第89話 大将軍ネルガルの最期
「やっと逃げて来られたぜ。まったくひでえ目にあった」
「ああ、参ったな。カタカタ」
「周りの奴らの話だとベルゼブブ様達は主な部下を連れて逃げたようだな」
「ああ、そのようだ。カタカタ」
「お前よくそんなに落ち着いていられるな!俺たちは見捨てられたんだぞ!」
「うむ、全くその通りだ。カタカタ」
「俺はベルゼブブ軍をぬけるぜ!やってられん」
「ぬけてどうするんだ?」
「あてはねえが、しばらく旅に出るぜ!お前はどうすんだ?」
「うむ。俺はもう少し考える。カタカタ」
「それもいいだろうさ。じゃあな」
「ああ。カタカタ」
「よう!久しぶりだなアンドロ·マリウス」
「うわ!びっくりした。シャー。お前の現れ方はは心臓に悪いんだよ。シャーシャー」
「今ベルゼブブを追い詰めてるところだ。そこでぜひお前の手を借りたい。確か貸しがあったよな」
「どういうことだ?詳しく話せ。シャーシャー」
「実はな···」
「なるほど、要するに、どこにベルゼブブが隠れているか探せばいいってことだな。シャーシャー。そりゃあ俺たちにうってつけの仕事だな。金ももらってるし、もちろんやらせてもらうぜ。シャーシャー」
鼠人族5000人で町を調べてもらうために、彼らを転移で運ぶことにした。
さすがの俺も300人以上はきついので それ以下で運ぶ。3回もやると魔力がほとんど空になってしまう。
人数が少なければそんなには魔力を食わないんだが300人ともなるときつい。
まあ贅沢は言ってられないので今までストックしてあった魔力を使い繰り返し転移で彼らを運んだ。
アンドロ·マリウスの領地から近いところは自分で行ってもらうようにした。
そして鼠人族の彼らにはベルゼブブを見つけた時のために、あるアイテムを 町ごとに1つ渡してある。
スイッチを押してもらうとその場所が分かるような仕組みになっている。 簡単に言えば発信機のようなものだ。
俺はその場所に向かって転移すれば、やつを簡単に追い詰めることができるというわけだ。
一応ベルゼブブがひそみそうな町は50ヵ所に絞った。それでも1つの町には100人の鼠人族がいる。
これならどこに隠れても絶対分かるはずだ。
前に首都を落とした時のメンバーで 1人ゴーレムを100体ずつ所持している。合図があったら転移で飛ぶつもりだ。
アマイモンの部隊には西から町を1つずつ占領してもらう。もう逃げ場はないぞベルゼブブ。
ブブーー!ブブーー!ブブーー!
おーさすが鼠人族!早速連絡が入った。首都から南に100キロメートルぐらい離れた場所だ。俺はみんなを連れて転移する。
あまり大きな町ではないが山の斜面にできている町だ。これだけで天然の要害となっている。
サーチしてみると強力な魔人の反応が20以上集まっている。やはりここで間違いないだろう。
仮にベルゼブブが転移で逃げても部下を順々に潰していく。そうすればしまいには力もなくなるだろう。
早速俺たちはゴーレムを展開させて町を包囲する。斜面に出来てる町なので 上から残りのゴーレム300体に攻撃をかけさせる。
俺達の役割分担は前回と同じだ。魔人たちが集まってるところに集中攻撃をかける。
「な、何が起こった!ネルガル。ブブブブブブ」
「大変ですベルゼブブ様!連合軍が攻めてきています」
「なんだと?いくらなんでもそんなことがあるわけがない。転移してどこにも行っていないのになぜだ?ブブブブブブ」
「魔人達を出して迎撃させろ。今回は数も多いしなんとかなるだろう。ブブブブブブ」
「はい、わかりました!」
出てくる出てくる魔神が全部で20人はいるな。
リリンの幻獣達は一斉にブレス攻撃を開始した。ネフィちゃんのハンマーがうなる。フレイムちゃんの火炎が辺りを真っ赤に染める。
敵の毒攻撃、魔法攻撃が飛んでくる。
両軍入り乱れての大混戦になった。ゴーレムたちが体当たりをかける。
半分近くは破壊されるが相手にもすきができる。そこにエレンミア、シャーロットの斬撃、剣技が決まる。
