第106話 試合の条件
ムルムルの館を出てからとりあえず北へ向かっている。ただどこへ向かえばいいのかわからんので困っているのが現状だ。
「ベリトっていうやつがどこにいるのか分からないので情報集めだな。次の町まで行ってくれ」
「わかったっす」
車はほとんどエレンミアが運転しているが妻たちはみんな運転をができる。
少しずつ習ってみんなできるようになったのだ。本当に物覚えが良い。
最初の頃と比べると格段に強くもなっている。もし6人が同時に暴れだしたら俺でも取り押さえるのにかなり時間がかかるだろう。
車を1時間ほど走らせるとモルペンの町に着いた。ちょうどお昼になったので食事をすることにした。
レストランがあるのでそこで食事をとることにする。かなり流行っている店のようで席はどこもいっぱいだった。
「これじゃあしようがないなぁ。いつになったら食べられるかわかりゃしない」
仕方がないので町の外まで出て自分たちで作って食べることにした。これでも十二分に美味しいのだ。
「なかなか美味かったね」
「素材がいいですからねー」
「それじゃあ情報収集にいってみようか。2時間後に集合ね」
「「「「「了解です」」」」」
「ベリトという人を知りませんか。かなり強いと聞いているのですが」
「さあ知らんね」
これで10人目だ。誰も知らないと言う。困ったな。
「ベリトって人を探してるのー尋ね人なのー」
「お嬢さん、その人探してどうするんですかベリ」
「試合をしてもらうのー」
「あなたがですか」
「いえ、ナオトなのー」
「ああそれならですね、ベリトっていう人は···」
2時間後
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
「いやーすごい!リリンよく分かったね。俺達何の手がかりもなかったのに」
「さすがにリリン様っすね」
「びっくりしましたわ」
「えっへん。まあそれほどでもあるのー」
ベリトがもう一つ北にあるサミュエルっていう町の職業斡旋業者キチクという会社にいるというのだ。
「そうと分かれば車で急いで行ってみよう」
「分かったっす」
車で飛ばすこと1時間サミュエルという町に着いた。
「えーと確か職業斡旋業者だから、あのでっかい建物じゃないかな」
「そうみたいですねー」
「すみません。ここにベリトっていう人がいますか」
「うちにはそんな奴はいねえよ。とっとと帰んな」
「なんだよ、その言い方」
「いねえものはいねえんだよ!面倒だやっちまえ」
ガン!バキッ!ゴン!ドカ!ゴキ!
「つ、つええ!」
「アハハハハハハ、おらどうした」
「ぐはっ、ここにはいないんです」
「こらこらフレイム。穏便に穏便に」
「どうやら違うようですわね」
「ガセネタだったようですねー」
「あはん。リリン様元気を出してください」
「よし、一旦外へ出てみよう」
大騒ぎになったので外には人だかりができていた。
「嘘を教えたとして、そういうやつに限って近くにいて様子を見てニヤニヤ笑っているなんてのが多いんだがな」
「あの赤い服を着たやつなんかそうじゃないか」
「そうなのー!あいつなのー!リリンに教えたのはー!」
「お前がベリトか」
「そうベリ。中々おもしろい見世物だったベリ」
「嘘つきなのー!」
「嘘は言ってないベリ。会えたベリ」
「ベー!」
「なあ、あんた。俺と戦ってもらえるか」
「いやベリ。そんなことしても何の得にもならないベリ」
「金でいいなら、あげられるが」
「それは自分で作れるベリ」
「ほう、錬金ができるのか」
「では何が欲しい」
「俺は占い師ベリ。水竜の玉があれば占いがより正確にできるベリ」
「水竜の玊?水竜ってどこにいるんだい」
「分からないベリ」
「そんな。それじゃ探しようがないじゃないか」
「じゃあ戦いは諦めるベリ」
うーん。これは困った。居場所が分かれば探しようがあるが。どこにいるか分からないでは探しようがない。
「探すことができたらこの町へ来て騒いでくれ。そうしたら現れるから。じゃあな」
言うだけ言ったらベリトは転移して消えてしまった。
「水竜か竜?フレイム何か知らないか?」
「俺達と違う種族のことなんか全然わからんねえよ。もっと歳くってる奴なら知ってるかもしれないけど」
「だめかー!歳くってる奴?ああそうだ!」
俺は女に変身する。
「変身」
そして召喚魔法でフレイムのお爺さんを呼び出す。
「召喚フレイムのじいちゃん!」
ドオーン!
「久しぶりですじゃ。ナオト様」
「実は聞きたいことがあるんだ。水竜っていうのが持ってる玉が欲しいんだが水竜の居場所が分からんのだ。何か知ってるかい」
「昔はたくさんおりました。私が生きていた頃は3ヵ所ぐらいなら知っています」
とりあえずその3ヵ所というのを教わったのでそこに行ってみることにした。
フレイムはじいちゃんとしばらく話をしていた。とても懐かしそうだった。