ちっこーちー(トリック オア トリート)!
一部、ライトではありますが下品な表現がございます。お食事をなさっている方はご注意ください。_(._.)_
藤あゆみ様主催の「ハロウィン2018」企画参加作品です。♪
―――――こんなはずでは…………。
忘れもしないおよそ十年前のハロウィンの日。
「ここにしよう」と決心するのにかなりの覚悟が必要だった。「ふつう」が一番なのでは?何度も自問を繰り返した。近所の子はほとんど全員が歩いていけるすぐ近くのところに通っていた。毎月のお月謝だってかなり腹をくくった額だった。だが、英文科を出たのに英語が話せない自分を思うと、やはり、幼少期の教育も大事なのでは、と迷いに迷った末、飛び込んだ世界だった。
何の話かと?
背伸びしてうちの子を入れたインターナショナル幼稚園の事だ。
入園前の説明会で園長が言った。
「子供たちはすーぐ英語しゃべりだします。お母さん方、我が子の発音の良さにびっくりします!」
そりゃ確かにびっくりしたけど。
「むぃっくぃぃめぁうす」(←ミッキーマウス)
「くぁるぃふぉぉにぁ」(←カリフォールニア)の二つにはね。
外国人保育士が主に子供を見ます、というふれこみにも間違いはない。
だけど、多くの外国人先生が、二、三か月でやめては入れ替わる。中には、もしかして子ども嫌いなんじゃないのか?と思われる保育士もいる。
時には大泣きする子供のそばで、外人保育士同士でおしゃべりをしていたりした。
『園内では日本語禁止』のはずが、子供らは勝手に子ども同士で日本語で話をして、「せめて標準語で」と育てていた娘には地元の方言がどんどん身についていく。
娘:「○○ちゃんがいっとったっちゃがー」
私:「……………(泣)」
子供らはでっかい声で習った英語の歌を歌う。だが、ところどころ
「かみひこーきー♪」
「しったかぶーりー♪」
意味不明の日本語に歌詞が入れ替わっている。外国人先生の英語が聞き取れなければ、知ってる日本語に置き換えるだけだった。
ああ…………。(泣)
そして極めつけはハロウィン。その日は、園で子どもたちの仮装パーティーが開催されることになっていた。
この日のために、我が子の衣装を完全手作りする人もいた。市販品を購入する人も、ほとんどの人が何か一工夫して、この日のために何日も前から準備に余念がなかった。
そして、当日。
外国人先生の発音する「トリック オア トリート」が、なぜか園児たちの口から出るときには、ほぼ全員「ちっこーちー」。
やんちゃな男の子に至っては「しっこーしー」と言ってげらげら笑いながら、その子のママが「苦労したの」と言っていたパイレーツの衣装の、おズボンをお脱ぎになってフリ○ンで走り回っている。
おそらくその子の脳内では、「ちっこ→しっこ→放尿→チ○チ○」。
その子のママは真っ青になって「○○君、やめてー」と泣きながら我が子を追いかけていた。
…………そうしてママたち全員ドン引きの、本場仕込みのはずのハロウィンの仮装パーティーは幕を閉じたのだった。
Happy Halloween !
お読み下さってありがとうございました。<(_ _)>