第195話 戦闘訓練
「ママすごいのが出てきたよ。大丈夫なの」
「あれがここのボス、アスモデウスよ」
「大魔王様知ってるんですか」
「魔国にいる時に一度手合わせしたことがあるの。あの時は私は男だったけどね」
「それでその時はどうなったんですか」
「剣と槍で勝負したけどね。結局大した差はなかったわね。勝負はつかなかったわ」
「なかなかいい力を持っているな。我と勝負をしに来たのか」
うわー若い!はさすがに200年前!魔国で勝負した時はいいおっさんだったけど、こっちはまだ本当に若いな。
「そうだ。行くぞ!」
私は鎧や服を脱ぎ捨てて下着だけになった。
「ちょちょっと大魔王様!一体何の勝負をするつもりなんですか」
「あいつと剣で戦ったって勝負はつかないわ。だから他の手で行くのよ」
「エクスペンド!」
私はアスモデウスと同じくらいの大きさになりガントレットを用意した。
「エクスプロージョントルネード!」
ドッカーン!
「ほうなかなかいい魔獣だな。この攻撃でも逃げんとは」
「うはははははは、お前なかなか良いぞ」
アスモデウスは魔獣から降りた。魔獣はどうやら脇の方で見てるようだ。そして槍を構える。
「ハイレーザー!ハイレーザー!ハイレーザー!」
ことごとくやりで弾かれた。
「サンダーストーム!」
今度はアスモデウスにあたったが相手はそれを耐え切った。
槍の斬撃が無数に飛んでくる。私はそれを拳から出る出るウィンドカッターで相殺した。
私は拳で勝負に出る。相手も槍でついてくるがこちらの正拳突きでそれを相殺している。
私は拳にグラビティをかけてアスモデウスに迫る。
ガシガシガシガシガシン!ガンガンガンガンガンガンガイン!
小転移してアスモデウスの脇に出てグラビティパンチを打ち込む。
やっとまともに入り相手はもんどりうって倒れた。しかし起き上がりながら の槍の攻撃で私は脇腹を刺されてしまった。
「うぐぐ!」
「う!」
相手は起き上がりながらだったので 攻撃が浅く私の体を突き通すことはなかった。
「エクストラヒール」
「お前やるな。我に拳を当てたやつなど初めてだぞ」
「腕試しはこのくらいでいいかな。これ以上やると殺し合いになるわね」
「いえ大魔王様既にもう十分殺し合いになってると思います」
「そうかな?これくらいは普通だと思うが」
「よきかな。大魔王ナオ。こちらでのまぬか?」
「ああ、いいね」
そういやこいつは酒好きだったなぁ。前会った時も大宴会になった。
ストレイジから故郷の酒を出す。これがきつそうていいかな。コピーして量を増やして別の入れ物に移す。
「この酒は私の故郷の酒でウイスキーだ。やってくれ」
「ああ、すまぬな」
「みんなもここで食事にしなさい」
「はいママ」
「サルガタナスと戦っているの。なぜ自分で行って決着をつけない」
「この戦いは民族の独立が目的だ。我ひとりが戦っても意味がない」
「なるほどね。みんなの力でっていうわけね。ふーん。うちの子達を鍛えたいの。どこか戦場くれないかな」
「それなら北の方に砦ができて困っている。そこを潰してほしい」
「分かったわ」
「みんな昼からお散歩に行くわよ。たくさん食べておいてね」
「「「はーい」」」
合成獣たちを鍛えるために戦場をひとつ貰った。砦を潰せということだがどの程度の砦か分からない。まあ見てみればわかるか。
1時間ほど歩いて北の砦の前に到着した。山の上に丸太などで囲いを作ってある。なかなか堅固な砦だ。
何人いるかはここからでは分からないが少なくとも100人以上はいそうだな。
「あのう、大魔王様。私はどうすればいいんでしょう。全然戦闘力ないんですけど」
「ミスラちゃんはみんながもし死にそうになってたら転移で助け出して」
「分かりました!」
大岩を落として砦を壊してしまうか。まともに落としたら全滅してしまうな。それではこの子達の訓練にはならない。あーそうだ。だんだんと近づいてくればみんな砦から逃げるだろう。それで砦だけを潰してまだ攻めてくるようならそこをやっつければいいか。
