第126話 土地神様成敗
「私は東神国のミカエルです」
30歳位かな。ラファエルの方が年上だな。
「私は南神国のウリエルです」
若いな。どう見ても20歳位だろう。
「私は北神国のガブリエルです」
25歳位だろう。みんな見事に金髪だ。そして羽が生えている。
このガブリエルって言う人はどこかで会ったような?ああ、分かった。ジブリールに似ているんだ。
「私の顔に何かついてますか。大魔王ナオト」
「いえ、あなたに似た人を知っていたもので」
「ほう。私に似た方ですか。一体どんな人ですか」
「蘇生魔法の使い手でジブリールっていう人にそっくりだったんでね」
「蘇生魔法ですか。ふふふ···ああ失礼。それが本当だとしたら随分昔にそちらに行った人なんでしょうね。私の同族には違いないと思います」
「そうなんですか。世の中狭いですね」
「あなたも蘇生魔法が使えるんですか」
「ええ、使えますよ。彼女の許可を得て見取りで覚えました。自己流ですけどね」
「そんなバカな。この神国でも使えるのはガブリエルだけなのに。見て覚えたなんて信じられないわ」
「この大魔王ナオトは信じられない事をたくさん引き起こすんだよ。ウリエル」
「それでどうやってあの囲いを作ったんだい?」
「ああ、あれはうちの親衛隊の娘たちにガードをしてもらっている間に作ったんだよ」
「うちの国にも来てくれないか。報酬は期待できるぞ」
「何か訳でもあるのか?」
「うむ、ちょっとな困っている事があるんだよ」
「分かったよ。何かあるならそちらからいこう」
「ちょ、ちょっと、私たちはどうなるのよ」
「こちらの方が急用みたいなんで、こっちが終わったらそっちにも行きますよ」
「連絡はどうするのよ」
「それならこれを持っててください。ネックレス型の通信機です。男性には腕輪型があります」
「はあ、分かったわよ」
というわけで東神国へ行くことになった。ミカエルの乗り物だと時間がかかりそうなのでルームに入ってもらって 円盤で飛んで行くことにした。
「それで一体何に困ってるんだよ。そろそろ話してくれてもいいんじゃないか」
「うむ。実はな神様に過大な要求をされて困っている」
「はあ?何それ?まず神様って何よ」
「地域で祀っている土地神様で豊穣の神である地竜様だ。何千年も生きていて土地を豊かにしてくれる。ありがたい神様だ。ところが知っての通りこの大陸は魔物が異様に強い。だからそれを押さえてよいよい土地を作るというのは並大抵の苦労ではない」
「だから要求か。一体何を要求されているんだ」
「いやー大体ががちょっとした食べ物でいいんだが最近は家畜の類を要求されていた。最近になって人間の女の子をよこせと言う要求に変わったのだ」
「なんだそりゃ。どっかの昔話のような話だな」
「さすがに人間を出すわけにはいかないのでしぶっていたのだが向こうの怒りも頂点に達してな、もう抑えられぬのだ。一応私の姪っ子を用意しておいたのだがまだ出してはいない」
「竜だろう?そんなわがままな神は倒してしまえばいいのでは」
「それがそうもいかんのだ。何千年も生きてるだけあって強いのだ。我らが 兵では近寄ることすらかなわん」
「仮にも神様を殺しちゃっていいのか」
「出来るものなら構わない。人間を差し出すよりはマシだ」
「ふーん。それで俺ヘの報酬っていうのは何を出すつもりなんだ」
「うまくいったらうちの姪っ子をやろう」
「何で女の子をくれるんだ?」
「だって君は自分で金を作ることができるし蘇生魔法まで使えるという。それじゃあ普通の財宝では満足してもらえんだろう」
「いや、だからって人間をもらうのは その地竜と一緒じゃないか」
「我が姪はかわいいぞ。神国きっての美しさだぞ」
「何!うーん、考えておこう」
その地竜は東大陸のちょうど一番西側つまり魔物の力の一番強いところに住んでいるというのだ。
ミカエルの居城からちょっと離れたところだそうだ。そこに案内をしてもらう。
「おおミカエルか。私の花嫁は用意できたか?」
「いやーそれがですね。土地神様の 要求が飲みきれなくなりまして。ここで申し訳ないんですが成敗させていただきます」
「なんだと誰にものを言っておるのだ!お前たちごときがわしに勝てるわけがないではないか」
「戦いはこちらの大魔王ナオトさんがやってくださいます。どうぞ」
「何、その紹介?」
「魔王?おもしろい!見事わしを止めてみせよ」
地竜は羽で大風を起こし俺の方にそれを当ててきた。なるほど、これはものすごい風だな。普通じゃ立っていられないわ。
この地竜はやはり全長50メートルぐらいはある。フレイムとはちょっと違うタイプかな。
「それじゃあ変身!」
「おおっ大魔王様が女性になった?」
「燃える大岩よあれー!」
10メートル位の燃える大岩を無数にぶつける。
「ぶああああああああー!!」
「どうよ?少しは効いたかな。あれー?」
地竜は全身血まみれになって息もたえだえになっていた。
「ぐああ···なんという攻撃だ···はあはあはあ」
「え?もう参ったの?まだ始まったばかりなんですけれど」
「···いやもう参っ」
「いや、そんなことはないですよね?まだまだこれからですよね」
「じゃあ次は、いでよ鉄のトゲトゲー!」
「ぐぎゃーー!!」
「次はー」
「あの、もう死んでますけど」
「えー!弱!」
「神様ならこれくらい平気かと思った。どうしよう生き返らせる?」
「そうですね。できればお願いします」
「体の各箇所を治して、エクストラヒール。そして復活させる。リヴァイブ!」
「あれ、わしは死んだはずでは?」
「生き返らせました」
「はは~」
結局世の中は力ということで、これまでどおり土地神様をやってくれることになった。
一つ条件で土地に力をつけ良い土を作る魔法を教えてもらえることになった。
「これで仕事は片付いたわけだね。特に急ぐことがなければ他の地域にも行ってみようかな」
「まあまあ、そんなに急がなくても大丈夫ですよ。報酬の件もありますから」
「姪っ子さんの件はもういいですよ」
「そう言わず会うだけ会っていってください」
「レミエルやおいで」
「こんにちは。ミカエルおじさま。そちらの方は」
「地竜をこらしめてくださった大魔王ナオト様だよ」
「えー!あの土地神様をやっつけたんですか。すごーい」
「すごく強いお方だよ。そして慈悲深いお方だ。この方のところにお嫁さんに行くかい?」
「うん。行くー」
確かに美しいし可愛い。だがレミエルちゃんはまだ6歳だそうだ。
「あーレミエルちゃん、もう少し大きくなったらにしようね」
「はーい」
「君の周りの人達がなぜ女の子置いていくか、わかったような気がするよ」