第78話 巨大人工生命体アイ
オークションから帰ってきて、みんな買ったものを眺めたりしてゆっくりしていた。
夕食まではまだ時間があるので宿の裏庭で俺も競り落としたロボットの方を 調べることにした。
「なかなか頑丈そうだけど。これいったいどうやったら動くんだろ。何でてきてるんだ」
『サーチ』
「ヒヒイロアダマン?なんじゃこりゃ? 聞いたこともない金属だな。ヒヒイロカネとアダマンタイトの合金かな」
ルイーネも興味があるのかロボットにへばりついている。
「ルイーネも調べてみてよ」
「わかりましたマスター」
彼女は自分の体を柔らかくしてロボットを覆って調べていた。
このロボットは約全長5メートルくらいで全身藍色をしている。非常に硬い金属のようだ。
体のつなぎ目、手、足、腰そういう部分には必ず鎧のように覆がしてあってつなぎ目が見えないようになっている。
なかなかいい作りだ。顔はのっぺらぼうで何もない。
「何かわかった?」
「マスターこれエネルギーが切れてますよ」
「こいつのエネルギーって何だ」
「基本的になんでもいいみたいですけれども一番いいのは魔力ですね」
「なるほど魔力ならすぐ何とかなりそうだな」
俺はロボットに向けて手をかざし魔力を流し始めた。30万ぐらい流したところでロボットが動き出した。
動き出したら顔が浮かび上がってきた面白い。何か言っているな。
「gj♢△mw▽☆apt○◁gdm▽w」
「俺が何を言ってるか分かるか」
「わ···かる」
「おお、頭いいな。お前」
「エネルギーを···くれてありがとう···ございます」
「お前、名前何て言うんだ」
「名前はありません。あなたがつけてください」
「全身藍色だからアイでいいんじゃないか」
「···はい、ありがとうございます。私は今日からアイです」
「お前の能力を知りたい」
「はいボス。私は飛べます。さらに私に魔法はあまり効きません。自分や他のものを治すことができます。増殖もできます」
「しかしこれだと移動に困るなあ。こんなに大きいと目立ってしまうし。荷物だったらストレイジで運べるんだがなー」
「それならスリープモードになれば大丈夫だと思います」
「なるほど動かなければ運べるものな」
早速あんよスリープモードになってもらってストレイジに入ってもらった。
俺たちは車で西に向かっている。
「こっちの方は何かあるのかい。随分殺風景なようだけど」
「はーい。ここは町らしい町はありませんね。通り過ぎるだけでーす。けれども自然がとても綺麗ですよ」
「それじゃあもう少し行ったところで 今日はキャンプにしよう」
早速アイを出して能力をテストしてみる。
「ねえねえネフィちゃん。このアイと戦ってみてくれる」
「はあん。いいですよ。魔王様〜」
ネフィちゃんはアイと同じ5メートル位になった。手にはハンマーを構えている。
ネフィちゃんは炎の魔法を打ち込むがアイには全く効かなかった。しかしハンマー攻撃は効いた。
アイは一回転して吹っ飛んでいった。しかしどこも壊れてはいない。なかなか頑丈だ。
反撃のアイのパンチはネフィちゃんに届いたがネフィちゃんは何とか踏ん張っていた。
なかなかだな。みんなにいろんな魔法を撃ってもらうがほとんど効かなかった。物理攻撃しか効かないわけだな。なるほど。
「確か増殖できるって言ってたよな。ちょっと増やしてみてくれる」
「はい!ボスわかりました」
アイは地中に手をかざして何かを集めてるようだ。
やがて手をかざすのを止めて両手を前に突き出して、そこから何かを出している。
何と自分と同じ大きさのゴーレムが出来上がっていく。 1体、2体、3体と増えていく。
「その辺でいいよ」
「はいボス!」
アイの周りには30体ほどのゴーレムが出来上がっていた。色はかなり違うようだ。部分によっていろんな色をしている。
「あまりいい鉱石がありませんでしたので鉄と石が混ざっています。それでもかなりの強度はあると思います」
俺の作った2メートルのゴーレムと1体1で対決させてみる。全く相手にならなかった。
「やはり大きい分強いな。これはいい」
「今日はこの辺りでキャンプになるから適当な鉱石を探して巨大ゴーレム部隊を作ってくれ。指揮はネフィちゃんに任せる。アイ頼むぞ」
「ああ〜ん。はい〜」
「はい、ボス!」
アイはルイーネの方を向いてニヤリと笑った。
「何よ、それ!あなたの方が役に立ちたいって言いたいわけ」
「ボスは俺の作ったゴーレムがお気に入りだ。戦闘でも役に立つし。役に立つし!」
「私の作った分身だってみんな役に立ってるわよ」
「ふーん」
何や2人の雰囲気がおかしい。同じ人工生命体同士で張り合いたいのだろうか。
しばらく眺めていたらついに取っ組み合いを始めた。意外と熱くなるのね。
ルイーネはトゲトゲで攻撃しているがアイの方はあまりこたえてないようだ。
アイもパンチやキックを出すがルイーネにはほとんど当たらない。
最後はルイーネが液体状になってアイを包み込んでしまった。
しばらくして2人は自然と離れていった。その後お互いうつむいて相手の方を向いて見つめ合っている。
何だ?どうしたんだ?何かお互いのことを理解できたようだ。
「「理解できました」」
「なんだ仲良くなったみたいだな。よかったよかった。なるべく協力しておくれ」
「2人に魔力を少し分けておこう」
俺は2人にそれぞれ50万ぐらいずつ魔力を分けておいた。
「いいものを作ってくれよ。頼んだぞ」
ルイーネはアイの肩に乗ってネフィちゃんと共に鉱石を探しに行った。




