第119話 褒美と里帰り
私はベルフェゴール。ルシファー軍の副官だ。魔王ナオトの攻撃でアスタロト軍が崩壊したようだ。
かろうじてアスタロトと側近の2人と勇者一行が落ちのびて来た。
どうせ来るなら兵を連れてきてよ!などと思っても仕方がない。
このままでは我らの滅びるのは必至だ。もう後がない。
「アスタロトよく無事だったな」
「恥ずかしい話だ。部下を見捨てて助かるとは···敗残の身をあなたに預ける」
「それで戦いはどんな様子だったのだ」
「相手の魔人は100人を超える。魔王ナオトの従者や妻は想像を絶するような強さだった」
「普通の魔人でも刺し違えるようにして倒しに来る」
「死ぬのが怖くはないのか」
「何しろ復活できるからな」
「なんだと!復活の魔法が使えるのか」
「こちらの魔人はほとんど全滅!あちらは1人も死んではおらん」
「な、なんということだ」
「まともに戦ったんでは到底勝ち目はない」
「うむむ···」
「ルシファー様!和睦なさってはいかがですか」
「何を言っておるのだ。和睦など通るはずがなかろう」
「しかしこのままでは我らも全滅は必死です」
「うーん。何かいい手はないものか」
「やはりバアルの言うとおり巨大な兵を作って攻めていくしかないか」
「しかし魔王ナオトとその妻たちは魔法無効化の呪文を使えます」
「当てられたら魔法は全く使えなくなります。今使ってる魔法は解除されます。それでは戦いが一方的になるのでは?」
「本当なのか?」
「当てられた私が一番よくわかります。間違いなく不利になります」
「うーん!」
これはどうにもならんな。逃げた方がいいかな。副官の私が逃げるわけにもいかんし困ったな。
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アスタロト軍が崩壊したので一安心した。しかしヴァルキリーたちは張り切るのもいいが死んでしまっては元も子もないだろう。
いくら復活魔法が使えるとはいえ一応釘を刺しておくか。
「ヴァルキリーのみんなご苦労だった。素晴らしい戦果だ。だが安易に刺しちがえたりせずにもっと粘り強く戦え。死んでしまっては元も子もないぞ。いつも復活できるとは限らん。バラバラになったら蘇ることはできんし 何があるかわからん」
「「「「はっ、わかりました」」」」
「それで褒美は何がいい.何でも出してやるぞ」
「「「「「「はい。大魔王様のご寵愛が受けたいです!」」」」」」
「本当にそれでいいのか?わかった」
ヴァルキリーたちは午前中は稽古があるので午後からにしてもらった。
1日5人がいいところだな。夜は夜で嫁たちを相手にしなければならないからな。
なかなかきついかも。それでも10日ほどで褒美は終わるだろう。
「ねえアリア。私、今とっても幸せなの」
「へえ、どうして?リン」
「だって久々に大魔王様のご寵愛を受けることができたから」
「それは私も一緒だよ。本当によかったなあ」
「私、魔力がまた上がったのよ。みんな大魔王様のおかげだわ」
「うん。そうだね。大魔王様やさしかったなー」
これを機会にヴァルキリー達に里帰りをさせている。全員一緒に帰られるとちょっと困るので上位の者から10人ずつ2日ずつ休みを与えている。
転移門があるからまるまる2日親元に帰ってゆっくりできるわけだ。あと報償金も金塊で出している。
「ただいまお母さん」
「おやソフィアじゃないか。大丈夫なのかい隊長なのに帰ってきて」
「交代で休みがもらえたの。今日と明日は私の番なんだ」
「それは良かったね。どうだい調子は」
「うん、とっても幸せだよ。これは今月の分だよ」
「いや、もうたくさんもらってるから本当にいらないよ」
「私だっていっぱいあって使いきれないわ。家に置いておいてよ」
「そうかい?すまないね」
「やあソフィア。久しぶりだね。それにしてても綺麗になったね。お前」
「ああ、お父さん久しぶりです。設備がいいのよ」
「ふーん、何にしても大魔王様に感謝だな」
「うん。そうだね」
ナチュラルリッチダウンにいてはルシファーの国に睨みを利かせられないのでアスタロトの国の南に前線基地を作った。
しばらくはここに住むことになるかな。まー住まなくても毎日ここに来ることにはなるだろう。ゴーレムの配置も終わったし後はどうするかみんなと相談だな。