第7話 リリン
森に来て3日目の朝
「おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー」
「なんじゃー!なんで赤ん坊がいる? 」
ハンモックで寝ていた俺は落ちそうになる。赤ん坊は裸の女の子だった。 着せる服がないのでジャージで体を覆ってあげた。
「あぶあぶう だぁだぁだぁ」
「うん? ピンクの髪に青目? うーん?あれ、この顔はひょっとしてリリスの子?いや分身?」
腕輪の色が赤から青になっている。 何か関係があるのか?
それにしてもかわいいなあ。しかし参ったなあ。ミルクなんてないぞ。服もないしどうするか。
赤ん坊は俺の人差し指をしゃぶった。すると体の中の魔力を吸い始めた。
「あれ魔力を吸うのか? 100ぐらい吸われかな」
しかし食べ物がないとな。
赤ん坊は満足したのか眠そうだ。そして俺の腕輪の中に入っていった。
腕輪がベッドになっているのか。色が赤になった···在宅中は赤なのね。
これはストレイジとは違うな。あれには生き物は入らなかったし。『ルーム』と名付けよう。
しかしストレイジと何が違うんだろううーん。空間に入れたり出したりは同じだと思うが、違いは····あーなるほどルームの方が空間の入り口が広いのか!開きっぱなしでくぼみのようなものなんだな。これなら俺にもできそうだな。
まあ見た目は袋でも腕輪でも大して変わらないんだかな。
自分にもできるか確かめたいが後回しだ。赤ちゃん用の食べ物の調達が先だ。
サーチで果物を探してみたがココナッツのような実はあった。
ちょっとなー、やはりミルクだろう。牛とかヤギとかいないかな。
サーチをしてみる。おおっ··いたいた···これは牛かな?
随分でかくて3メートルはあるが。バッファローみたいだな。う〜ん、ちょっとでかすぎかな。
結局2メートルくらいのヤギを見つけてきて大木の近くにつないである。
哺乳瓶を作るために、がけの近くに行って透き通った細かい石や砂を集め魔法で分別する。
魔力を通し形を作っていくと何とかできた。ゴムがないので先をつぼめてストロー状にして完成だ。瓶の上の部分は、はめ込みができるようにした。
お昼に腕輪から出てきたのでミルクをあげてみる。
「うまうま、あうー」
これはこれで飲めるようだ。ふう。赤ちゃんの世話は大変だな。そうだ名前をまだつけてなかった。
「リリスの娘だからリリンでいいか」
「あふう。あぶー、はははは···うふふ」
気に入ったみたいだな。しかしなんで赤ん坊がいるんかな。
やっぱりあの時かなあ?リリスは自分の血と俺の血を腕輪にかけていたなあ。
そうするとこの子は俺の子なのかな?魔族はあのようにして子供を増やすのかな?わからん。
リリスと俺が関係していることは間違いない。