第150話 分断
「なあエロ大魔王!これやられたら女はみんな落ちるぞ」
「そうですか?」
「んー!それは言えると思う」
「お前ならカーリーとも互角に戦えるんじゃないかガシャガシャ」
「どうでしょうね。しかし互角に戦えるのはこっちは4人しかいないんじゃね。あっちは10人なんでしょう?勝負にならんじゃないですか」
「1人か2人のところを狙って各個に潰していくしかないな」
嫁たちはかなり強いがそれでも俺たちレベルの相手をするには少なくとも3人はいないとダメだし···ちょっと厳しいな。リリンなら連れて行けるかな。
いやいや嫁たちを危険にさらすわけにはいかん。何か考えねば!
とにかく相手の位置をつかまんことには勝負にも何もならん。まず偵察だな。
偵察といったらアベイルだな彼女に残りの島の探索をさせよう。
あと探索していない島は17個もある。端から見ていくしかないな。
「アベイル。調査をお願いしたい」
「プミー大魔王様分かりました。魔力をください」
円盤に乗り島を回る。こうして残りの未調査の島にアベイルを5人ずつ配置した。
今回の調査は簡単だと思う。強い魔力、強い力を感じればいいのだから。
ほどなく相手の情報を掴むことができた。こちらが調査した島の反対側、つまり、こちらが調査していない北側の島にやつらはいるようだ。
今7人いるという情報が入っている。さすがアベイルだ。各島に1人だけ残すようにしてあとは全部奴らがいる島に移動させることにした。
俺がアベイルの気配を感じてそこに転移する。それを繰り返す。奴らのいる島にアベイルを68人置いて更に監視をさせる。
カーリーたちがいた二つの島はかなりの生物の死体が転がっていた。たぶん奴らにやられたんだろう。まったく酷いことをする。
奴らがいる島はかなり大きい。10万平方キロメートルはあるだろう。
7人を分散させなければならないが、さてどんな手でいくかってことだよね。
アベイルからの報告によれば彼らは強いが転移魔法は使えないようだ。アイテムもないらしく島を泳いで渡っていたそうだ。
それならば、やりようはいくらでもある。俺は一旦ナチュラルリッチタウンに戻り3人に意見を聞くことにした。
「現状は今話したような感じだ。どうする?」
「カーリーとヴァハグン以外は一対一でやりたいな」
「1人ずつバラバラに飛ばすこともできますよ。3対1なら勝率がより上がりますが」
「それはさすがに武を極めた者としてはどうなのかな」
あーそうか。やはり誇りがあるのだな。一対一でないと納得できないらしい。
「あの皆さんに確認しておきたいんですが、この戦いは彼らを殲滅することですか?それとも懲らしめればいいんですか?」
「んー。カーリーとヴァハグンは殺すしかないと思う」
「他の者はあの2人にそこまで心酔して仕えてるわけではないので改心の機会を与えても良いと思うガシャガシャ」
「なるほど、でも気をつけてくださいよ。勝ったと思ったときが一番危ないですから」
「そうだな。気をつけよう」
話がまとまり7人の内のカーリーやヴァハグン以外を引き離すことにした。
3人には島の端の北側、東側、西側で分身アベイルと待っていてもらう。
俺は久しぶりに巨大ゴーレムを出す。
「30体位でいいかな」
これを使ってあの7人を分断して転移魔法でアテナ達の所へ送り込んでやろう。
ゴーレムたちに乗って移動を開始した。この調子で行くともうじき会えるだろう。
「お前らか!この辺りの島を荒らしているのは」
「ふん!だったらどうした!」
「消えてもらう」
「面白い!」
久々に魔導バズーカをぶっ放した。奴らは一斉にその場から離れた。
そこを狙って俺はゴーレムを走らせやつらを分断する。前に3人後ろに4人に分かれた。
後ろの4人を転移魔法で送るつもりだ。ライオン頭の二人と鳥頭とあと男が1人いるな。あの男がヴァハグンだな。
鳥頭は北へ、ライオン頭男は西へ、ライオン頭女は東へ送ってやった。ヴァハグンは南にいるアベイルの所に送ってやった。
「こんなもんかな。またね」
「おい!ちょっとまてー!」
「すごい!消えた!」
「あいつ!転移ができるのか。みんなどこかに送られてしまった」
「すげえな!あいつ強いぞ!見て分かる。ふははははは」
「そこですか?確かに強そうでしたけど。みんなが送られた先にはアテナたちがいるんですよ」
「たぶん。そう」
「元々あいつらは互角だったじゃねえか。だったらたぶん一対一だし、どうなるかまだわからねえぜ」
「見ましたか?あの巨大ゴーレムのあの動き!あんなのを作れるやつなんですよ。油断できないと思います」
「ゴーレム逃げた!一体もいない」
「まあそのうち結果はわかるだろう。 待つしかねえな」
「ヴァハグン様なら大丈夫だと思うのですが」
「ヴァハグンの奴いいな!あいつとた戦えて」
「···」
西にはアレースがいる。ライオン頭男との対戦になる。
北にはアルテミスがいる。隼男との対戦だ。
東にはアテナがいる。ライオン頭女との戦いだ。
そして俺はヴァハグンとの戦いになる。アベイルの気配を感じ南に転移する。
「ようようねえちゃん。いいケツしてるなちょっとさわらせろよ」
「プミプミプミー!いやです。あなたの相手は大魔王様です」
「そんなかたい事を言うなよ。ほれほれー」
「プミプミー!いやー!」
「そんなプミプミ言うなよ」
ボガッ!
「いってー何しやがる!」
「それはこっちのセリフだ。うちの従者のしりを触るな!」
「いいじゃねえか減るもんじゃなし。こっちは何百年も寝てて女に飢えてるんだよ」
「そういうのは俺に勝ってからにしろ!」
「ほう。面白そうだな」
「念のために聞くが降参する気はあるか」
「寝言を語るんじゃねえ。俺に言うこと聞かせたきゃ俺に勝ってみせろ」
「なるほど。それはわかりやすい」
俺たちはお互いに剣を抜いて向かい合った。