ゴーレムたちの特攻が効いてるようだ。このまま行けば嫁たちが押し切るだろう。
「やっとお出ましか大将軍ネルガル!」
「魔王ナオト。今日こそは勝負だな!」
俺はいつもの二刀流で相手をする。ネルガルは大鎌を持って対抗している。
一振りするとアンデッドが出てくるので非常に鬱陶しい武器だ。
破壊力があるし当たると気が遠くなるくらい痛いのは実証済みだ。
向こうもこちらの魔法を警戒してるようだ。
ここは先手必勝だ。先に仕掛ける。
「レーザービーム!」
決まったと思ったレーザービームがこちらに跳ね返ってきた。すかさず剣で切ってかわす。
反射したのか。
「エクスプロージョントルネード!」
いくらなんでもこれは反射できまい。 と思ったら大鎌で切られてしまった。
「やるな!」
エクスプロージョントルネードを連発する。最後にグラビティを打つ。
全部は切れなかったようでグラビティに押されて吹っ飛んでいった。
スケルトンの龍が襲ってくる。1体、2体、3体か。
全てかわすが戻ってくる。そこに大鎌が飛んでくる。
両手の剣で大鎌を防いだので体が無防備になってしまった。そこに龍が突っ込んでくる。
俺は足からグラビティを出して龍を吹っ飛ばす。
「器用なやつだな」
「ふふふ」
小転移で移動してはナイフを投げ、アイスランスを複数放つ。これを繰り返す!
さすがによけ切れずアイスランスとナイフが何本かずつ当たった。
3体の龍が襲って来るがサンダーストームでたたき落とす。
俺たちは真っ向から斬り合う。何度か剣と大鎌があたったが決定打には至らない。
鍔迫り合いになったところで相手の鎌から黒い塊が出てきて俺を包み込む。
全身から魔力を出してこれを防ごうとするが左手に真っ黒な塊が染み付いてしまった。
かなりの激痛を伴う。一体何だこれは?攻撃がアンデッド系だから、これはひょっとして呪いの類か?左手が使えなくなってしまった。
黒い塊が連続して襲ってくる。俺はレーザービームで対抗する。
途中で全部消すことができた。浄化できるようだ。左腕もなんとかしたいが、そんな暇はなかなかない。
左腕の中にレーザービームを通して浄化しながら相手に向けて打ったが溜めが大きすぎてかわされてしまった。だが左腕は使えるようになった。
もう30分は戦っているが中々決着がつかない。レーザービームを全身にまとって剣を振りかざして相手にかかっていく。
剣の方はほとんど囮だ。相手の間合いに入れればいい。
おお、入れた!しかも 左腕に一太刀浴びせることができた。鎧があって切れはしないが、しばらくあの手は使えないだろう。
そのまま組みついてレーザービームを 全力で流し込む。これは効いたようで2人できりもみで地上へ落ちていく。
相手の頭が地面に当たるように落としたが相手も腕でガードしていて頭からは地面に刺さらなかったようだ。
ドッカーン !!
だが大きな音を立てて相手は地面にめり込んでいた。
「あれ?」
体が動かない!どうしたんだ?左足を見ると毒入りナイフが刺さっていた。すぐに毒を浄化する。
「アンチドーテ」
「さすが大将軍だけあってなかなかしぶといな」
起き上がるがさすがにダメージが残っているようだ。ここはチャンスなので突進して殴りかかる。
剣はさっきふっ飛ばしてしまったので他の剣をストレイジから出す。オリハルコンの剣をネルガルに叩き込む。
剣は奴の腹を貫通して後ろへ抜けていた。だが相手もまだ諦めていない。
手から黒いモヤモヤをまだ出してくる。剣を持ったままサンダーストームを流し込む。
最後まで黒いモヤモヤを出していたがついに力尽きて倒れた。
「恐ろしい魔力と···力だな···まさか俺が負けるとは···ぐはっ」
「はあはあはあ···何とかなったな。 じきにベルゼブブもあの世に送ってやるよ」
「ふふ···そううまく···いくか···な」
「うまくいかせるさ」
ベルゼブブの方はどうなってるかな? 嫁たちは乗り切っただろうか?
あちこち痛い。さすがに限界だな。




