第152話 アレース対セクメド
島の西側
「アレースさんあれが相手じゃないですか?」
「どうやらそのようだな」
大魔王ナオトの従者アベイルの分身と待っていたがほどなくセクメドが送られてきた。
「久しぶりだね。セクメド」
「お前はアレース!かな?ガウ」
「さあ行くぞ!」
「ふん。お前ほんとにアレースか!あのでかい乳はどうした?ガウ」
まったくどいつもこいつも私を乳の塊だとでも思っているのか。
今の私の格好は同じビキニアーマーだが特殊な繊維を使っていて伸び縮みができるようになっている。
大魔王にもらったものでもちろん色は金色だ。いざとなれば短い間だけど元の姿に戻ることもできる。
大魔王に魔力をもらってから体の調子がとても良い。体も少し大きくなったような気がする。
「新しい体になったのさ」
「なんだと!そんな事ができるのかガウガウ」
「今、目の前にいるだろうが。それじゃあ行くぞ!」
「おう!ガウガウ」
セクメドの武器はあの手足だ。やつには刃物は通らない。
だが今ならなんかできそうな気もする。私は新しく作ってもらった槍を出し奴にかかっていく。
いくら手足が武器と言っても弱いところの一つや二つはあるはずだ。必ず倒してみせる。
槍で五月雨のように相手を突いていくが全部こぶしで弾かれてしまった。なぜ素手なのに傷つかん。
あまり近づくとやつの蹴りをもらうから注意して戦っている。
体の各所に何発かは当たっているのだが全く傷がつかない。本当に一体どうなってるんだ。
やつは格闘の達人!極めればこうなるということか。
だがいくら頑張っても鍛えられない場所もある。それは目だ。あとは喉!
この二つの所を狙おうにも奴は必ずガードをしてくる。
ガンガンガンガンガンガン!
それじゃあ他の所を狙ってそちらをガードした時に上半身を狙うことにしよう。私は奴の右膝ばかりを集中して狙うことにした。
ガシッ、ガシッ、ガシガシガシガシ!
「むっ!やるなガウ」
「あんたもね。どうだいカーリー達に付くのはやめて私達の方に来ないか」
「そんなことできるわけないガウガウガウ」
「そうかい。残念だね」
私は勝負に出る事にした。
「金色バースト!」
これは私の体内のエネルギーを一気に放出する技だ。
大魔王ナオトもこれをくらってフラフラになっていたからかなり効くとは思う。
奴の右膝を狙ってそれを放った!
ビカッ!!
かなりのダメージがあったのか奴の足の動きを止めることに成功した!
「くそっ足が動かん!」
セクメドが一瞬下半身に意識を移した。そこを狙ってやつの左目にやりを叩き込んでやった。
「ぐあああああああ」
右膝と左目を負傷したセクメドだがやられてない方の足を軸にして守りの態勢からカウンターを狙ってくる。
「もうお前の負けだ。降参しろ!」
「この程度で勝った気になるなよ!俺はまだまだ戦えるガウガウガウ」
奴は手から体内の力を私に向けて放ってきた。脇腹に受けてしまった。
かなり痛い!こちらの動きも止まってしまった。あんなとこから攻撃が出てくるなんて思わなかった。
「うぐぐ···」
「どうだ!ガウガウ!お前こそ俺の下に付かんか?今なら奴隷として生かしといてやるぞガウガウ」
「ふざけるな!」
セクメドは真空波を放ってくる。私の腕や肩に随分傷ができてしまった。
私は短剣を10ほど出しセクメドに向かって投げた。8本は 叩き落とされてしまったが2本は奴の肩に刺さった。
グサ!グサ!
完全に動きが止まったので槍で腹を突きに行く。まさに腹に槍が届く瞬間にやつの両手で槍を掴まれてしまった。
がしっ!
だが手応えはあった。奴の腹には私の槍がかなり深く刺さった。
グサッ!!
「ぐああああ」
そのまま槍を突き入れる!
「ぐはぁ」
ようやく奴は倒れた。
「俺の負けだ···とどめをさせ」
私はとどめの一撃おやつの心臓に突き入れた。
終わった。勝つか負けるかわからない互角の戦いだと思っていたのだが意外と余裕があった。
自分で言うのもなんだが体が貧弱になった分弱くなっているはずだ。しかし、逆に技が切れて強くなっているように感じた。
復活してからまだ2戦しかしていないのに。やはりあの大魔王ナオトの魔力のおかげなのかな。
「お疲れ様でした」
「うん。終わったな」
「改心させるのは無理でしたね」
「そこまで余裕のある戦いではなかったな」
私は大魔王からもらったポーションを使う。傷はきれいに治った。
これはなかなかすごいものだ。
「戦う者の最後なんてみんなこんなもんかな。いつ私もこうなるやら」
「大魔王様のところにいれば幸せになれますよ」
「そうかな」
「奥方たちはみなさん幸せそうですよ」
「いったいあいつは何人嫁さんがいるんだい」
「今は8人ですね」
「はーよくやるね」
「はい。頑張っていますよ」
「アルテミスやアテナは大丈夫かな」
私は青い空を見上げて髪を結い直していた。