった。

なので、手伝ってほしいなどと言えなかった。

一応、行きたい場所や食べたいものなどは聞いたが、ここが行きたいなど、なかなか出ず、結局1人で計画した。


先生に見せ、却下されを繰り返し、やっと完成し、安堵した。


前日なかなか寝付けず、結局オールして行った。

研修旅行といっても、旅行なので楽しかった。

多少ぶつくさ言われたけど、2日とも夜はコンビニで酒を買って、先生と生徒一緒に呑んだくれた。

楽しかった。




先輩に告白された。

人生2度めの彼氏だ。


といっても、1度目は告白されて付き合って、2度めのデートでヤって、気持ち悪かったからその場で別れた。

初めてで口の中に入れられ、1日中口の中が青臭い味がする気がして最悪だった

あの時は20歳すぎて処女という事に焦っていたんだ。


身体とか関係なく、一緒にいて楽しい人がいいと思ったし、先輩が卒業したら寂しいと思いOKした。


クリスマスが近くなり、先輩は僕の家に遊びに来たいと言ってきた。

バイトもあるし、部屋が汚いから無理だと言ったが食い下がらず、バイト終わるまで待ってるからとか言い始めたので、バイトが夜からなのでその前ならいいと答えた。

平日は学校あるし休日はバイトをしてたので、ちゃんとしたデートが初めてだった。

でも、この時気持ちは冷めていた。

ただやりたいだけなんだなと、それならホテルに誘えばいいのにケチってるのか、クリスマスだから無理だったとは思うが、


卒業制作をしている先輩は忙しそうだった。

私も課題があったし、バイトもあったのでどんどん距離が離れていった。

そんなこんなで別れた。


2年になって、先輩方が居なくなり、居場所が無くなった僕はまたあまり学校へ行かなくなった。



そんな中、姉は子供を妊娠した。

皆嬉しそうにしてた。

「男の子と女の子どっちかなー!」

「僕は女の子だと思う!」

姉に似た可愛い女の子が生まれてきて欲しくてそんな事を言った。


姉は僕を嫌いという感情はもうなかった。

昔は思春期とかも相俟って色々あったけど、僕は姉を嫌いになれなかった。

ずっと好きだったからこそ、幸せそうにしていてくれて嬉しかった。



僕も卒業制作の時期になって、先生と相談しながら作っていってた。



そんなある日、疲れて寝ていた所に母からの電話があった。時刻は深夜2時、こんな時間にかけてくることなんてまず無い、

眠気まなこで通話ボタンを押すと、姉が死にそうだと言われた。

何を言ってるのか分からなかった。

今車で向かってるから、明日病院来て!と言われた。

そのあとは眠れなかった。

大丈夫大丈夫、母が大袈裟なだけだと思いたかった。

思えなかった。

あんな涙声の母の声は聞いたことが無い。


病院に着いて、姉は集中治療室に居るらしくそちらへ向かった。


そこでの姉は、あの可愛らしい顔ではなくなっていた。

顔や手、足も身体全体がパンパンで血が流れてしまうらしく、血を大量に入れられた後だった。


その日旦那さんは、夜勤だったらしく、家に居なかった。

姉がなんか変と旦那に電話をした。丁度電話に出れて、上司に言ってすぐ帰ったらしい。


帰ると姉は倒れていた。

そこから110番して、それに従って旦那さんは人工呼吸をした。

それから程なくして救急車が来て、一命を取り留めた。

4、50分息がなかったらしい。



お腹にいる子供は既に亡くなっていた。

子供が死んでしまい姉が倒れたのか、姉が倒れたから子供が死んでしまったのかは分からなかった。

姉も一命は取り留めたが、まだどうなるか分からない。

そんな中、医者が「今の状態は安定してますが、今後どうなるかは分からない。良くなるかもしれないし、悪くなるかもしれない。

ですが、安定している今のうちにお腹の子供を取り出した方がいいと思います。」

と言った。

母はお願いしますと言った。

僕もその方がいいと思った。

死ぬ可能性は0じゃないが、子供を取り出した方が可能性は上がる。ならやってもらうしかない。


そうして手術が始まった。

長かったような、短かったような、そんな時間が流れていき、手術は無事終了した。


寝たまま起きない姉に母たちは子供を抱っこさせた。


姉の子供のお葬式が初めて行ったお葬式だった。