「あの大魔王さま?」
「まだ何かあるの」
「ここが過去なら私たちのご先祖様や親戚に関係ある人はいないですよね。もし私たちがここでその人たちを殺しちゃったら私たちも消えちゃうんでしょうか」
「それは十分ありえるわね。でもこの敵側のサルガタナスについてるとも思えないし多分いないと思うわ」
「たぶんですか」
「まあ大丈夫でしょう」
「ふえ〜ん」
「みんなよく聞いて。私がこれから砦を壊します。それでも攻めてくるものだけを倒しなさい。逃げる者は追わなくていいいいです」
「「「はいママ」」」
「燃ゆる大岩よあれー」
砦の手前からだんだんと砦に近づくように大岩を落としていく。相手は砦の外へどんどんと避難してるようだ。そろそろ大岩が砦に当たる。
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
「よしこれで砦はなくなった。任務完了ね。攻めて来るかな」
「攻めて来ませんねえ」
「逃げちゃったのー!?」
フライで飛んで辺りを見回すが200人以上の兵隊たちが一目散に私たちの反対側へ逃げていくところが見えた。
「根性ないわね」
みんなを連れてアスモデウスのところに行きもう一度お願いすることにした。
「は、早いな」
「砦を潰したわ」
「訓練にはなったのか」
「···という訳で相手が逃げちゃったのよ」
「うーむ、それはハズレだったな。最近はそういう相手が多いのだ」
「もう少し歯ごたえのある相手はいないものかな」
「それなら南に500人規模の砦がある。あそこなら全部逃げたりはしないはずだ」
「分かったわ。もう一度行ってきます」
みんなをルームに入れてフライで飛んでいくと10キロメートルほど南にそれらしき砦があった。
手前300メートルの所に降りてみんなを出す。
「あれが敵の二つ目の砦か。今度は戦闘になるのかな」
「わからないわ。ママ強すぎるもん」
今度は砦の周りだけ壊すようにしよう。これなら反撃してくるだろう。
「燃ゆる大岩よあれー!」
ズガン!ドカン!ボカン!ゴガガガガン!
これでもう周りの柵はほとんど壊れた。さあどう出てくるかな。
「敵は少数だうって出るぞー!」
ようやく戦う気になったようだな。
「みんな戦闘態勢を!くるよ!矢は私が防ぐから突っ込んでくるものだけを倒しなさい」
「「「はいママ」」」
百本以上飛んでくる矢をバリアーで防いで敵の中に魔法を打ち込む。
「エクスプロージョントルネード!」
ズガガガガーン!
「よし!行くぞー!みんなやられんなよ」
「「「「オー!」」」」
子どもたちは精一杯戦った。それは素晴らしい気力と動きだった。
50分後
「ハァハァハァハァみんな大丈夫かグリーン、イエロー」
「ハァハァ生きてるよハァハァ」
「ハァハァいたたたハァハァもう動けないハァハァ」
「ハァハァ大魔王様!みんなもうほとんど動けません。限界です。この子で引き上げたのは15人目です」
「そう。頑張っていますね。後は私が何とかしましょう」
最初の大岩の攻撃で100人ぐらい倒した。その後子供たちが頑張って300人ほど倒した。今残ってるのはあと200ほどだ。
「エクスプロージョントルネード!エクスプロージョントルネード!」
ドッカーン!ドッカーン!
これで相手は諦めて逃げにかかった。 子供達も限界のようだから今日はここまでということね。
「みんなご苦労さん。エクストラヒール」
戦っているうちに魔法を覚えた子がたくさんいた。これは収穫だった。
「けが人はいっぱいいるけど死者は0ね。よく頑張りました。一旦帰りますよ。みんなルームに入りなさい」
「はいママ」
フライで飛んでアスモデウスのところへ帰る。
「ミスラ姉に聞いたけど ま国っていうところへ帰れば俺達よりずっと強い人がたくさんいるって言う話だ」
「それは本当か」
「ママがあれだけ強いんだ。そんなのがいてもおかしくはないな」
「俺はもっと強くなりたい。そしてママの役に立つんだ」
「そりゃ私だってそう思ってるわよ」
「今はちょっと寝よう」
「そうだな」