第122話 隣の国との交流
新大陸に上陸して3時間。俺たち5人は海岸から1キロメートルの地点で1メートルほどの猿の群れと戦っていた。
魔国にも人間界にもいる猿なのだが こちらの方が倍以上は強い。30匹も40匹もいて面倒なのでハイレーザーで焼くことにした。
身体能力が恐ろしく高い。こんな速くて凶暴な猿見たことがない。
さすがにハイレーザーは避けることができずにあたりに倒れていった。
「ふう。やっと片付いた。やっぱり予想通り中へ行けば行くほど動物は強くなるな」
「そのようですねマスター。魔国とは比べ物にならないくらい強いです」
「ボス!人間はいるんでしょうか」
「お、同じような動物がこれだけいるんなら人間もいるかも」
「そうだなあ。そうしたら恐ろしく強いんだろうな」
「プミー!」
俺たちはもう一度円盤に乗って、もう少し低くこの大陸を偵察してみることにした。
さっきは高いところから見たので、おおよその広さが分かったけど何がいるかまでは分からなかった。
今度は低く飛んで何がいるかを見てみたい。地上から500メートルぐらいの高さでゆっくり飛んでみた。
海岸から3キロメートルを超えると 柵で覆われた集落のようなものが見えてきた。
柵は太い丸太で作られていて高さは5メートル位だ。中の家は木を加工して木の上に作られている。鳩の巣箱みたいだ。
地上には家が建っていない。何かやはり危険があるのかな。
このまま円盤で柵の中に入ったら敵だと思われそうなので集落の外で円盤から降りて近づくことにした。
「あれーマスター。この木の柵入口がどこにも見当たりませんよ」
「本当だ、入り口が全然ないや。どうやって出入りするんだろう。上から飛び降りるのかな」
「ごめんください。ちょっと話をしたいんですがお願いできますか」
「だ、誰も出てきませんね」
「けっこう広い集落みたいだから誰かいるだろう」
「ごめんくださーい!!」
「聞こえとるよ。どなたじゃな」
話は通じるんだ。丸太が2メートルぐらいの高さでドアのように内側にひかれて出入り口になった。
「私は魔国の魔王ナオトというものです。となりの大陸から来ました。できれば話をちょっとしていただきたいのですが」
「なんじゃとー。隣の大陸から来たー?あの海を渡れるわけがないだろう」
「ああ、空を飛んできましたので船で来たのではありません。敵意はありません」
「て、敵襲じゃー!魔王が攻めてきたー!」
「えっ?敵意はないって···」
あっという間に俺たちの周りには屈強な戦士たちが現れ取り囲まれた。およそ30人はいる。
みんな剣やら槍やら色々な武器を持っている。ただみんなに共通するのは背中に羽が生えているということだ。
魔国にも羽の生えた者はいたけれど、こんなに全員が全員羽を生やしてはいなかったな。
なんて考えを巡らせていると一人が切りかかってきた。仕方がないので応戦することにした。
俺はミスリルの剣を出し二刀流で男たちの相手をした。他の5人には下がってもらった。
なかなかみんな強く剣や槍の腕だけを見ると、うちのヴァルキリーの一番下の子たちよりは落ちる位かな。
相手を傷つけないように剣や槍を跳ね飛ばし敵を無力化してやった。
「な、なんというやつじゃ。これだけの戦士で取り囲んで一撃も当てられんとは。貴様いったい何者じゃ!」
「だから魔国の魔王ナオトだって言ってるでしょう。あなたこそ誰ですか」
「わしは西の浜村の長。べックじゃ」
「ここはなんという国なんですか?」
「ここは西神国、ラファエル様が治める国じゃ!」
「神国!お隣にそんな国があったとは知りませんでした。突然やってきた非礼のお詫びとの友好の証です」
ストレイジから金塊を10本出してベックに渡した。
「プミー、どうぞ」
「な、なんという量の金だ!」
急に待遇が良くなって村の中に通してもらい休ませてもらえることになった。
これは力を見せたからか?それとも金塊をあげたからか?順番も関係あるのかな。
「それでベックさん。せっかくここまで来ましたので、この国を治めているというラファエル様にご挨拶がしたいのですが」
「わかりました。手紙を書きますので1日ほどお待ちください」
「1日で着くのですか」
「はい。緊急時には竜が使えますので」
「はあー、すごいですね」
ベックからこの国について聞いた。国は東西南北の4つに分かれておりその中心部分の山の頂上に神の神殿があると言う。
ただその中心部分には強い獣がたくさんいるのでおいそれとは近づけないようだ。
4人の支配者はその山のふもとに城を建てて各地域を治めているそうだ。
やはり戦士がいて達人揃いのようだ。しかし、国民全員が強いわけではない。
だから柵も必要だし、むしろ一般の者は移動ができなくて不便で困っているところもあるという。
なるほどね。大体の国の様子はわかった。せっかく国の支配者と会えるんだ。
リリン達も連れてきてやろう。俺たちは一度魔国に戻ることベックに告げた。
村の中に仮の転移門を作らせてもらった。そこからナチュラルリッチタウンに戻って来た。
「そういうわけで明日、西神国の支配者と面会ができることになったんだ」
「リリンも行ってみたいのー」
「そう言うだろうと思って戻ってきたんだ。みんなで行ってみよう」
「「「「「賛成!」」」」」
「せっかく支配者と会えるんだ。友好的な関係が築けるように何か贈り物を持ってかないとな」
「何をあげるのー」
「向こうでは金塊は貴重品みたいなので金を持って行こうと思う」
「行ったり来たりできないんではいったい何を食べてるんですの」
「畑がたくさんあるわけではないので、代わりに木に実るような穀物があるそうだ」
「食べてみたいっすね」
「でも明日はその村から支配者のところまでどうやって行くんですか」
「俺が一度そこまで円盤で行って見てくればあとは転移できるから」
「いい考えですねー」
「向こうの戦士と勝負がしてぇな」
「お友達になりに行くんだから失礼があっちゃだめだよ。フレイム」
「わかってるよ」
「それじゃあ明日に備えて今日はみんなゆっくり休んでくれ」
「「「「「はい」」」」」
俺は嫁6人と従者4人を連れて西神国へ向かった。