第77話 オークション
オーレの町
「うわー鉱石屋さんがいっぱいあるのー」
「石がたくさんっす」
「綺麗な石はありませんの?」
「あっちの方にありまーす」
「はあん。武器の材料になるかしら〜」
「ちょっとみんなそんなもん探さなくてもいくらでも作れるようになったんだけど。どうしてまた買いに行くのさ」
「それはそれ。これはこれですわ」
「要するに買い物がしたいわけね。じゃあみんな行ってくれば。従者のみんなも行ってきていいよ」
「ほらルイーネも行ってきなさい。 この街で俺のために何か良いアイデアを探してきたら」
「はい分かりました。マスター」
金でも宝石でも何でも作れるようになってしまった。
これじゃもう探して見つける楽しみがないなぁ。いや違うか。やっぱりそれはそれこれはこれか。自分の知らないものがあるかもしれないし探す楽しみはあるのか。
全部自分でできるからお金だってその気になれば作れるけど。俺もみんなみたいに買い物して楽しむ?うーん。何か面白いことはないかな。
何の目的もなく町の中をフラフラ歩いていた。なかなか活気のある町でどこに行っても賑やかだ。
鉱石を売ってる店がほとんどなので 他の店を探してみる。服屋とかそれ以外のものもいくつかはある。
食堂みたいなところもあったが肉体労働者向けだな。味がちょっと濃いような気もする。だが結構うまいな。
裏通りに入ると娼館がたくさん立ち並んでいた。やっぱり男の町だなあ。きれいなお姉さん達が手をふって誘って来る。
ちょっと寄ってっちゃおうかなー。なんて気も起きるが新婚旅行中にそんなことしたら殺されるかもしれん。さすがにやめておこう。
「誰か助けてー!」
助平心まんまんで道路を歩いていたら ネフィちゃんみたいなサキュバス女の子に抱きつかれた。
「どうしたの」
「兄ちゃん。その子はうちの従業員だ。返してくんな」
「何かあったんですか? 抱きつかれたからには理由ぐらい話してもらえますか」
「しょうがねえな。その子の家から手紙が来て母親が病気なんだそうだ。 だから帰りてぇってことさ。ところがこっちには契約がある。帰すわけにはいかねえんだ」
「なるほど。君、家はどこなの?」
「シードラゴン」
「何ー!」
「わかった。君の身請けをしよう」
「兄ちゃん。この娘高いぜ」
「いくら?」
「金貨100枚だ!」
「はい、どうぞ」
「おおー!」
「あの、ありがとうございます」
「いやシードラゴンと聞いては知らん顔はできんから」
娘の名前はラムルちゃん。悪い男にだまされて結局は借金を背負わされていた。
彼女を連れてシードラゴンを転移する。地方領主のランダに聞いてみた。
「海の近くの方ですね。魔王様ならすぐ着くことができるでしょう」
「わかった」
俺は彼女を抱えてフライで海方面へ向かって飛んだ。30分ほどでラムルちゃんの家に着いた。
母親はかなり調子が悪いらしく寝たきり状態だそうだ。父親は健在だが毎日の暮らしで精一杯ということだ。妹が2人いて8歳と6歳でまだ小さかった。だが母親の看病を一生懸命にしていた。
「魔王様ありがとうございます。おかげで母にも会えました」
「会うだけで良いのか」
「でも家にはお金はないんです」
「俺は専門家ではないが君の母さんを今よりもう少し楽にはさせることができる。よければみてやろう」
母親の様子を見る。どうも心臓が弱いし栄養失調だ。とにかくエクストラヒールをかける。
だいぶ良くなったがもうちょっとっていうところだな。心臓が弱いのがネックだな。俺の魔力はちょっと流し込んでやろう。こんなもんかな。
結果から言うと全快した。いやーよかったよかった。
「魔王様。本当に何とお礼を言っていいか。何か恩返しさせてください。何も持っていませんけど」
「うん。これから頑張って働いて、みんなで幸せになってくれ。これはそれまでの当座の金だ」
この前作った金の塊を3本ばかりラムダちゃんにあげた。
「こっ、こ、こんな大金もらえません」
「領民が困っていたら助けるのは当然だ。お返しがしたければ頑張って国の役に立ってくれ。ではな」
ちょうどお昼だったのでフレイムちゃんを回収して帰ってきた。今日の戦績は13勝17敗だったそうだ。確実に強くなっているようだ。結構結構。
宿に帰るとみんなは適当に買い物してきたものを見せやって喜んでいた。まあ、違ったものはいろいろあったみたいだ。
楽しめたんだらいいんじゃないかな。お金はみんなたくさん持っているだし。
