第151話 ナオト対ヴァハグン
こいつ剣を抜いたら目つきが変わった。ただのスケベ兄ちゃんじゃないな!
いい体をしていて俺よりでかい。髪は栗色でなかなかいい男だ。剣は大きめの青龍刀のような剣を持っている。
アテナさんの情報によれば竜殺しとか雷帝とかいう称号があるみたいだ。
雷が得意なんだな。まずは剣で勝負してみるか。
しかし分厚い剣だね。受けたらこっちの剣が折れそうだな。
ヴァハグンの剣に雷がついているが俺から先に仕掛ける。
短い方の剣で受け長い方の剣で攻撃する。腕が痺れるが慣れているので大丈夫。
俺の剣はかわされてしまった。だが連続して打ち込む!
ガンガンガンガン!ガインガインガイン!
5分位打ち合ったが中々有効打が得られない。
ヴァハグンは雷で攻撃してくる。俺はバリアーを張る。爆裂魔法エクスプロージョンでお返しをする。
当たったようだ。大爆発を起こす。だがヴァハグンは平気で立っていた。
「中々頑丈だな」
「お前強いな!こんなのはカーリー様以来だ」
「そうか。俺はけっこうあったから久しぶり位だな。そろそろ行くぞ!」
小転移してヴァハグンの脇に出てハイレーザーをお見舞いする。
「ぐはぁ」
だが奴はそれに耐えて雷攻撃をしてくる。
「いやあ、その気力たいしたもんだよ」
俺には雷はほとんど効かない。相手は少し弱ってきている。だが俺は油断はしない。
いにしえの一族はあまり魔法については研究しなかったのかな?
魔法に対する防御が弱いような気がする。続けてエクスプロージョントルネードをお見舞いする。
「ぐあー!」
こんなもんなのかな?いや油断は禁物だ!
「エクスプロージョントルネード!」
うん?さっきより効いてない?こいつ魔法の耐性がすごい!慣れれば魔法は効かなくなるってことか。
切れればいいのだが中々やつも強くてすきが無い。
ガイン!ガイン!
こういう時は体術も入れていこう。鍔迫り合いの時に足で攻撃することにした。
ガンガンガン、バキッ!蹴りが入った。すでに20分位は戦いが続いている。
ヴァハグンの剣はでかい。だが俺の剣はそれをおさえるだけの耐性はある。
ガンガンガイン!ガインガイン!
ナオト流二刀流の真髄を見せてやる。
長い方の剣に風をまとわせる。鋭く振り抜き真空波を起こす!
「ウインドカッター!」
短い方の剣に炎をまとわせる。
「ヘルファイヤー!」
ふたつ合わせて
「ファイヤーカッター!」
やつの左腕が切れた!すかさず剣を叩き込む。左肩を切った。
「ぐっ···おのれ」
真横から重力魔法を放つ!
「グラビティ!」
奴は10メートルは吹っ飛んで行った。
「エクスプロージョントルネード!」
ヴァハグンは大爆発に巻き込まれ吹き飛んだ。かなり血まみれになった。しかし、まだ立っていた。
「どうだ。もう降参するか?」
「ままだまだ。こんなもんでまいるかよ」
本当にタフなやつだ。まだ全然闘志は衰えていない。大型の剣に雷をまとわせ突っ込んで来る。
「くたばれ!」
「当たるかよ!」
小転移でよけて奴の脇に出て斬りつける。さすがによけられない。肩からかなり刀が食い込む。
「ぐうっ···くそっ」
雷が来るがあまり効かない。どうやら奴とは相性がいいようだ。得意の雷は効かないし魔法が強い分俺の方が勝っているようだ。
小転移を繰り返して斬りつける。今度は足を切る。相手も切りつけて来るが空振りだ。
「ぐあっ!」
もう転移はいらない。短剣を10本ばかり投げ奴の周りから狙う。7本落とされたが3本は背中に刺さる。
「くっ···」
だがまだヴァハグンは倒れない。俺のミスリルの剣がゆがんでしまった。奴の剣を受けていたからか。
おしいな。こんな強い奴はめったにいない。
ヴァハグンはまだ剣をふるって来る。もう限界だろうに。
剣をよけながらヴァハグンに語りかける。
「もう勝負はついた。降参しろ」
「いまさら···降参なんて···できるか」
「このバカ野郎が!」
渾身のグラビティパンチをおみまいする。やっと彼は倒れてくれた。意識を失ったようだ。
出血がひどいのでまず体の損傷を治す。
「エクストラヒール!」
これで大丈夫かな。しかし、このまま だとまた殺戮を繰り返すかもしれないな。
ちょっと深層意識を覗いてみるか。俺はヴァハグンの頭に手を当てる。そして意識を探ってみる。
確かに戦いは好きなようだが弄んだりはしていない。無駄に殺しもしていない。根っからの戦士という感じだ。後は女のことばかりだな。
一応暗示をかけておくか。
「心正しく生きよ」
しかし、相性がよかったというのもあるが俺は前より強くなったような気がする。
このヴァハグンは俺よりも強いんじゃなかったのか。それにかなり余裕を持って勝つことができたぞ。どうしてだ?
1回死にかけてパワーアップしたのかな?どこぞの戦闘民族みたいだな。他に理由が考えられん。負荷がかかって鍛えられたということかな。
「あの3人は大丈夫だろうか」
俺は意識をアテナたちにに向けるのだった。