第155話 ヴァハグンの働き口
「大魔王よ、ヴァハグンを生きたまま 打ち負かすなんて一体お前はどれだけ強いんだ」
「いや相性が良かったみたいだよ。雷は俺には効かないんだよね」
「んーしかしあのバカでかい剣をよくしのげたわね」
「おかげでこっちの剣が曲がってしまったけどね。まあ剣はたくさんあるから大丈夫さ」
「しかし、凄いな。まだ信じられないガチャガチャ」
「それじゃあ転移して彼に会いに行ってみましょう」
「「「大丈夫か?」」」
「多分大丈夫でしょう。いきなり切りかかってくることはないと思いますよ」
転移して島の南に4人で移動した。ヴァハグンは1人で岩場に座っている。
「よう大魔王!完全に俺の負けだ」
「今回はね。雷は俺には効かないから。戦うなら他の手も考えるんだな」
「うーん。そうだな。あれお前たちは三バカ武人娘」
「誰が三バカだ」
「んー、どうやら話は通じるようだわ」
「いやまだわからないわ。いつ襲ってくるかガチャガチャ」
「む、アルテミス!」
「んー何だ?」
「いいケツしてるな。ちょっとさわらせろよ」
「んー真顔でふざけたことぬかすな。このバカタレ!」
「あんまり変わってるような気がしないわね。ほとんど同じような気がするガチャガチャ」
「まあ、むちゃくちゃな事はしないと思うよ」
「とりあえず今日は一旦町に帰ってみましょうか。ヴァハグンも来るだろう?」
「ほう町があるのか。是非行ってみたいな」
転移門を使いナチュラルリッチタウンに着く。
「おう。なかなかいい町じゃないの。軽く飲みに行こうぜ」
「それもいいかな。それじゃああの店にしようか」
俺が指し示した店は大衆酒場だった。夕方なのでもうちらほら客が入ってきている。
俺たちはその一角に陣取りとりあえずエールで乾杯した。
「いやーみんな無事でよかったね。乾杯!」
「まあそうだけどね」
「んーヴァハグンと一緒に飲むことになるとは人生何が起こるかわからないな」
「まったくだなガチャガチャ」
しばらく飲んでその後は自由解散となった。女の子3人は買い物に出るということでこの場を離れた。
アベイルはルイーネやアイと打ち合わせがあるという事で帰っていった。
「なあ大魔王よ。ちょっと金貸してくれんか」
「いいけど何するんだ?」
「久しぶりの町なんだから察しろよ」
ああ女か。俺はヴァハグンに金貨を100枚ばかりあげた。
「コレの価値は?」
「そうだな。それが2枚もあれば1ヶ月は暮らせるな」
「大金じゃないか。すまねーな」
「明日王宮に来いよ」
「おう、分かった」
「くれぐれも言っとくが人に迷惑はかけるなよ」
「わかってるって」
ヴァハグンは夜の町に消えていった。俺は家に戻ってきた。
「ただいまリリン」
「おかえりなのー」
「リリムは?」
「今日から各地を回るって視察に出たのー」
「はー視察ねえ。ほんとに我が子ながら真面目だね。まあエステルさんもいるし大丈夫かな」
「そうなのー」
「さあて今夜の予定はアイスのとこか」
「そうなのー。家庭円満のために頑張ってなのー」
「そうだね」
そして俺はアイスの部屋に赴くのだった。
次の日
「プミー大魔王様、ヴァハグンさんが来てますよ」
「うん。分かった」
謁見の間でヴァハグンと対面する。
「昨日は世話になったな。おかげで楽しめたぜ」
「それは良かったですね。それでこれからのことなんですが、是非この国で働いて欲しいんです」
「うん、悪くねえと思う。だがよ俺はこれしか能がねえぜ」
彼は大剣をさすってそう言った。
「それは大丈夫ですよ。俺も似たようなもんですから。ただ少しばかりみんなのために頑張ってもらえればいいだけです」
「わかったぜ」
「それじゃあこの中から自分に合った仕事を選んでください。やってみて決めてもらっていいと思いますので」
▷親衛隊ヴァルキリーの教育◁
▷各地の軍隊の指導◁
▷首都の見回りと警備◁
▷ミツバチ族女王保護◁
▷ウサギ族警備◁
「まあ今あるのはこれぐらいかな。どれがいい」
「うーん、軍隊の指導や警備は何となく分かるんだがこの女王保護ってのは何だ」
「よくぞ聞いてくれた。これはまったくお前向きの仕事だぞ」
「どういうことだ」
「なあに簡単だ。集落に行って女王様のお相手をするだけでいいんだ」
「それ仕事なのか」
「もう立派な仕事だ。彼女達は優秀な子孫を残したがっているんだから強い男は大歓迎だ」
「ほう。では行ってみるかな」
こうしてヴァハグンの初仕事が始まった。彼が帰って来るのは2週間後になる。