第110話 リバイブ
ジブリールのところで蘇生の魔法を習得すること嫁たちに承諾してもらった。
しかし本当に魔法だけ習得してくるとはみんな思っていないようだ。
まあこの間も1人アイスちゃんを連れてきたばっかりだし何と言われても言い訳はできない。
嫁達もこれ以上女が増えると自分への愛情が薄れると思っているのか、時間的に相手にされる時間が少なくなるのが心配なのか。
なんと俺に監視をつけたのだ。監視は1人ずつだが1日ごとに交代することになっている。もちろん初日はリリンだった。
「なんだよリリン借金取りみたいに俺にくっついてきて」
「これ以上女が増えたら困るのー」
「増えないって」
「愛の時間が減るのー」
「あーはいはい。分かりましたよ」
ジブリールは一族と一緒に住んでいて いつも彼女の周りにはガードがいる。 なので近づいてなにかを聞いたりすることはできない。
仕方がないので、ある程度遠くから彼女を観察して彼女が仕事に出るときはついていくことにした。
仕事はほとんど毎日あり必ず供と一緒に一緒に出ていく。この間は貧しい家だったのか彼女が一人で行ってしまったようだ。
今日はどこぞの富豪がなくなったようだ。俺は気配を断って透明化の魔法をかける。リリンにもかけてやった。
一族が復活のための費用の交渉をしている。彼女はそれが終わるのを部屋で待っているようだ。
「しかしなんだかんだと交渉で大変だな」
「そこにいるのですね」
俺とリリンは透明化の魔法を解く。
「初めましてなのー」
「嫁のリリンだ」
「まあ、かわいい!よろしくね」
話がまとまったのか一族の者たちが部屋にやってくる。俺たちはもう1回透明化の魔法をかける。
「私はすぐにでも助けたいのです。それをみんながなんだかんだと···」
今日亡くなったのはこの家の奥さんのようだ。
今日、彼女は蘇生の魔法をかける前に各所に治癒魔法をかけている。その後で蘇生魔法をかけるようだ。
「リバイブ!」
女は見事に蘇生した。病気も全回復しているようだ。
例によってジブリールはかなり疲れている。俺は近くに寄って回復の魔法をかけてやった。そして俺の魔力の入った指輪を彼女にあげた。
今日の仕事はこれで終わりのようだ。彼女たち一行は自分の家に引き上げていく。
蘇生魔法はどういう理屈で成り立っているんだろう。俺は自分なりに考えてみた。
治癒魔法はその部分を活性化させて再生して治す。ならば蘇生魔法もそれと同じ理屈で何とかならんか。
俺は動物で実験してみることにした。 近くにバッファローの群れがいたので一頭をサンダーで仕留める。
黒焦げになっている部分をエクストラヒールで治す。これで外傷はなくなった。後は生き返るかどうかだ。さらにエクストラヒールをかけ続ける。
うーん。違うのか?生き返れ!生き返れ!生き返れ!
「リバイブ!」
「グモー!!」
「おお!生き返ったか。素晴らしい!こんな要領でいいのかな」
バッファローは逃げて行った。そらそうだわな。また殺されたらかなわんからなぁ。
俺は他の動物でも実験してみた。10回やって10回とも成功した。
どうやらこんな要領でいいらしいな。 しかし動物では成功したものの、人間ではどうか?これはちょっと試すわけにはいかないし、難しいな。
俺は次の日からもジブリールのところに通うことにした。エレンミア、シャーロット、ネフィ、バイモン、フレイムを毎日一人ずつ紹介した。
「6人ともあなたの奥さんなんですか」
「そうだよ」
「みんなすごく幸せそうです」
「そうかな」
「もっと無理やりに引っ張っているのかと思いました。どうやら違うようですね。みんな生き生きしていますし すごく楽しそうです」
「そうだと嬉しいね」
1週間見ていて完全に彼女の技は自分のものにできたと思う。後は実践あるのみ。しかし人間の場合は間違えたらごめんなさいでは済まない。
俺は人族領のチップス王国に飛ぶ。王都のスラム街に行ってみた。ここなら困ってる奴がいるんじゃないかなと思ったからだ。
「ミミ!ミミ!おいしっかりしろ、おい、うわーん」
いたいた。どうやら妹がなくなったようだ。兄が泣き叫んでいる。
俺は透明化の魔法をかけて自分を見えなくする。そしてこの妹を蘇生させてみることにした。
衰弱がひどいので魔力を送る。よし準備はできた。
「リハイブ!」
すると女の子はゆっくりと目を開けた。おお!成功したようだ。
「ミミが目を開けた!生き返った!うわーん。よかった」
これじゃまた栄養失調で亡くなってしまうので金貨や銀貨を100枚ばかり置いてきた。
大体要領はわかった。もう自分の技にできたようだ。だがもう少し練習してみたいな。
裏路地を歩いて行くと男が一人倒れている。どうやら喧嘩でもしたようで 腹を刺されて死んでいる。
よしこの男を蘇生させてみよう。まず腹の傷を治す。
「エクストラヒール」
そして復活の魔法をかける。
「リバイブ!」
男は復活した。最初はぼーっとしているようだがだんだん動けるようになるようだ。
「あれ? 俺は喧嘩をして刺されて死んだんじゃないのか。何で生きてるんだ。運がよかったのかな」
少し離れたところに行ってみた。これは何だ。どうやら何かの勢力争いのようだ。男たちが20人程度ずつで戦っている。
かなり倒れている者が出てお互い引いたようだ。地面には死体が20体ほど転がっていた。よしこれを蘇生させてみよう。
まずはそれぞれの傷を治す。
「エクストラヒール」
よし蘇生させてみよう。
「リバイブ!リバイブ!···」
男たちは起き上がる。なんとまた戦おうとしているではないか。
「ばかもの!せっかく助かった命だ。もっと大事に使え!」
「あなたが助けてくれたんですか」
「そうだ」
「おお!神よ」
「はは~」
みんなひれ伏して祈りを始めた。まずい俺は転移して元の町に戻ってきた。
リリン達に蘇生の魔法を習得したこと 話す。
「それじゃもうジブリールの所に行かなくていいのー」
「あーそうだね」
「あはん。それじゃあ次の町に行きましょう」
「うん。その前にちょっとだけ挨拶してきていいかな」
「「「「「えー!!!」」」」」
「本当に挨拶だけだよ疑うならついてこい」
なんと全員が俺の後についてくる。よほど信用がないようだ。