第105話 新しい友
館の中から6人の女の子が出てきた。みんな髪の色は紫だ。15歳から20歳ぐらいまでの間の女の子だ。
『サーチ』で鑑定してみると全員吸血鬼だった。そういえば吸血鬼と戦ったことはなかったな。
まあ嫁たちの健闘に期待しよう。こっちはネクロマンサーを相手にいい勝負が続いている。
俺はミスリルの剣を出して戦うことにした。最も得意としている二刀流だ。
相手も剣を持っている。剣の勝負では圧倒的にこちらが上だった。
何度も鎧の上から相手を切ることができた。しかし、手足を失ってもすぐに再生されてしまう。
だが再生するということは、それだけエネルギーを使うということなのでこちらが有利になってると思う。
ムルムルはスケルトンだが剣を持っている者を3体ほど召喚してきた。
「むっ!」
この3体は剣をなかなか使えるやつらで3体同時に攻めてこられると切り崩すのに時間がかかっていた。
そしてムルムルはその後ろから俺に向かって呪いの魔法を撃ってくる。
右手にハイレーザー!左手にもハイレーザー!2つ合わせてハイレーザートルネードを放つ。
前に居る3体のスケルトンを貫通して後ろのムルムルまで貫通することができた。
すかさず剣を打ち込む。両腕を切り落として首に刀を当てたが腕が飛び出してきて弾かれてしまった。
本当にしぶといやつだな。どれだけ攻撃したらいいんだ。
ムルムルは巨大な竜を召喚する。これもゾンビのようだ。20メートルはあるな。
ゾンビの竜は腐った体を動かして俺に迫ってくる。口から毒液を吐いてくる。
ムルムルはその上に乗って上からまた呪いの魔法をかけてくる。スタイルは変わらんのだな。
グラビティを横向きに打ってムルムルを竜から引きずり下ろす。
剣でムルムルを切り続けた。後ろから竜が毒液を吐いてくる。多少は当たるが仕方がない。俺は剣でムルムルを切り続けた。
「ううむ。俺の負けだ。こう切られては体力がもたん。だがなかなか面白かったぞ」
「こちらもだ。久びさに歯ごたえのある戦いだった」
俺は自分と相手に治癒魔法をかけた。
「エクストラヒール!」
リリン達を見るとリリン、エレンミア、シャーロットは戦いを勝利で終わらせていた。
残りの3人はまだ戦闘中だったがムルムルが負けを認めたので一旦そこで終わりにすることにした。
しばらく休んでからもう一度やることになった。
「ディセイブルマジック!」
「むっ!何だと!魔法が発動しない。どういうことだ」
「これは魔法無効化の呪文だ。当てられれば魔法が使えなくなる」
「こんな魔法があったのか!」
「というか俺が作ったんだがな。当てられると不便だろう」
「戦いが一方的に終わる可能性もあるな。すごいものだ」
ムルムルは今ので力が抜けたようで 戦うのは終わりになってしまった。
しかし彼女達はまだやる気満々のようで嫁たちと何度か試合をしていた。
彼女たちは体力がある。引き分けが多かったがこちらが勝ちを収めることが半分くらいはあった。
吸血鬼の戦い方は魔法もあるのだが、その恐るべき持久力に物を言わせ、武器を使って相手を削り取る。
そして血を吸われればば終わりということになる。さすがに手合わせでそこまではしないが。
だがうちの嫁たちも体力は超人級で、なかなか削られる者はいなかった。
バイモンとフレイムは、ちょっとキツそうだったが、それでも戦い抜いていた。
負傷してるものもいたので魔法で治療してやった。
「飯にしようぜ。今、俺達が作るからご馳走するよ」
「すまんな」
肉を焼いたり野菜を色々用意して大変な量になった。こんなに食いきれんのかね。スープもできたようだしそろそろいいんじゃないかな。
そう思っていたらどこからか小さい子供たちがわらわらとたくさん出てきた。20人ぐらいいるぞ。
「この子達は一体?」
「あーこの子らは我らが面倒を見ている子達だよ」
「それじゃあ仲間ということだな。それなら一緒に食っていけばいいや」
「「「「「わーい」」」」」
調べてみるとどの子も吸血鬼だった 今相手にしたのは一番お姉さんということになるのかな。
「これは将来有望な子たちがたくさんいるな」
「まあな。しかしお主の嫁たちは強いの。我らが一勝もできんとは」
「まあ、こちらもそれなりに鍛えてるからな。こういうこともあるさ」
酒もあったので一緒に出してやった。ムルムルは大いに喜んで機嫌よく飲んでいた。
吸血鬼の彼女達は一回も勝てなかったのがよほど悔しかったのか再戦を約束させられた。まあいいんじゃないかな。
かなり飲んでかなり食べてみんなの手が止まった頃に俺はムルムルに聞いてみた。
「この西の方にはまだ戦える者たちがいるのかな」
「いやもう西の方にはそんな者はおらんだろう」
「そうか。いないんではしょうがないなぁ」
「だが、ちょっと北のほうに行くと面白い奴がいると聞いたぞ。ベリトというんだが」
「ほう。何が面白いんだい?」
「攻撃が当たらんそうだ。なぜかはわからんが」
「それは面白そうだな」
ムルムルの館で一泊させてもらった。なかなか豪華な部屋でくつろぐことができた。
次の日の朝、俺たちは出発することにした。
「いやー世話になったね」
「何を言う。お前のような強者を友とできたのだ。こんな嬉しいことはない」
「それはこちらも同じだよ。そうだ、これは友の証と泊めてもらった礼だ。子供達もたくさんいるからきっと役に立つと思う。もらってくれ」
俺はマジックバッグをムルムルに渡した。中には金塊が300本ばかり入っているのだが。
「ありがとう。もらっておこう」
「ではまたな」
「うむ」
俺たちは車を北の方へ向けた。楽しい1日だった.