第11章 諸島冒険編 第133話 虫島
「ただいま。あなたの大魔王が帰ってきましたよー。みんなどこですか?」
「あれ?誰もいない。どこ行ったんだろう?3ヶ月も開けてたんでみんな愛想を尽かしてどっか行ってしまったのかな」
「そんな事あるわけないですよ。マスター」
「何か理由があるんですよ。ボス」
「6人もいるだから1人位いてもいいのではないかな?」
「プーミー」
「ほ、本当にどこに行ったんでしょう?」
「おーい、ランダさーん」
「はい。大魔王様いかがなされましたか?」
「嫁たちはどこに行ったんだい?」
「奥様たちはみなさん自分の用があり外出中ですよ」
「そうか。いつ帰って来るのかな」
「今晩にはみんな揃うと思いますよ」
「それはよかった」
リリンはリリスの所へ。エレンミアとシャーロットは人族領の領地へ。ネフィとバイモンとフレイムは領地視察へ行ったそうだ。
皆が帰ってくるまで何をやっていようか。この間もらった宝を調べるというのもいいが円盤に乗って他の地域を見に行くという手もある。
星を一周したわけではないので、まだ陸地はあるだろう。ここはやはり円盤に乗って新しい土地を見つけに行くというのが面白そうだな。
よしちょっと神国まで転移してその後そこから円盤に乗って探検に出発してみよう。
「あー、ボス。どこに行かれるんですか」
「いやちょっとな、探検に出かけようかと」
「では我らもご一緒します。マスター」
「いやさっき帰って来たばかりだしみんなはゆっくりしていてくれ」
「そ、そうはいきません。従者たるもの主人が出発するのについていかないわけには参りません」
「我もそう思います」
「プーミー」
律儀な連中だね本当に。少しは休めばいいのに。
「わかった。ついてきてくれ」
俺は神国ならだいたいどこへでも転移ができる。農地作りで色んな所に行ったから結構覚えている。
今回は東神国の一番東の岬に行くことにした。
「ここからは円盤でいこう。どんな大陸があるかな」
円盤で飛んでいく。マッハ10は出る円盤なので本当に速い。
「さっきからしばらく飛んでいるが海ばっかりだな」
「そ、そうですね。もう陸地はないんでしょうか」
「いや我はまだ陸はあると思うな」
「ほう。何でそう思うんだいベルフェゴール」
「魔国と神国を合わせてもこの海の広さには及びません。陸が全くないとは思えませんので」
「なーるほどね。さすがベルフェゴールさん」
1時間ほどでたくさんの島が連なる諸島を見つけた。大きいもので魔国の 1/5程度の島。小さなものではエレンミアたちが治める領地ぐらいの島もあった。全部で30位ある。
俺は端っこにある小さな島に降りてみることにした。
「まだ夕暮れには早いな。あと半日ぐらいはある。ちょっとこの島を探検してみようかな」
「わかりましたボス」
この島は小さいと言っても10万平方キロメートルぐらいはある。
何かが住んで生活していくには十分な大きさだ。俺は飛び上がって空から生物がいないかどうか探すことにした。
「みんなは円盤で待機していてくれ」
「分かりましたマスター」
木がたくさんあリ山が多いな。しかし山があるのは中心部分だけで周りは平野が広がっていた。
真ん中の山から川が四方に流れていた。山の近くの崖に巣穴のような穴ぼこがたくさん見える。
穴は人が通り過ぎることができる程度の大きさだ。何かが住んでるようにも見える。
なんか飛んできた。2メートルぐらいの大きさの蜂だ。だがきちんと人の顔がある?足が六本あるが上のニ対の足は 手のようになっていて武器を持っている。いちばんうしろの一対の足で立ってるようだ。
「ブンブン獲物いない」
「ブンブン腹へった」
うわー喋れるんだ。話がわかる!すごい!!
俺はすぐその場を離れた。直感でわかる!こいつら絶対話が通じない!
こいつらは蜂族だな。蜂族は崖に穴を掘ってそこで暮らしているようだ。
崖のある所からもう少し平地に出てみたらそこには花畑がたくさん広がっていた。
巨大な花の近くで何か作業をしている?これも蜂かな?さっきよりは小さくて人間ぐらいの大きさだ。
やはり蜂族だが何をしてるんだろう?ああ、花の蜜を集めているのか。
なるほど同じ蜂でもこいつらはミツバチ族か。さっきのは肉食のようだからスズメバチ族かな。
「プン蜜がたくさんあるわ」
「プンどんどん運ぶのよ」
いっぱいいるなあ。300人はいて全部裸の女の子だ。さっきのと違って柔らかそうで、こっちの方が人間に近いような気がする。
だっておっぱいがあるんだもん。人間の女の子に丸い羽が生えて、そしてお尻のところにとんがったトゲのようなものがついている。とってもエロカワイイ生き物だ!
みんな蜜を集めると同じ方向に飛んでいく。その先を見てみると土を固めて作ったような大きな塊があった。あれが巣というわけか。
何やらここは虫と人間が混ざったような生き物がいる世界だな。話が通じるとこが一番面白い。
他に生き物はいないのだろうか。俺はもう少しあたりを探してみる。
他にも生き物はいた。全部虫の特徴を取り入れている人間のようだ。いや人間の形をした虫なのか。どっちだかわからん。
例えばさっきのスズメバチ族のような 二足歩行で歩くクワガタムシ族。カブトムシ族。
こちらはきれいな羽をもったアゲハチョウ族。
大きいものとしては8本の足を持ったクモ族。カマキリ族。4メートルはあるな。
丸いテントウムシ族。長いミミズ族。色々いた。
円盤への帰り道、ミツバチ族の巣がスズメバチ族に襲われていた。
スズメバチ族は10人程度だが出てきたミツバチ族は次々にぶち殺されていた。
「プンみんな家を守るのよ」
「プン分かりました。ギャー!」
「グアー!」
「ブンブンこいつら、やわらかく、うめえ」
「ブンブンくってるな」
「ブンブンたまご、みつ、ねらえ!」
あー!かわいこちゃんたちが、みんなぶち殺されている。うわー!かじられてる!もう我慢できん!!
「ハイレーザー!」
勝負は一瞬でついた。スズメバチ族の10体はあっという間に黒焦げになっていた。
俺は殺されたミツバチ族の女の子たちを生き返らせることにした。
「リバイブ!」
30体位やられていたが全て生き返らせることができた。もちろんかじられた部分は再生してから生き返らせることに成功した。
「よかったな」
「プンありがとうございました!」
「プンあなたは誰ですか?」
「あー名乗るほどの者じゃないよ」
俺は透明化の魔法をかけて気配も消してこの場を立ち去ることにした。
「プン消えた!神だ!」
「プン神様が助けてくださいました」
「というわけでここは虫と人間が合体したような生き物がいる島だということがわかった」
「す、すごいですね」
「そんな世界があるのですね。我はびっくりしました」
「マスターと一緒だと話題に事欠きませんね」
「ボス、そのスズメバチ族っていうのがまた襲ってくるんじゃないですか」
「プミー!」
「あーそうか。たぶん追撃が来るだろうな。あっという間に30体ほどが殺されていたからな。あれ以上来たらすぐ全滅するだろう」
「うーん。それじゃ今日は残るか」
「いけませんマスター。今日は奥様たちとの対面の日です。留守を守った奥様たちに労いの言葉をかけてあげなければまずいのではないですか」
「うっ、確かにそうだな。3ヶ月もあけてたからな。どうするか」
「われわれで今夜は守ります。マスターは魔国に行ってください」
「すまんな」
俺は従者たちに任せて魔国に帰ることにした。