第141話 聖女リリム
リリムがオオカミ族を追っ払って約1時間後30人だったオオカミ族は300人に増えて戻ってきた。
さあリリムちゃんどうするのかな?こんなにたくさんになっちゃって。
「ようよう姉ちゃん!さっきは随分かわいがってくれたな。今度はそうはいかねえぜ。何かしたらこのガキどもの首が吹っ飛ぶぜ」
「武器を捨ててこっち歩いてこい」
リリムは武器を置いて相手の方へ歩いていく。一体どうするつもりだ。
「あーそうだ。まだ武器を隠してるかもしれねえ。身につけてるものを全部取ってこっちへ来るんだ」
むむ、なんということを言うんだ。 あいつらは俺の可愛いリリムちゃんに向かって!
「ボスそろそろ出ていいですか?あいつら皆殺しにしたいんですが」
「マスター早く片付けないとリリム様の素肌を見られてしまいます」
「むむむ、俺だって、俺だって飛び出して行って皆殺しにしたいんだ。それをそれを我慢してるんだ。もうちょっと様子を見よう。何か考えがあるはずだ」
リリムは服を全部脱いで裸になって オオカミ族の方へ向かう。
「こりゃいいぜ!たっぷりかわいがってやるからな」
「変な真似はするなよ」
「いい乳してるなあ」
「もう我慢できません。ぶち殺してきます」
「待て!待てって!親の俺が我慢してるんだ。お前たちも耐えろ!」
「しかしー」
突然人質を取ってるオオカミ族も周りのオオカミ族もバタバタと倒れ始めた。
300人のオオカミ族が倒れるまで1分とかからなかった。一体どうしたのだ。
「これは一体どうしたことだ。あーそうか。スリープを使ったのか」
すぐに子供たちを奴らの手から取り戻し家族の元に返してやった。
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
「リリム!最初から眠らせるつもりだったのか」
「はい。お父さん。やっぱりリリムには殺せませんでした」
「だがどうするんだ。明日になればまた今日の倍以上で攻めてくるぞ。責任が持てないなら助けない方がいいと思うが」
「はい全くその通りだと思います」
「しょうがない全く我が娘ながら ほとほと甘いな。まるで聖女様だよ」
「なるほど聖女様ですか。まさにそのものですねマスター」
「その通りです。聖女様です」
「リリム!リリム!リリム!」
まったくお前たちはやし立てるなよ。と思うがここまで来ると恐れ入るな。
一歩間違えば死んでいたぞ。それを平気でやってのけるとは。
魔法いつ発動したか俺ですらよくわからなかった。とにかくリリムの考えはよくわかった。それならそれを通せば良い。
「仕方がない手を貸そう。もうこの村は襲うな」
俺はオオカミ族に魔力を送り一斉に 洗脳を行う。
「ありがとう。お父さん!」
よほど嬉しかったのかリリムは裸で俺に抱きついてきた。
「リリムもう終わったんだからそろそろ服を着たらどうだ。立派なものが丸見えだぞ」
「キャーお父さん見ないで!」
ストレイジから布を出してリリムにかけてやった。
「リ、リリムお嬢様お見事です」
「うむ。我は感心した」
目が覚めたオオカミ族たちは、ぼーっとしながらあちこちへ散って行った。
一件落着したので転移門を通ってナチュラルリッチタウンに帰ってきた。
リリンに会って今日あった出来事を話した。
「リリンたちの一番我慢できなかったところを受け継ぐなんて···すごいのー」
「確かにそうだな。しかしこれじゃ いつ何が起こるかわからんな。誰か頼りになる者をつけておく必要があるな」
「それならいい人がいるのー」
「誰だいそれは?」
「この間はナオトが助けたエステルなのー」
「ああ、彼女なら剣の腕も性格も申し分ない。是非従者になってもらおう」
早速バイモンに断って人族領にある 妖精族の村に行ってみることにした。
エステルさんの家は妖精族の村の端の方にあった。
他の家とはちょっと違っていて自然の中に溶け込むような感じで建てられている。
昔の妖精族はこういう家に住んでいたのかな。
「そういうわけで我が娘の従者になってもらいたいのですが」
「ええ、いいですよ。こちらの生活にも慣れましたし、そろそろ仕事をしようと思っていたとこなんです」
「それは良かったです。ありがとうございます」
従者も一人見つけたことだし、これで一安心だ。あとは自分で仲間を探していってほしいな。