俺は結局特に面白いことはなかった。人助けをして帰ってきただけだ。今度は気分を変えて女になって外に出てみようと思う。何か楽しいことが見つかるといいなあ。
「ルイーネ、何か面白いことあった?」
「はい、マスター実は坑道から発見された古代のアーティファクトが今日オークションにかけられるという情報をつかみました」
「ほう、それは面白そうだな。ぜひ行ってみよう」
「他のみんなはどうする?」
「そうですわね。特にやることもないのでついて行こうかと思いますわ」
「それじゃ、みんなで行こう」
町の中央に大きな野外ステージのようなものがある。そこで競売が行われるようだ。
俺たちは1人銀貨10枚は払ってそれに参加することにした。
銀貨は競売に参加すれば後で帰ってくる。冷やかし防止みたいなもんかな。
フレイムちゃん以外はみんな相当なお金持ちだ。何でも買えるだろう。
「フレイムちゃん。買いたいものがあったら手をあげてもいいよ。私が代わりに払うから」
「おう!」
オークションにかけられるものが展示されている。オークション前にそれを見ることができる。
「いろんなものがあるね。金属が多いなあ」
でも珍しい金属なんてほとんど持ってるし自分で作れるからいらないんだけどなあ。他にはあと何か面白いものはないかな。
こ、これか? 巨大なゴーレム。いやどう見てもロボットのような気がするが···5メートルはあるロボットを見つけた。
これが坑道から発見されたものか。なるほど面白い。
あれもう一つあるぞ?なんだこれは? 空飛ぶ円盤?みたいだけど···直径10メートルぐらいでそんな大きいものじゃないな。
まだオークションを受け付けてるようだ。俺も出品してみることにした。
昨日作った宝石を。まずこぶしぐらいあるダイヤモンドをしっかりカットして輝くようにして台座に乗せて出品してみた。
あともう一つ同じくダイヤモンドを杖に入れた魔道具として出品してみた。いくらで売れるかな?
「みんなめぼしいものはあったかい」
「はい私はありましたわ」
「特に気に入ったのはないのー」
「この丸いのは何だかを使い方がわからないっすよ」
「私はこの使い方のわからない丸いのとあそこにある人形の巨大ゴーレムを狙ってるんだ」
「マスターはあれが何だか分かるのですか」
「なんとなくね」
オークションが始まった。最初は鉱石 がいくつか続いていた。この辺は俺たちは必要ないな。
次は俺のダイヤモンドだ。いくらで売れるかな?こぶし大はあるからな。こんなのどこにもないと思うが。
「さあ皆さん次は驚くべき大きさのダイヤモンドです。なんと拳大もあります」
「素晴らしい技術でカットされています。お値段は金貨100枚からです。さあどうですか!」
「200枚」「500枚」 「600枚」「700枚」「800枚」「900枚」「1000枚!」
「さあ1000枚です。これ以上はいませんか?それではこの巨大なダイヤモンドは金貨1000枚で落札されました」
こんなもんか。これなら地球の方が高く売れそうな気がするな。まあ数はあんまり捌けないだろうけど。
「次は巨大な人型のゴーレムです。何と動かし方が分かりません。今のところ置物ぐらいにしかなりません」
「まず金貨100枚から行ってみましょう」
なんだ動くかどうかわからないのか。それじゃあ値がつくわけないな。
「さあどうですか?100枚からですよ」
「100枚」
「他にいませんか?いませんか?それではこの巨大ゴーレム金貨100枚で落札されました」
これは儲けたな!
オークションが進んでいきシャーロットは短剣のセットを、エレンミアは槍を競り落とした。
リリンは気に入ったものがなかったのか俺の隣でずっと寝ていた。
「次はこの巨大な丸い物体です。何かのアーティファクトではないかと考えられますか使い道がわかりません。金属もこの世界にはないものです。さあどうですか皆さん。金貨300枚から行ってみましょう」
「300枚」「400枚」「500枚」「600枚」
「ようし1000枚!」「1100枚」「1200枚!」
「さあただいま1200枚です。これ以上ありませんか。いませんかそれではこのアーティファクトは金貨1200枚で落札されました」
競り落とすことができたぞ。
俺の出品した杖は金貨1500枚で競り落とされていた。魔法の杖だから効果は絶大だろう。
金貨1300枚を払って2500枚をもらって帰ってきた。儲けが出てしまった。品物もストレイジにしまったし、これは後で楽しみだな。




