第109話 占いと蘇生
何を占ってもらおうかな?いいことはその時でいいかな。悪い事は知っていた方がいいかな。しかし、回避不可能なら知らない方がいいしな。うーん、どうしよう?
みんなも色々考えているみたいだ。
「それじゃあ、考えのまとまった人から占ってもらおう」
そんな中でフレイムが一番に名乗りをあげた。
「それじゃあ頼むぜ。俺たち翼竜一族の未来が知りたい!」
「わかったベリ。ああ、見える、100年後には今の倍の数になっているベリ」
「おー!それが聞ければ十分だ」
なるほどそれは最も大切な種族維持の本能だな。次に名乗りをあげたのはシャーロットだった。
「私はどこまで強くなれますか?」
「すでに人族では最強ベリ。魔国でも達人の部類ベリ努力する限り強くなっていけるベリ」
「わかりましたわ」
次はバイモンが出てきた。
「私たち妖精族の未来は」
「魔王ナオトと共にある限り繁栄が約束されるベリ」
「おいおいちょっと待てよ。俺は人族だ。そんなに長くは生きてないはずだが」
「いやお前はこっちの世界に来た時点ですでに寿命は普通の人間の何十倍にも伸びているベリ」
「何ー?知らなかった」
次にネフィが出てきた。
「はあん。私は魔王ナオトのために役に立って行けるでしょうか」
「すでに十二分に役に立っているベリ。魔王ナオトと共にある限りあなたは幸せになれるベリ」
エレンミアが出てきた。
「世界中の不幸な子供たちを今より減らすことはできるのでしょうか」
「それは無理。今あなたがやっていることが最高ベリ。不幸になっている子供の数は随分減ってるベリ」
リリンが出てきた。
「リリンの子どもはいつ生まれてくるのー」
「それを今知ったら面白くないベリ。だがあなたの成長とともに必ず授かれるベリ」
最後にアイスちゃんが出てきた。
「私のこの内気な性格は変わるのでしょうか」
「全部を変えることは無理だが努力すればある程度は変えられるベリ」
最後はオレか。
「俺はなぜ若返ったのだ」
「この世界に来た時点であなたの寿命は格段に伸びている。だからその寿命に合わせた姿に変わっただけだベリ」
はーそうだったのか。知らなかった。あとは聞かなくてもいいかな。
「ありがとう。参考になったよ」
「聞かないのかベリ」
「何を?」
「もっと強いやつがいないかどうかベリ」
「いやそれは自分で色々回って確かめてみるよ。全部分かったら面白くないしな」
「そうかベリ」
俺たちはここでベリトと別れた。あてはないがもう少し諸国を回ってみたいと思う。
とりあえず俺たちは東へ向かっていた。
「俺はもうただの人間じゃないってことかな」
「そうなのー、ナオトは大魔王なのー」
「そうか。なあリリン、大魔王って何だと思う?」
「え?大魔王はみんなを幸せにする者なのー」
「なるほどね」
1時間ほどでかなり大さな町に着いた。どうやらここは温泉町のようだ。
コレスの町で宿を取った。温泉に入って食事をして夜になった。寝る前にちょっと外に散歩に出ることにした。 たまには一人で歩くのもいいものだ。
ふらふらと歩いていると裏路地の方に入ってきてしまった。
家の中から多くの人々の鳴き声が聞こえる。一体何があったのか?どうやら子供が誤って崖から落ちて亡くなったようだ。
死んでしまったものはいくら俺でも蘇らせることなんてできない。
「ジブリール様お願いします。息子を助けてください!」
「うむ、寿命がまだあるものならな」
何それ、死んだものを生き返らせるって言うの?そんなことができるわけがない。
だがもしできるとしたらそれは物凄いことだと思う。俺は足を止めてその様子を見ていた。
家の中にいたのは金髪碧眼の若い女で白いドレスを着ていた。
「リバイブ!」
すると男の子はゆっくりと目を開けて 家族の方を向いた。
「お、おと··さん。お母さん」
「おおー!!!ありがとうございます。ジブリール様」
「よかったな」
すごい!本当に生き返った。俺も傷はどんなものでも治せるが死んだ者を生き返らせるなんて考えたこともなかった。
死者を蘇らせてお礼をもらった女は家から出て行くところだった。俺は本当に興味本位で彼女のあとをついて行った。
「あなたは何者ですか?私に何か御用ですか。はあはあ」
「ああ、俺は魔王ナオトという者だ。今の様子を見ていた。あなたの魔法に興味を持った」
「魔王ナオト!あー確か魔国連合のリーダーの人の名前ですね。はあはあ。確か女好きで美少女をたくさん侍らしているという噂を聞いたことがあります。はあはあ」
うわーまたそれか。まあ事実だからしようがない。
「お断りします。はあはあ」
「いやまだ何も言ってないんだけど」
「はあはあ、どうせ、魔法を教えろ!俺のところに来い!でしょう?」
「うん。前半は合ってるね。それより随分辛そうだね。治してあげましょうか」
「いえ。大丈夫です。ただの魔力切れですから。はあはあ」
「魔力ならたくさんあるからあげますよ。どうですか」
「いえ、そうして私を自分のものにするつもりでしょう。はあはあ」
「いや、そんなことはないと思う」
俺は彼女の手をにぎり魔力を流し込んだ。
「はあ〜ん。やっぱり〜」
「どうだ?楽になったか」
「あなたはこうやって女の子を物にしてきたのですね。とりあえずお礼は言っておきます」
「それでどうだ?魔法を教えてくれるか」
「お断りします」
「何で?」
「この技は我が家の秘宝です。おいそれと人に教えるわけにはいきません」
「うーん。それは困ったな」
「教えることはできません。ですが自分で何とかするなら何も言いません」
「つまり、盗めと言うことか」
「···」
俺は嫁たちのところへ転移で帰り理由を話して彼女の周りで修行させてもらうことを許可してもらった。