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人間関係ニャビ☆彡  作者: 山下です(^^♪
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第五話 特に初対面の相手に

 心が変われば行動が変わる。

 行動が変われば習慣が変わる。

 習慣が変われば人格が変わる。

 人格が変われば運命が変わる。


ウィリアム・ジェームズ(心理学者・哲学者)

デールは小さいと言っていたが、近くまでやってくると、町は優人が思っているより大きかった。優人の通っている大学の敷地を4つ、くっつけたくらいの面積があるだろうか。


想像していた教会、武器と防具屋の他に、飲食店、服屋、酒場、劇場、人々の住居が何棟もある。宿屋だって、1つや2つではなさそうだ。


…これは、かなり大きな町なのではないか?


マントを羽織った旅人や、行商人が牽く馬車などが、ちらほらと町を出入りしている様子が見える。町の中には、それなりに人も居て、栄えているようだ。


「デール!ちっさい町って言ってたやん!結構大きいと思うんやけど?」


「ユウトよ、東京や大阪の街と比べれば、取るに足らない大きさであろう。それに、この世界には、あの町の数倍の規模の『王都』もある」



なるほど、都市と比較するとこの規模は確かに小さいか。と、納得する。


「そうなんや。ところで、なんでこんな草原の真ん中に町があるん?」



優人はふと気になって聞いてみた。


「ここは、王都からそう遠くない位置にある。そして町と点対象の方角には、ダンジョンや国境がある。冒険者たちの中継地点として丁度良いこの場所に、町が出来て栄えたのだ」



ふむふむ、旅人の事を冒険者と呼ぶのだな。心の中でメモしておこう。

それにしても、町まで歩いてくる時には冒険者に出会わなかったが…


「我々が来た方角には、冒険者にとって有用なものは無い為、ここまで誰とも出会わなかったのだろう」


「そっか。ん?じゃあなんで歩かなアカンのに、わざわざ町から遠い場所に転移したん?」


「ふふ、異世界からの転移は少々派手で目立つからな。穏やかに済ませたかったのだよ」



雷が落ちて転移したように感じたが…周りからはどんな風に見えるのだろう?

そのような話をしながら歩いているうちに、2人は町の入口までやってきた。


「町まで来たのはええけど、ここで何をしたらええん?」


「うむ、まずは冒険者登録所で冒険者として自分の名前を登録すると良いだろう」


「冒険者登録所?」



アフクシスの世界では、冒険者として登録する事で、クラス(職業)に就く事が出来るようになるらしい。


デールがそうであったように、異世界転移したユウトは、特別なクラスにつける可能性があるそうだ。


ネコの姿をしたデールが、どのようなクラスについているのか気になった。


それよりも、どうやって冒険者登録したのか気になって聞いてみたが、親切な人に登録してもらった…との事だった。喋るネコに違和感を覚えない親切な人など居るのだろうか。それともこの世界のネコは喋るのが普通なのだろうか。


まぁ些細なことはおいておこう。今は一刻も早く、自分の能力を確かめたい。


「冒険者登録所はどっちにあるん?」


「私にもわからん。そこにいる女性に、道を聞いてみてはどうだろう」



デールが向いている方向に、一人の若い女性がいる。

あの人に道を聞け、だって?


「結構勇気いるなぁ…」


「大丈夫だ、やってみるといい」



デールはそう言うものの…外国ではどうかわからないが、日本では道行く人にあまり声など掛けたりしないのではないか?聞くならお巡りさんや、駅員さんだろう。しかも道を聞こうとしている相手は異性。ナンパと思われるかもしれない。


まぁ、ここはファンタジーの世界だし、大丈夫なのか?ゲームでも、町の入口にいる人は「やあ、ここは○○の町だよ!」って言ってくるしな。


某有名RPGを連想して、弱気だった気持ちが少し前を向く。

よし、やってみるか。


「あ、あの…」


「はい…?」



話を聞いてくれたのは良いが、怪訝な顔でこちらを見てくる女性。

明らかにこっちを警戒しているような声と表情だ。


(「くぅ…ゲームのようには…ならへんのか」)



心の中でそう思いながらも、この状況に負けじと道を聞いてみる。


「えっと、冒険者登録所の場所を聞きたいんですが…」


「ああ、でしたらここをまっすぐ進んで、右手すぐですわ。では失礼します…」



そういうと、女性は歩いていってしまった。

…なんだか感じの悪い人だなぁ。


まぁ、冒険者登録所の場所を聞けたし、とりあえず行ってみるか。

「じゃあいこっか、デール」



そう声をかけて歩き出した。と、急に違和感が体を覆う。


(「あれ?」)



優人の目の前がグニャっと歪み、暗転した。めまいか?と思ったその刹那、優人はつい先程まで自分が立っていた、町の入口に戻っていた。


「え?あれ?」



キョロキョロと周囲を見渡す優人。あの冒険者、さっきも見たな…同じ道を通りなおしている?なんで、そんなことを?


あ、向こうにいるのは、さっき道を聞いた女の人だ。

あの場所に戻ってきたのか?


