プロローグ
初投稿!よろしくお願いします!
目が覚めたら、青い空が見えた。
冷静に考えてそんなことはあり得なかった。
何故なら俺は正月の特番を見ながら寝落ちしたからである。第一、酒を飲める歳でもない。泥酔して外に出たなんて阿呆らしい話も考えられないのだ。
寝転がったまま見渡せる範囲で視界を確認するが、危険そうなものはない。というか何もない。
広がるのは辺り一面の草はらと青碧の空。
「・・・まあいいか。夢みたいなもんだろ」
ごろりと寝返りを打って瞼を閉じる。さわさわと頰に当たる草が、その匂いが心地いい。
うーん、いい気持ちだー。
そういえば大学受験の期間になってからというもの、リラックスできる時間があまりなかったかもしれない。この際、夢を堪能してやろう。
と、本格的におねむであった俺は、
がぶり。
「ーーーっ!」
頭を齧られた。
大きなナニカに。
頭蓋を、こう、縦に。
「なんっだ!!?、」
慌てて目を開けるものの口腔内だからか視界は真っ暗。何も見えやしない。ただ、それはそれは強靭な牙が俺の頭を噛み砕き、脳髄を爆発させようとしているのは生存本能的に分かった。
「痛えんだよ・・・!!」
がしりとその顎を手のひらで強引に引っ張る。
もう何が何だか分からない。
「うおおおああああああああっ!!」
渾身の力で引っぺがすと案外すぐに痛みの原因はなくなった。
「はあ、はあ、一体何が」
慌てて噛まれた方向に目を向けるが、そこにはもう何もいなかった。気配など微塵も感じられない。静寂のみが俺を包む。
「?、?何なんだよくそ・・・・。はあ、こうして立っているとさっきの命の危機がウソみたいだな・・・」
ほんと、あれなに・・・?こわいわあ・・・・。
「しかし、夢にしては頭がものすごく痛いような・・・。まるで本当に血が出てそうな・・・」
そんなわけねえか!なーんて、言ってみたりした俺は右手を宙に彷徨わせ、程なくして自分の頭に着陸させた。
『べたっ』
「べたっ?」
・・・・あらあ、真っ赤っかー。
ふわっとして体が地面についた。
忘れてた、俺って血がにがてなんだった。