第136話 女王とリリムの誕生
次の日の朝、予想通りミツバチ族はみな大人になっていた。
「大魔王さま早く来ないかな」
「私が女王になるのよ」
「何言ってんの私がなるのよ」
欲望むき出して言い争ってはいるが、みんなものすごい美人に成長した。
ベルフェゴールが巻いた布も無駄になってしまうほど立派に成長した。
「おはようみんな。元気に目覚めたかな」
「キャー大魔王様ー!」
「私を選んでー!」
「私をー」
みんなすごい勢いだな。だが本当に皆美しく成長した。お色気ムンムンである。
みんな同じくらい美しい。これならたくさん卵を産めるだろう。この中から一人を選ぶなんてほとんど不可能に近い。
昨日は簡単に言ったけど、これじゃ選びようがないな。どうするか?
そうだ!あれがあった。
「君達女王になるってのはどういうことか分かるか? 卵を産み続けるって言うことだぞ」
「重労働なのだ。だからこれから同じような重労働を早くできたものに女王になってもらおうと思う」
「この入れ物に蜜をいっぱいにして早くここに戻って来たものが女王だ」
彼女たちに渡したのは100リットルの 果物採集用の植物で編んだかごだ。
「このままでは蜜が漏ってしまうので自分たちで工夫してこの中に蜜が貯められるようにして持ってきてくれ」
「本当の自分の能力を見るものであるから人の邪魔をした人はそこで失格とする。それじゃみんな頑張ってくれ」
「「「「「分かりました!」」」」」
彼女たちは巣を作るのに自分の体内から分泌した蜜ろうを使う。
だからこのかごの穴をふさぐことは簡単なことだ。
後はどうやって蜜を早く採取してここまで早く運んでくるかの勝負になる。
ゴールの近くは蜜を集める者で溢れかえっていた。だがたくさん人数がいるのでなかなか蜜は集まらない。
遠くで集めればそれだけ早く蜜が集まるが運ぶのが大変だ。
さすがの彼女たちでもこのかごいっぱいの蜜を集めるのに3時間はかかるだろう。
あとは花によって多く蜜が出るものがある。それを見分けられる者は蜜を早く集めることができるだろう。
約3時間後、かごを抱えたミツバチ族が少しずつ帰ってきた。
さすがに重くて飛べないので抱えて歩いて持ってきている。
早く戻れた賢い女の子達が14人いたのでその娘たちを女王とした。
「あの大魔王様。私達に名前をください」
「名前か。なるほど。分かりました」
俺は彼女たちの容姿やイメージに応じて花の名前を付けてあげた。
「君は女王デイジー。君は女王シスル。君は女王アイリス」
「君は女王バイオレット。君は女王サンフラワー。君は女王リリー」
「君は女王オーキッド。君は女王ジニア。君は女王フロックス。君は女王ダスティミラー」
「君は女王グローリー。君は女王ハイアンシス。君は女王ダイアンサス。君は女王クリサンセマム」
「素敵な名前をありがとうございます」
「よい村を作ります」
彼女たちは破れたものを従えて各地へ散って行った。そこで花の種をまき 集落を作る予定だ。
集落が出来た頃、俺は各村を回ることになっている。
「大魔王様!吉報です。リリン様がお世継ぎをご出産されました」
「え、もう?意外と早かったな」
俺はすぐに家へ戻りリリンの様子を伺った。
「リリンおめでとう!」
「ありがとうなのー」
「だーあー」
やはり赤ちゃんは女の子だった。リリンよりも濃い赤い髪だ。リリスにそっくりだ。
俺も自分の魔力を赤ちゃんにあげる。
「やはり名前はリリムにするのか」
「うん。そうするのー」
「そうかリリムか。いいな」
「うーだぁー」
「マスターおめでとうございます」
「だ、大魔王様お祝いをしましょう!」
「祝か、そうだな。宴会位はいいかな」
なんて言ったがかなり盛り上がって 三日三晩大騒ぎをすることになった。
たくさんの人が来てくれたからだ。特にリリスがすぐ来てくれた時は一番盛り上がった。
「リリンよ、よくやったの」
「ママありがとうなのー」
「そうだね。ほうらリリム、おばあちゃんにご挨拶をして」
「お、おばあちゃんか···まいったのう」
「はっははははは」
「はははははは」
お祝いが終わってからはミツバチ族の集落を回って頑張ることにした。
「ここが女王デイジーの村だな。もうしっかり家ができているな」
花もたくさん咲いている。みんな元気に働いているようだ。
「大魔王様こちらです」
「なかなかいい村になったね」
おお、さっそくか?分かりましたよ。頑張りましょう。
彼女たちは俺たちは種族は違うがきちんと子孫は残すことができるようだ。彼女の方は全く問題ないとのことだ。
愛し方は人族式でいいようだ。これは 今までお相手した人たちとはまたタイプが違うような気がする。本当に八頭身の超絶美人だ。
彼女の体内には俺の魔力入りのたねがあるがとっておきが効くそうだ。だから一回の行為で 卵1000個ぶんぐらいは間に合うようだ。
な、なんて便利なんだ。
こうして俺は1日に村を3つか4つ回る。5日ほどで全部を回りきることができた。
これで一段落だな。そろそろ次の島へ行ってみるか。