第2話 脱出
夜になったので早速部屋を抜け出した。 みんなはいびきで寝ているので誰も気づいていない。
「さて逃げるにしても服はボロボロだし、ここがどこだかもわからない。何か情報はないものか」
ここは石造りの大きな建物のようで昔のヨーロッパみたいだな。俺たちがいた部屋は大部屋だったが他にも小さい部屋がたくさんある。
廊下をうろうろし静かに部屋に入ってみる。何もないが窓に映った自分の姿を見て驚いた。
「何これ凄い若い、10代の頃の自分?」
若返ったのか?それにしてもわからん。なんでこんなに若いの。自分の世界じゃないみたいだ。
10代の頃は痩せてたからな、55キロぐらいだったかな。17歳頃だなこれは。夢じゃないし現実なのに若くなってて、やっぱり夢みたいだ。
もう何が何だかわからなくて混乱している。とりあえず逃げるしかないな。
それから俺は何部屋かをまわり武器庫を見つけた。
こりゃいいな。何が出るかわからないからいくつかもらっていこう。 革鎧と1メートルくらいの片手剣とナイフを何本か装備する。
「こんなの日本じゃ銃刀法違反だな」
その時声がかかる。
「おいお前!武器庫で何をやっておるのじゃ」
「 え? 」
声をかけてきたのは金髪ロングヘアの 赤目のグラマー美人。背中には2対の白い羽があった。赤いドレスを着ていてこちらを向き、 妖艶な笑みを浮かべている。 人間なら20代に見える。
うわー、すごい美人さんだなー。 誰だろう。 そういえば言葉は通じるんだった。 とりあえずごまかさないとな。
「いやー手持ちの武器が何もなかったもんでね。ちょっともらいに来たんですよ」
「それはなかなかやる気があって良いではないか。しかし、なぜ真夜中なのじゃ」
「俺は混んでるところが嫌いなものでして 空いてる今がいいかと ははははは」
なんかすごく強そうだな?見かけと違って。 見えない圧力みたいなものをビンビン感じて思わず剣に手をかける。
「お前昼間の戦いで目立っておった小僧だな?名はなんと申す」
「俺はナオトです。あんたは誰ですか」
「アザゼルの軍に来て妾を知らんのか?妾は魔王リリスじゃ」
「魔王?魔王って一人じゃないんですか」
「ここには何人かおるのう。なんじゃ魔王に仕えに来たのではないのか?」
「気づいたらここにいたんですよ。できれば家に帰りたいですね」
「ほう、それなら簡単じゃ」
「そうですかー、いやーよかった」
「妾を倒していけばいいのじゃ」
「あーやっぱり、あのーここはどこだか教えてもらえませんかね」
「うん? ここは魔族領じゃ。 人族 は南に住んでおる」
「はあー、 ここ異世界で決定だな」