「少々時間を戻させてもらった」



横でデールがしれっと、そんな事を言う。


「お前は神かっ!?」



人類史上において、誰も成し遂げていない事をやってのけたと言うデールに、流石にツッコミを入れた。


「この世界では、私は普通の魔法使いだ。他にもこのくらいの事を出来る者はおるよ」



魔法、恐るべし。てか、デールは普通とか言ってるけど、絶対普通の魔法使いじゃない。時を戻せるとか反則だろう。


「時を戻しているのではない。今の我々の思念だけを取り出し、数分前の時に存在する我々の中に、送り込んでいるのだ」



優人には、デールの言っている事の意味が、よく分からなかった。

その様子を見て察したデールは、続けた。


「つまり、時を遡っているのは我々だけだ。世界全体の時を戻す力は、私には無い。そして、我々の思念を戻せるのは、およそ3分前までだ。次にこの力を使用できるのも、戻した分と同じだけの時間が経ってからだ。連続して時を遡る事はできない」



世界全体の時間を戻すのも、自分達だけが前の時間に行くのも、結果同じじゃないか?と、思った優人だったが、これ以上デールを追求しても、結果は変わらなさそうだったのでやめた。


「ところで、なんで時間を戻したん?」


「ようやく本題に入れるな。あの女性、なぜユウトの事を警戒したと思う?」


「え?」



結果として道が聞けたからいいのでは?と、どこかで思いながらも、デールに問われた事について考えた。


「そうやな、もともとあまり人の事を信用してないから、ちゃうかな?」


「うむ、そうかもしれん。それでは、仮にユウトがあの女性の立場だったとしようか」


「え?うん」



相手の事?あの女性と自分は、性別も住む世界も違うが、大丈夫だろうか?


「ユウトがあの女性だったら、おずおずと道を尋ねてくる男性の事を、どう思うだろう?」


「んー、暗そう…とか、なにコイツ、危ない人?…とかかなぁ」


「うむ、正解だ。あと、ユウトの着ている服が、この世界では見慣れないものだからというのもある」



…なるほど、確かに変な服を着たやつに、陰気な感じで話しかけられるのは、誰だって嫌か。


「さて、以上を踏まえて先ほどの女性には、どのように声をかければ良いと思う?」


「笑顔で明るく元気に、ちゃうか?」


「うむ、正解だ。では丁度先ほどの時間だ。実際にやってみるといい」



ホンマかいな…かなり恥ずかしい気がする。てか、レクチャーこれだけ!?

ええい、こうなったらヤケだ!


「こんにちは!道をおたずねしたいのですが」


「え?あ、はい!」



自分が思う出来る限りの笑顔で、元気よく声をかけてみた。


「冒険者登録所は、どこにあるのでしょうか?」


「ああ、でしたらここをまっすぐ進んで、右手すぐですわ」


「そうでしたか、ありがとうございます!」



スラスラとお礼まで出てくる自分にびっくりした。2回目とはいえ、やれば出来る子なのだ。YDK。Yareba Dekiru Ko。どうでもよい単語が頭をよぎった。


「あ、でもこの時間はまだ空いていませんから、あと少ししてから行った方がいいですよ」


「え?そうなんですか?」



どうでもよい事を考えたていたら、何だかよく分からないけど、追加情報までもらう事ができた。


「丁寧に教えてくれてありがとうございます!」


「いえいえ、グラペブロの町を楽しんでいって下さいね」



そういうと、女性は歩いていってしまった。


さっきと違う結果になった…。優人は驚いた。どうして今回は冒険者登録所がまだ空いていない事や、この町の名前を聞く事ができたんだ?


「分かったかな?自分の行動を変えるだけで、得られる結果が変わる。このアフクシスの世界だけでなく、地球でも同様の事が言える。」



デールがすっと横に並び、話しかけてきた。


「うん、あの人めっちゃ良い人やな」


「ふふ、1回目は『…なんだか感じの悪い人だなぁ』と、思っただろう?」


「う…なぜそれを!」



どうやら、先ほどはそんな表情をしていたらしい。


「ところで、なんでさっき教えてくれへんかった事まで教えてくれたんやろ?」


「笑顔とは、それを向ける相手への好意の現れなのだよ」



疑問に答えるデールの話を聞きながら考えた。なるほど、やはり笑顔が影響していたのか。…しかし、ひとつ修正しておかなければならなさそうだ。


「ちょっとまて!流石に初対面であの人を好きになってへんで?」


「好き、ではなく好意だ。相手の事をいい人だなあと思う気持ちを指す」



よかった。少しホッとした。


「そしてここに『ミラー効果』または『好意の返報性』が加わる。これは、好意を持つ相手のしぐさや表情、あるいは動作といったものを、ついつい自分が無意識に真似てしまう、というものだ。」


「なるほど…んー、つまりその2つの効果があわさると?」


「うむ、自分が笑顔で心を開いて話しかけると、相手もついつい笑顔で心を開いてしまうのだよ」



なんとシンプルな。


「そうか、それで2回目は相手も明るく親切に話してくれたんか…」


「その通りだ。今回は取るに足らない小さな情報が変わっただけだが、時に運命が変わる事もある。覚えておくと良い」



そしてデールは続けた。


「もちろん笑顔は、相手が怒っている時など、全ての場面で通用するものではない。人の感情に波風が立っていない場合や、特に初対面の相手には有用、と覚えておくと良い」


「OK!わかったで!」


「では、冒険者登録所が開くまでの間、グラペブロの町で、この世界の社会勉強をするとしようか」


「せやな!よろしく、デール先生!」



2人は、足取り軽く歩き出した。


【用語等解説】

笑顔の効果 …自分の笑顔は、相手に対する好意の現れ

ミラー効果 …自分に好意を寄せる相手を無意識に真似てしまう

好意の返報性…相手に好意を示すと、自分にも好意で返してくれる


【詳細と活用方法】(人間関係ナビ☆彡)

http://for-supervisor.com/human-relationship/henpou-and-mirror/

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