第159話 妖精族発見
「これが連絡のあった洞窟か。随分大きいな」
「プミーこの様子だとこの先に何かいるのは間違いないと思うんですが」
「多分そうだろうね」
こんなところに住んでいるということはよほど誰かに狙われているか、姿を隠したいのか、そんなところだと思う。
「それじゃあ俺が姿を隠してちょっと偵察してくるよ。安全なようだったらみんなを呼ぶから」
「プミーわかりました」
「ボス気をつけてくださいね」
「マスター手が必要な時は連絡を下さい」
洞窟を降りていくにしたがってだんだん穴は狭くなっていった。
そして100メートルほど進んだところで行き止まりになっていた。
この向こう側に何かあるような気がする。では一つ壁をぶち抜いて中に入ってみるか。
魔法はまずいな素手ででぶん殴るか。
「ふん!」
ガコン!ガラガラガラガラ
「これでよし!」
中に入ってみるとそこには広い空間があった。しかし暗くはないのだ。
上の方は白く輝いて眩しいくらいだ。 一体何があるんだろう。
上の方はみな白くなっている。何があるのだろうか。時々空間の途中に柱があってここが地下だということがよくわかる。
下の方には木が生えてるし草も生えている。丸い家のようなものがたくさん ある。どうやら何かが住んでいるのは間違いないようだ。
あれ?人影があるな。5歳位の女の子で羽があるな。
これはどっかで見たような種族だな。そうだバイモンと同じ妖精族だ!
「こんにちは、私は大魔王ナオトと言います」
「キャー!人間が攻めてきたー!」
「え?いや違います。ちょっと冒険して偶然来ただけです」
相手は小さな女の子だ。うまく言えばわかってもらえる。
「私には妖精族のお嫁さんがいるんだよ」
「···?」
「バイモンって言うんだ。村もあるんだよ」
「本当?」
「ああ本当さ。この村の偉い人の所に案内してくれないかな」
「いいよ」
やった!うまくいったぞ。ふっふふ言ってみるもんだな。
「長!長!お客さん」
「う、あなたは誰ですか!」
「私は大魔王ナオトといいます。ここは偶然見つけました。害を加えるつもりはありません」
「私はミスト。それを信じて捕まった者や死んだ者がたくさんいます。はいそうですかと言うわけにはいきません」
「確かにそうですね。それじゃあ家にいる妖精族の嫁さんを連れてきましょうか」
「いや今度は兵隊が攻めてくるかもしれません」
「どうも疑り深いことで」
「こちらからお供を1人つけましょう」
「はあ」
「ミスラ!おいで!」
「はーいママー!な~に」
「ママじゃありません。長です!」
「はーいママ長!」
「もう仕方のない娘ね!これでもこの娘は転移魔法が使えます。いざとなったら逃げることも出来るでしょう」
「分かりました。一緒に行きましょう」
なんだか面倒くさいことになったな。でも仕方がないな。妖精族だし、できれば保護しないと。
ナチュラルリッチタウンまで行きバイモンと連絡を取ろう。
「プミーどうしたんですか?その娘は」
「穴の先に妖精族が住んでいたんだよ。家に行ってバイモンを連れてくるよ」
「分かりましたボス」
「私達はここで待機してますねマスター」
「ああ頼むよ」
転移門をくぐりすぐにナチュラルリッチタウンに着く。
バイモンは人族領の妖精族の村にいるとの事だ。
「これは転移門ですか?」
「うん、これは便利だよ」
ミスラちゃんは14歳。うすい金髪をポニーテールにしている元気な女の子だ。
すぐに人族領の家に着く。妖精族の村に向かう。
「やあバイモン。ちょっと頼みがあるんだ」
「どうしたんですか、妖精族の娘を連れて」
「わー本当だったんだー」
「嘘ではない!」
バイモンに訳を話して洞窟まで来てもらう事にした。エステルさんもいたので付いてきてくれるそうだ。
「大魔王様も妖精族に縁がありますね」
「まあね。付いてきてくれてありがとう」
洞窟に着きやっと信じてもらえた。
「よろしければうちの村に受け入れられますよ」
「はい。ありがとうございます。希望を取ってみます」
こうして洞窟の村から出てバイモンの村に来る者もいるようだ。洞窟のには500人の妖精族がいるようだ。若い者ほど外に出たいらしい。
今回の探索は当たりのようだ。バイモンには感謝されまくった。種族保護につながるならいいかな。
「さて、探索にもどるか」
探してみたがこの島には何もいなかった。だが遺跡はあったので調べてみた。
かなり古い時代の物のようだ。
「何か宝物はないの?」
「うーん何もないみたいだねって、ミスラちゃんが何でいるの」
「私も探したーい」
「でもねー危ない事もあるから危険だよ」
「大丈夫だよ。大魔王様が守ってくれるから」
「はーしようがないなー。来るならお母さんの許可をもらって来なさい」
「えーママ長の?う~」
「そうだ」
彼女は転移してお母さんに会いに行く。しばらくするとミストさんの手紙を持って来た。
「なになに?この娘に外の世界を見せてあげてください」
しばらく同行を許可した。