第15章 過去放浪編 第189話 どこかに転移
魔国に帰ってきたのでまずはキュウキの所に行ってみる事にした。彼女はまだ私たちの家で寝ているはずだ。
部屋に着いたのでかけてある魔法を解除する。ここではできないのでみんなで闘技場まで運ぶ。
「ディセイブルマジック」
「ん。ここはどこなのよん」
「ここは魔国連合の首都だ。お前のいた場所とはかなり離れているな」
「なぜあたいを殺さなかったのよん!」
「いやそれだけの強さ、もったいないと思ってな」
「あたいを自分のものにしようというのか」
「そうではない。お前は話もできるし 改心すれば殺すこともないと思っただけだ」
「あたいの仲間はどうなったのん」
「6体は倒した。後はまだ生きてるんじゃないかな」
「まだ生きてる?」
「島の上から大岩を降らせて根拠地ごと潰したので、まだ多分生きてると思うけど」
「······」
「もう聞きたいことはないかな」
「ええ」
「それじゃあここでゆっくり暮らすといい。誰も追っては来ないと思うし 悪さをしなければいつまでいてくれてもいい」
「······」
しばらくはそっとしておくか。アベイルに頼みキュウキを町に連れて行き案内してもらおう。
「アベイル。キュウキに町を案内してやってくれ」
「分かりました大魔王様」
私は自由に男に戻れないのは不便だからここで戻っておこうと思う。
「うーん。変身!あれ?戻れない」
「ママの作った薬の力を突破するんだったらそれぐらいじゃダメなのーもっと気合を入れないと」
「それをあなたが言うんですかリリン」
「よーし! 何が何でも男に戻ってやるうーーーー変身!!」
「「「オー」」」
「今までダメだったのによく男に戻れたな」
「んーよかったな」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
「どうだーリリン。男に戻ったぞ」
「すごいのーさすがなのー」
「さすが大魔王だなバサバサ」
「大魔王 えらい」
「それじゃあちゃんとお務めを果たしてほしいのー」
1時間後
「また女に戻ってしまった」
「んーどうしたの?さっき戻ったばかりじゃない」
「1戦したら元に戻ってしまった」
「あははははははは。面白いな大魔王はガチャガチャ」
「もうそれでいいんじゃないバサバサ」
「大魔王 不びん」
あのリリスは何てものを作ったんだ!まあ薬だからだんだん弱まるんだろうけども。
しようがないな。あー何か面白いことはないかな。町に繰り出すか。
「ねえねえ大魔王さま。町に行くんでしょ?私も連れてって」
「あ、いや、飲みに行こうかと思ったんで」
「私は気にしなくていいわよ」
「いや、こっちが気にするって」
「そんなこと言わないで連れてってよ」
「うーん、わかったわかった。連れて行きますよ」
近くのレストラン兼居酒屋のようなお店に入る。
「この娘は夕ご飯とジュースね。私はお酒。あとおつまみが少し。よろしくね」
「はーい」
「ねぇねぇナオさまー。次はどんな所へ冒険に行くつもりなんですか」
「いや何も考えてないです。たまにはゆっくりしてもいいかな」
「えー絶対にどっかに冒険に行くべきですよー」
「そうかなー」
「ようようお嬢さん達!退屈そうだな。よかったら面白いところへ連れてってやるぜ。まあいっぱいいけよ」
「いや自分のがあるから大丈夫よ」
なんて私が相手をしている間にミスラちゃんはお酒をいい調子で飲んでしまった。
「あらこの子は結構いけるのかもしれない。けど大丈夫?初めて飲んだんでしょ」
「ひっ!ふひゃー!えいっ!」
「えー!」
次の瞬間私たちは眩い光に包まれて。どことも分からない所へ転移してしまった。
「ちょっとちょっとー。ここはどこなの真っ白なままよー。ミスラちゃん!しっかりどこ行く思い浮かべなさいよー」
「うーうにゃはははははは」
「だめだこりゃ酔っぱらっちゃってるわ。どこかに出ないとこのまま次元の狭間で漂流者だわ」
私はナチュラルリッチタウンを思い浮かべ転移しようとするができない。
ミスラちゃんの行きたかったところとは違うようだ。思いの外彼女の力が作用している。
「しようがないミスラちゃんに魔力を貸してこのまま転移を成功させよう」
「えいっ!」
どこに着くのか全く分からない。こんなに不安になるのは初めてだ。だが仕方がない。