第165話 ミスラちゃん捕まる
「第1砦と第2砦が落ちたそうだ。しかもたったの1日でな」
「タローマティさん信じらんねえですよ。第1砦は100人、第2砦は200人いたんですぜ」
「次は俺たちの出番ですかい?」
「そうなりそうだな」
「ダエーワ騎馬隊の力を見せてやる」
朝になり転移して二つ目の砦があった所へ到着した。すでにアベイルが待っていてくれている。
「大魔王様、この先に砦はありません。森ではなく大きな平原が広がっています。そこを過ぎると敵の城が見えてきます」
「なるほど。いつもながら完璧な情報をありがとう」
「プミー」
「なんだヴァハグン今日は機嫌がいいな。どうしたんだ」
「いや夜にミツバチ族の所へ行ったら 歓迎されてな。努めも果たせたんだよ」
「なるほど。その手もあるな」
「大魔王この先はどうするんだ?」
「どうもこうもまっすぐ進むだけだよ。平原があるって言うんだから向こうも出てくるだろ」
「なるほどね」
「んー女にならなくていいの?」
「なあに召喚魔法が使えなくなるだけさ」
しばらく歩いて行くと森が切れて平原が見えてきた。かなり広いな。これなら敵もここで決戦に及ぶんじゃないかな。
おっと早速出てきた。今度の敵は騎馬隊のようだ。騎馬と言っても普通の馬ではない。
四足の魔獣に乗っている。馬のようなのもいるが体がサイのような魔獣がたくさんいる。
あの一番でっかいのに乗ってるのが 親分だろう。全部でざっと300はいるな。
敵は隊列を組んで平原の真ん中に布陣した。俺たちは全員で10人。普通ならひともみでやられてしまうはずだ。だがそうはいかない!先制攻撃をかけよう。
「飛び上がって俺が魔法で攻撃する。 近づいたらみんなも攻撃を開始してくれ」
「分かったわガチャガチャ」
上空から魔法攻撃を連発する。
「エクスプロージョントルネード!」
ドガーン!ボガーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ゴガーン!
「サンダーストーム!サンダーストーム!サンダーストーム!」
バリバリバリバリドジャーン!バリバリドジャーン!バリバリドジャーン!
へーなかなかだな。まだ突っ込んでくる。
「それじゃあアースウオール!」
5メートル位の高さの土の壁が一面に展開される。さすがに騎馬隊の足が止まって全軍がストップした。そこを狙って魔法を打ち込む。
「ハイレーザー!ハイレーザー!ハイレーザー!」
ドガーン!ドカーン!ドガーン!ボガーン!
ここから仲間たちの攻撃も始まるアルテミスの矢が雨のように無数に降ってくる。アテナの鎧の攻撃も始まった。
ヴァハグン、アレース、エヌルタ、アナトが一撃必殺の剣や槍を持って切り込む。従者たちも攻撃する。
「くっそー、これだけの大群があんな小人数に手も足も出ないのか。こちらも魔法を放て」
相手も魔法を放ち始めるがすでに俺の攻撃で300騎いた騎馬隊は100騎に減っていた。
俺は後ろにいる大将を狙い撃つ。
「ハイレーザー!」
なんと剣を持ってそれを避けたではないか。なかなかやる。
この男は豹の獣人で立派な体格をしている。身長が2メートルぐらいはあるだろう。大きな恐竜のような生き物に乗っている。
恐竜は炎を吐いてくる。だが俺は飛べるのでそんなものには当たらない。周りからハイレーザーで攻撃するが刀で弾かれてしまった。
「これならどうだエクスプロージョントルネード!」
ドッカーン!今度は弾けなかったようだ。恐竜がひっくり返る。大将の男は 後ろへ跳び退く。
「なかなかやるな」
「お前は何者だ!俺の部隊を壊滅させおって」
「俺は大魔王ナオト。獣王に頼まれてお前らの討伐に来たのだ」
「大魔王だと?そんな奴はこの獣王国にはいないぞ」
「もちろん外の人間だ」
「貴様が人間?ほとんどバケモンじゃねえか」
「ひどいことを言うな俺は人間だ。多分」
「タローマティさん!敵を一人捕まえましたぜ」
「何?」
見ると、なんとミスラちゃんが捕まっていた。何で彼女がこんなところにいるんだ。お留守番していろと言ったのに。
「よくやった一旦引くぞ!」
「ミスラちゃん逃げろ!お前なら出来るだろう?」
「ひえ〜ごめんなさ〜い。大魔王様〜今はだめ〜」
「何で?転移して逃げればいいのに?何を考えているんだ」
ミスラちゃんが捕まってしまったのでこれ以上の戦いはできなくなってしまった。敵は城の方へ引き上げていく。 と言ってももう50騎ほどしかいないが。
「うーん。これは参ったな」
「ボスどうしますか。まさかミスラちゃんがこんなところにいるとは思わなかったもので」
「全く頭にありませんでした。すみませんマスター」
「いやお前たちが謝ることはない。俺も予想しなかったことだ」
「大魔王どうする。すぐに追うか?」
「いや、それはやめておこう。ミスラちゃんに何かあると困るし。しかし変だな。転移魔法が使えるんだからすぐに逃げられるはずなんだが?一体どうしたんだろう」
俺たちは一旦森まで引いてミスラちゃんをどう助けるか考えることにした。
「いや参ったな人質を取られるとはなんたる不覚」
「それでこれからどうするのガチャガチャ」
「なんとか城まで行ってミスラちゃんを取り戻すしかないけど···隠密の能力のある人はいますか」
「プミー私は何にでもなれますが」
「私もですマスター」
「あとは俺か」
まだ午前中で明るいが何とか城まで近づいてミスラちゃんを助けよう。俺たちは3人で城まで行く事にした。