お葬式ってもっと、悲しい感じなのかと思っていたのに相手の親やうちの親は普通に世間話をしている。

病院の待合室でも、ずっと喋っていた。

黙って悲しめないの?その場所に居るのがすっごく嫌だった。


後1週間ほどで生まれてくるはずだった命も消え、姉も生死の境、こんな状況で課題や卒業制作に手をつけられるはずもなく、学校へも行かずに部屋に籠った。

子供じゃなくて僕が死ねばよかった。

昔から死にたかった。

でも、自分で死ぬのは怖くて、死ねなくて、惰性で生きている。

姉の代わりにもなりたいと思った。

でも、そんな事は出来ない。毎日そんな事を思っていた。


時々姉の見舞いに行った。

ご飯を買いに行く時と見舞いに行く時しか外に出なくなった。

家では、ずっと千羽鶴を折っていた。

気休めだが、なにも出来ないから、これしかすることが出来なかった。


痙攣し呼吸器を噛み、前歯は無くなった。

首に管を通し、直接呼吸器を取り付けられる事になった。


数ヶ月後、姉は意識を取り戻した。

だが目は虚ろで、どこも見ていない。

話しかけても何も言わない。

医者からは一応意識は戻ったが、このまま植物状態が続くだろうと言われた。

でも、目を開いてる。少し希望が見えた。

その日病院から帰って久しぶりに学校に行った。

玄関で唯一友達と呼べる人と会ったので声をかけた。

聞いて欲しくて、誰かに話したくて、でも心配されたくなくて、いつも通り元気にを心掛けて、姉の話をした。

彼は僕の話を聞き、「今食べてきたケバブの5倍重い話だな」と言った。

何も言えなくなった。

彼は僕より若く、未成年だった、だからしょうがないのかもしれない。

だけど、僕は、


その後久しぶりに学校に入り、皆と少し話をした。

彼の様に他の人からも言われたらと考え、姉の話はしなかった。




学校は卒業出来なかった。

あの後学校には数回しか行ってないし、色々サボっていた時もあったし、卒業制作もやらなかったから仕方ない。


母は姉が心配なのに、僕まで心配をさせるな実家に帰ってくる様にと言って、僕もそれに従った。


実家に帰って、就職しようとしたが、僕が弱かったせいで出来なかった。

無職になった。




この頃には姉も喋れるまで回復していた。

毎日リハビリをして身体を動かしていたのがよかったみたいで、段々と歩けるようになっていった。

だけど、顔は昔みたいに可愛くなかった。

顔の作りは一緒なのに、何処と無く違う。

母もそう思ったのか、病気すると顔も変わるのかななんて話していた。



そして遂に退院した。

旦那さんは仕事で居ない時の事を考えて、姉を実家に連れてきた。


昔の記憶は多少あった。

旦那さんや家族の事は覚えていても、子供を身篭ってた事は覚えていなかった。

小学生低学年の算数もよく間違った。

最近のことはすぐ忘れてしまい、携帯のアプリにメモをしていたが、その事すら忘れてしまった。


ある日運動の帰りにスーパーに寄り、買い物をした。買い物が終わり、買ったものを袋に入れていた時、机の上に座った。

駄目だよと言うとなんで?と聞かれ、立とうとしない。

つい声を荒らげてしまった。

姉は不思議そうにしていた。

僕の知ってる姉はもう居ないんだなと思った。

大好きだった姉、目の前に居るのに違う人に感じる。

僕は家に帰ってから泣いた。


それから数日後、旦那さんは姉を迎えに来た。

これ以上一緒に居たら耐えられなかった。

幾ら姉でも、僕の中であれは姉ではなくなっていた。




旦那さんと一緒に時々帰ってきた。

会う度に表情も見た目も元に戻っていっている。

でも違う。


旦那さんの事は離婚もせず、献身的に姉に尽くしてくれた事は感謝してる。

僕だったら駄目だったと思うし、


でも、大学の時の別れた時に違う女に行っていたら、こんな事にはならなかったんじゃないかと今でも思う。

姉の旦那さんの事はこれから一生好きにはなれない。

そして、大好きだった姉の事もこれから好きになる事はないと思う。




僕と言ってますが、作者は女です。

こんな拙い文章を読んでくださってありがとうございました。

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