第170話 新従者ピピ
食事か終わったのでまた男に戻っていた。アベイルがぐったりしてから1時間位が経過した。ようやく話せるようになったようだ。
「アベイル大丈夫か」
「プミーあ、すみません大魔王様もう一人でいるのは無理のようです」
「どういう事だい?」
「プミ大魔王様の愛をたくさんもらい一人では対応できなくなりました」
「今までもたくさん魔力はあげてたよね?あれとは違うの?」
「プミ大魔王様の意識がたくさんあり一人ではまとめられません」
「意識か。それじゃあ分裂すると今までとは違う個体になるのか?」
「プミーそうみたいです」
「みたいってわからないのか?」
「最近になりわかってきました」
「なるほどな。簡単に言うと親になったって事になるんだろ?」
「そうみたいです」
俺たちは夫婦だろうと聞くとそうかもしれないが今までの関係がいいとアベイルは言う。
まあ彼女の好きにさせるさ。彼女はこの世にたった一人の種族だしまだ手探りなのだろう。
子どもの名前はどうするかな。生まれてから考えるか。
そう考えているうちに分裂が始まった。お腹の部分が離れていく。モニョモニョしているうちにまとまってきた。
やはり女の子の形になる。どう見ても5歳くらいだな。髪はアベイルと同じ水色で腰まである。
「ピーーーー!大魔王様お初にお目にかかります」
「元気な娘だな」
「ピー!ありがとうございます」
「何ができるのかな。魔力をあげるからやってみてよ」
「ピーこ、これは気持ちがいいです」
「お前の名前はピピだ!」
「ピー素敵な名前をありがとうございます」
そう言うと17歳くらいの女の子になった。これがピピの原形かな。
色々やってみせてくれる。分裂することもできる。形を変えることもできる。魔法を使うこともできる。大体できることはアベイルと同じのようだ。
ただ性格が違うようだ。アベイルは甘えっ娘だったがピピは元気で活発なようだ。
アレースを見てビキニアーマーをさっそく取り入れた。
「ピピ、その姿が気に入ったのかい」
「ピーはい、ピピはこの姿か好きです」
「アレースよかったな。弟子ができて」
「当然なのだよ。この姿を理解できるとはなかなか見所があるな」
「ピー大魔王様!初任務をお与えください」
「初任務か。それじゃあ逃げた敵の幹部がどこへ行ったのかを突き止めてほしい」
「ピー分かりました」
そう言ったと同時にピピが走り出し城の中に入っていく。
「アベイル、元気でいい娘じゃないか」
「プミーそうみたいですね」
彼女もどこか嬉しそうで笑みをたたえている。しばらくしてピピから報告が入る。
「ピー大魔王様、城の中に抜け道を発見しました。今からその道を降りて相手を追うつもりです」
「ピピ偉い!よく見つけたね」
「ピーありがとうございます。では行きます」
しばらくすると抜け道は山の裏側に続いていることが判明した。そしてその先にはアンラマンユたちがいた。
「ピー大魔王様こちらです。敵を発見しました」
「うん。今行く」
俺はみんなを連れて転移してピピのそばに行く。
「お前がダエーワの総帥か?」
「そうだ我こそはアンラマンユ!良くも私の計画を台無しにしてくれたな」
「残念だったな。お前もこれで終わりだ」
「そうはいかない!」
「そうだキシキシ」
タローマティとサルワが間に入る。
「こいつらは俺達に任せろ!」
「そうだな。私がやろう」
こちらもヴァハグンとアレースが出てくれた。
「これで邪魔者はいなくなったな。さあ勝負するか」
「行くぞ!」
アンラマンユは大きな剣を振り突っ込んでくる。俺はいつもの二刀流だ。
こいつはライオンの獣人だな。なかなか力強い!
「ウインドカッター!」
ガシガシガシガシカシャン!
「エクスプロージョントルネード!」
ドッカーン!
相手は強い!今のを無傷でかわせるとはな。この戦い長引くかもしれない。