第138話 ウサギ族
妖精族のエステルさんを連れてナチュラルリッチタウンに帰ってきた。バイモンの所に連れて行き会わせた。
「バイモン、妖精族の人を連れてきたよ」
「え?どこからですか?」
「ウロボロスの腹のなかからだ。勝負して勝ったらもらえたんだ。名前はエステルさんだ」
「相変わらずめちゃくちゃですね。バイモンです」
「始めましてエステルと申します」
2人はずいぶん長い間話し合っていたようだが結局人族領にあるバイモンの 村に住むことになったようだ。
エステルさんは少なくとも200年以上昔の人らしい。
俺はリリンの所に帰りリリムの顔を見る。もうおねむの時間らしい。
「リリン様子はどうだい?」
「うん。順調なのー」
「そうか。それは良かったな」
しばらく話をして一緒に過ごした後、俺は今日のお勤めのネフィのところに 移動する。
「あん。大魔王さまネフィも赤ちゃんが欲しいです〜」
「ちょっとまだ早いんじゃないか。ネフィだってまだ何年かしか生きてないだろう」
「はあん。それでも欲しいのです〜」
「分かったよ。考えておくよ」
「あ〜ん。またそればかり〜」
だってまだ7歳だし。でも、もういいかな。
「分かったよ。今度来るとき用意をしてこよう」
「ネフィ。嬉しい〜」
こうして俺は今日も夜のおつとめを果たすのだった。
次の日の朝
俺と従者たちは虫島に転移する。そして円盤で島をめぐる。
幻獣の島はパスして違う島に上陸することにした。
この島はそんなに大きい島ではないがそれでも30万平方キロメートルある。早速上陸してみる。
遠くから見た限りではそんなに発展した大都市のようなものは見られない。
だがここにはたくさんの生命反応がある。一体どんな生き物がいるのだろうか。
この島はやはり火山島で島のあちこちに火山が見られる。だがそれ以外は平原になってるところが多い。
よく見るとその平原にたくさんの穴があいている。どうやらたくさんの生命反応はこの穴の中からの反応のようだ。
穴はやはり人が通れるほどの大きさだ。中から人間?いやウサギ?が出てきた。
どちらかと言うと人間にうさぎの耳と尻尾がくっついているような存在だ。
裸だからエロい。そして果てしなくかわいい!
赤い目をしている者が多いが人と同じで他の色もたくさんある。
あ、オスもいる。うーん。かなり弱そうだった。
ズン ズン ズンズンズンズン!
「なんだこの音は?」
「どうやら別の種族が来たようですよ!マスター」
こちらは人にオオカミの耳と尾をつけた2メートルはある筋肉のかたまりのような連中だった。オオカミ族だな。
「えものだ!殺せ!殺せ!」
「ギャー」
「ぐあー」
「ああー」
オスが立ち向かうがみんな一撃で殺されてしまっている。弱!
「メスは食う前にやれ!」
「キャーいやー!」
「来ないでー」
「これ、前にもあったシチュエーションですよね。ボス」
「ま、まさか大魔王さま行く気ですか」
「問うまでもないな。我でも行くな」
「プミー!」
俺たちは飛び出してオオカミ連中を残らずぶち殺した。
そして女たちに治癒魔法をかける。
「エクストラヒール!」
「た、助かりました。ありがとうございます」
「ぴょん君!わああああああ」
「うさ君!うえーん」
弱いけど勇気はある男たちだ蘇らせてやろう。
「リバイブ!」
死んでいる男たちをつなぎ合わせて治癒魔法をかける。そして蘇生魔法をかけ男たちは次々に生き返った。
「ありがとうございます!」
「よかったー!」
「あなたは神様ですか?」
「いいや、別の種族の者だ!」
今助けた者たちは男女で50人はいる。殺した狼は20人ほどだ。
「男たちよ。男なら自分の女は何が何でも守れ!」
「「はい!」」
「あの程度の者気合いでなんとかしろ!」
「「「「「「はい!」」」」」」
「し、しかし大魔王様、気合いでなんとかなるレベルじゃないですよ」
「そうかな?」
「マスター体つきが全く違います。あれじゃ武器を持ってもやっぱりやられちゃうでしょう」
「うむ。どうするか」
「ボス仕方がないですよ。自然の摂理なんですから弱い方は負けるんですよ」
「うん。アイの言うことは正しい。だが俺は俺たちの種族に似た者たちが一方的にやられるの放っておけない」
「言うと思いました」
「お前たち。強くなりたいか」
「「「はい!なりたいです!」」」
「よし俺のそばに来い!」
俺は自分の魅力をウサギ族に分けてやることにした。
「か、神様!気持ちいいです。もうだめです」
「神様じゃない大魔王ナオトだ。女を守りたければ耐えろ!」
3分ほどで男たちはみんな倒れていた。だがこれで前よりは強くなれるだろう。
俺たちはこの集落を後にして違うところに行ってみることにした。
しばらく歩くとまたウサギ族の集落を見つけた。だがここは既に襲撃を受けた後のようだった。
血の跡があちこちにあるので大人たちはみんなやられてしまったようだ。
死体がないところを見るとみんな連れて行かれてしまったようだ。
穴の中を調べてみると子供たちがたくさん出てきた。全部で30人はいる。
「なぜだ?なぜこんなに取り残していくんだ?」
「我には分かる。獲物を狩り尽くすと次に自分の食べる分がなくなってしまうからわざと残していったのだ」
「そうか。なるほどな」
「しかしこれでは次に来られたら全滅だ。この子達の親を少しでも連れ戻した方がいいだろう」
「はい、そうですがだいぶ時間が経っています。見つかるかどうか」
俺は飛び上がり上空から探す。もっと大きなの穴のある集落を見つけた。たぶんあそこだろう。
みんなには子供たちを守らせて俺はアベイルだけをつれてそこに移動してみた。
男は全て殺され食われた者が多かった。女たちはもてあそばれていた。
「おらおら、逃げてみろ、ひゃはははは」
「いやー」
「ははははは」
「もういや。助けてー」
アベイルがすぐさまオオカミ族に飛びかかる。次々と毒攻撃で相手を無力化していく。
かなりの数あちこちへ逃げて行ったが向かってきた狼族は10分ほどで全滅した。
女たちの手当てをする。そして殺されている男たちの蘇生を行う。
助けたのは女が32人男が14人だった。男はだいぶ食われてしまっていたようだ。
「ありがとうございました」
「だいぶひどい目にあっていたようだが大丈夫なのか」
「大丈夫です」
聞いてみると妊娠しても生まれてくるのはみんなウサギ族になるそうだ。決してオオカミ族は生まれない。
唯一遺伝するのは目の色だそうだ。純粋のウサギ族は赤だが他の種族の血が入るとそちらの目の色になるそうだ。
なんと逞しいつくりになっているのだ。弱くても生きていけるだけの条件は揃っているようだ。
集落に帰って親子を対面させた後、俺たちは移動を開始する。
「マスターきりがありませんよ。どこの集落に行っても同じようなことが 繰り返されてます」
「そのようだな。よしアベイル分身して全滅した村を調べてくれ。子供だけ残ってるような村だ。俺の魔力を分け与えるからできるだけ分身して調べてみてくれ」
「プミー分かりました」
どうにもならないなら、せめて子供達だけになった村だけでも何とかしたい。