第115話 勇者ハヤト
「大変だ。魔王ナオト!」
「どうしたパズズ。ルシファーが攻めてきたか」
「いや、来たのは勇者だ!」
「はあ?」
「だから勇者が攻めて来た!」
バズズの話だとどうやらアスタロトの国から攻めてきたのは間違いない。
だが攻めて来たのは勇者だ。国境付近で大声で騒いでるそうだ。俺と同じように召喚されてきたものがいるということか。
最近静かにしていると思ったら、そんな奴を召喚していたのか。
「面白い。見に行ってみるか。リリン達はどうする」
「行ってみるのー」
俺は嫁達と従者全員を連れて国境付近まで出向いてみた。
「おらおら出てこい!魔王ナオトー! この勇者ハヤト様が軽くあしらってやるぞ!」
叫んでいたのは俺と同じくらいの年に見える黒髪の細マッチョな男だった。
なかなかの美男子だ。軽鎧をまとっていて右手には青く光る長剣を携えていた。
「おう!待たせたな。俺が魔王ナオトだ」
「なんだ、ただの人間じゃないか。しかも私と同郷か?」
「そうらしいな。それでなんでお前は俺と戦いに来たんだ」
「それはアスタロトに超極悪エロ大魔王がいるって聞いてな。退治に来ただけだ」
「なかなかおめでたい奴だな」
何だ!エロって。おのれ!
「お前のような奴は指導者の風上にも置けない。私がたたっ斬ってやる。そして女たちは私が解放するのだ。ありがたく思え!」
俺はミスリルの剣を抜いて構える。二刀流だ。
「俺を倒すとそんなにいいことがあるのかな。お前一人か?仲間はいないのか」
「お前など私一人で十分だ。仲間の手など借りん!」
なるほど。ちょっと離れたところに 4、5人気配があるな。あれが仲間なんだろう。
「俺は全員相手でも構わんぞ。じゃあ始めるか」
なんだこの青く光る刀は?何の効果があるんだ。まあ手をあわせてみれば分かるか。
なかなか鋭い剣だ。長剣だから間合いが長い!要注意だな。
俺は両方の件からウィンドカッターを無数に出す。さあどう裁くのかな?見ものだな。
やつは長剣を一振りして俺の無数のウインドカッターを消してしまった。一体どうやってやったんだ?
かき消したのか。とにかく無効化されたのは確かだ。
両方の件からファイアーランスを数十本出す。奴は同じようにして剣を一振りして俺の攻撃を絡め取るようにして無効化した。
ならば剣で勝負してやる。俺の剣は二本だ。奴の剣を一本で防いでその後攻撃ができるはずだ。
俺は素早く踏み込んで相手の間合いに入っていく。やつは右から刀を振り下ろしてくる。
それを左手一本で押さえて右手で切りに行く。もらった!そう思った瞬間 左腕がボロボロになっていた。
何だ?一体どうした?剣は落としてはいないが左腕に傷が無数に付いている。
すぐに間合いを取って治癒魔法をかける。これは真空波で切られたような跡だな。
なるほどあの剣の後から来た風圧でやられたのか。なかなかやるじゃないか。これでは2刀の利も通用しないな。
よしそれじゃあ小転移攻撃をかけよう。これは防げるかな。
小転移して奴の右脇に出る。さすがに反応したが間に合わない。右肩をざっくり切ることができた。
離れてサンダーストームを放つ。 そしてまた小転移で近づいて切りにかかる。
「くそう!」
治癒魔法を使って完全に治すことはできたようだが、その後雷魔法をもろにくらっていた。
「どうした?こんなもんか。こんなんで俺を倒せるつもりか」
「うぐぐ」
「そうらとどめだ!」
俺の剣が奴の腹に刺さった瞬間に俺も背中に激痛が走った。
「何だ?ち、仲間か。邪魔しおって!」
背中に真空波が当たったらしい。パックリ切れていた。
相手は女2人男2人の計4人で突進してくる。俺は奴の腹を刺して地面に釘付けにしてから背中の治療をする。
「ぐあああああ!」
「ハヤトー!待ってろ。今助ける!」
「邪魔するならこちらも出るのー」
リリンがエレンミアとシャーロットを連れて転移してきた。
男2人はエレンミアとシャーロットが相手をする。2人の女はリリンが相手をしている。
「さて、終わりにしようか」
「く、動けん!」
俺はサンダーストームを剣から流し込む。
「ぐあああああー!」
「ま、待ってくれ!私達の負けだ。ハヤトの命だけは助けてくれ」
「負けたからって命ごいか?俺が負けたら助けてくれるのか?」
「お前の言っていることは正しい。だがそこを曲げて頼む」
「うーん。こいつ俺のことをさっきエロ大魔王って言ってたよな。だったらどうすればいいかわかるかな」
「そ、それは」
「まあ無理にとは言わない。こいつにとどめをさして帰るだけだ」
「ぐぎゃー!!」
「わかった!私を好きにしていい」
「あたしもだ」
「ほう。それじゃあ2人とも素っ裸になってお願いしてみろ」
「わ、分かった」
2人は服を脱いで裸になり土下座をしてお願いした。
「「ハヤトを助けてください。お願いします」」
「この男にそんな価値があるとは思えんが、そこまでするなら今回は見逃してやる。とっとと連れて行け!」
「は、はい」
「ありがとうございます」
ハヤトはだいぶ弱ってはいたがまだ生きている。俺は剣を抜いて自分の国の方に歩いて来ていた。
「気に入らないなら、いつでもかかってこい!返り討ちにしてやる」
「ナオト甘いのー」
「うん、分かってるよ」
「でもそこが好きなのー」
「すまん!」
俺は今回の襲撃から一代決心をすることにする。
「アスタロトを倒すぞ!」
「分かってるのー」
「やっぱりそうなるっすか」
「まあ、当然ですわね」
「はあん。戦争ですね〜」
「また忙しくなりますねー」
「いつでも行けるぜ!」
「わかりました!マスター」
「いきましょうボス!」
「プミー」
「た、た、戦うんですね」
「行くぞ!」
「「「「「おう!!」」」」」