第1章 魔族領編 第1話 戦闘
戦いが好きなわけではないから見ていたいが、このままだとまずいな。まあ夢なら大丈夫だな。
軽い気持ちで戦いを続けた。相手はどんどんやってくる。
次は空から羽のはえた鳥人間が襲ってきた。槍の先から炎を出してくる。俺は近くに転がっているトカゲ男の剣を拾い投げつける。見事に腹に刺さり落ちてきた。
「しかしなかなかリアルだな。 血の匂いがするぞ。まあ考えてもしょうがないか。とりあえず戦い抜くしかないな」
周りを見ると倒れているものが多くなってきていた。
「しかし体が軽いな。俺って強いかも!」
俺はだんだん調子に乗ってきた。その後いろいろな戦士の攻撃をかわしてパンチやキックを叩き込む。みんな面白いように吹っ飛んでいった。
「はーはっはっはー!! どぉーりゃー!!」
攻撃がきまるし、息が全然切れないし、すげーな俺。
気が付いたら多くの戦士に囲まれていた。
「あ、やばい!!!」
前から炎の渦、後ろから空気の刃、周り中から魔法?が飛んでくる。
「ドッカーン!!」
俺は全てをかわしきれず吹き飛ばされて瓦礫の上に横たわっていた。
その時魔王の声がかかる。
「そこまでだ!よく生き残った。お前たちを召し抱えよう」
生き残ったのは7割ほどだった。ほとんどの者が怪我をしている。
「痛え!クソー!」
しかし怪我は思ったほどひどくはなかった。 ちょっと着ていたジャージが焦げて火傷したくらいだ。これは夢ではない?本当に現実!!異世界なのか?
生き残った俺たちは手当をしてもらいまとめて一つの部屋に入れられた。 診察してくれたのはごつい狼男で決して綺麗なお姉さんではなかった。
建物は大きな石造りで大変立派なものだった。俺たちが入った部屋は大部屋で 100人ぐらいが入れる広さだった。
俺が相手をしたトカゲ男や熊男はどうやら生き残ったようだ。仕官することができてよかったね。
手当の後は飯が出たが、何かの肉を簡単に焼いたものとスープだった。ご飯はないし、お茶もなかった。
酒くらいださんかーい。無理か。
「そうだ、これがあった」
俺はコンビニ弁当とお茶を取り出しもぐもぐと食べ始めた。
みんな黙々と食っている。うまいのかねー? まあまあなのかな?
現実味が出てきて急に俺は怖くなってきた。どうなるんかな俺。となりの小鬼みたいなやつにそれとなく今後の事を聞いてみた。
「この後はどんな予定なんですかね?何か聞いてますか」
「もぐもぐ 怪我が治ったら戦いに出るんだろ。はむはむ 俺は手柄を立てて出世したいんだ」
「はーそうですか、うまくいくといいですね」
何と言葉は通じるではないか。不思議で仕様がない。だが今はそんなことはどうでもいい。怪我が治りしだい、いくつかの部隊に組み込まれるようだ。
全く〜。これ本当なのか?家に帰りたいな〜。とてもここは家のご近所には思えないしな〜。冗談じゃない!人間ならまだしも魔王の軍になんて入ってられるかい。なんとか家に帰らねば!とりあえず脱出だな。
俺は夜を待った。