第104話 ネクロマンサームルムル
「おかえり。エレンミア、シャーロット。お疲れ様」
「ただいまっす。やっと帰って来れたっすよ」
「意外に手間取りましたですわ」
「それで戦いはどんなだったんだい?」
「小国家連合は本当にもう全力で攻めてたっす。全部の小国家が出陣してたっすよ。あたいたちは王国の代表みたいな感じでしたが一番の働きをあげたっすよ」
「それは本当ですわ。相手のブラック将軍とホワイト将軍は私たち2人が倒しましたですわ」
「うん。なるほどね」
送った4人のメンバーは強すぎるのだろう。ゴーレムの損失は10%ほどだった。
それも完全破壊はほとんどなかった。 故障か部分破損が40体ほどだ。
エレンミアとシャーロットは魔王レベルだろう。ルイーネとアイは魔将軍レベルだ。
そんなものに普通の人間がかなうわけがない。まあ魔国では力があった方が良いに越したことはないのだが。
「それで皇帝はどうなったの?残った将軍たちは?」
「即決裁判の後、皆処刑されたっす。小国家群の怒りは凄まじいものがあったっす」
「なるほどね。恨み重なるってわけか」
「私たちは一番手柄でジュース領の3倍ほどの土地をもらいましたわ」
「それは良かったじゃない」
「ええ、まあ」
結局帝国は分割されて小国家群のものとなった。国の形は帝国ではなく共和国となる予定だ。
力を誇ってるものなんて最後はあっけないものだな。だが俺は俺は負けん。
「みんな集まったようだな」
「どうしたのナオトー」
「戦いには勝ったし、いいことづくめっすよ」
「だからだよ。力を自慢してる者ほど亡びるときはあっけないもんさ」
「私たちも滅びると言いたいのですか」
「そうさ勝ったからって有頂天になってるようじゃあ、いつ足元をすくわれるかわかったもんじゃない。世の中にはまだまだ強い奴がいる。そう思わんか」
「はあん。かもしれないです〜」
「勝ったら喜んだっていいと思いまーす。人生楽しまなくっちゃ損でーす」
「俺にはわからねえ!嬉しかったら笑えばいい。悲しかったら泣けばいい」
「ああ、もちろんそれもいいさ。それも必要だ。だが俺はお前たちみんなをずっと幸せにしなきゃならない。だから止まれないのさ」
「それでどうするのー」
「うん、また旅に出ようと思う。魔国にはまだ俺たちが行ってないところはたくさんある。だからそこをめぐってみようと思う。そうすりゃ面白いだろうし、強いやつもいるだろう」
ということで俺はまた旅に出ることにした。もちろん6人の嫁たちを連れて行く。
今回従者の3人については任務がある。ルイーネとアイはエレンミアはシャーロットの国づくりをしてもらう。
アベイルにはナチュラルリッチタウンの指揮を任せた。何かあった時には通信機で連絡が入ることになっている。
エレンミアとシャーロットは国を手に入れたばかりなので時々抜けることになるのは仕方がないだろう。
俺たちはアマイモンと会った聖地メロウに転移した。ここはみんな引っ越してしまったので誰もいなくなってしまったが建物や庭はそっくりそのまま 残っていた。
おや誰かいるようだが。あーあれはメイドのベリーちゃんか。一生懸命に木の実を収穫している。
「やあ、ベリーちゃん元気?」
「はい大魔王様。ご無沙汰しております」
「今日は1人でどうしたの」
「はい聖地はアマイモン様と共に移動しましたが、ここにはたくさんの木の実がありますので収穫に来ています。 移動はセーレさんに送ってもらいました」
「そう。それはご苦労様です。この西の方には誰が住んでるか分かるかい」
「はい。確かムルムルという人が住んでいると聞いています」
「どんな人なんだい」
「ネクロマンサーだとか、あまりよく分かりません」
「ありがとう」
10キロメートルほど進むと森林地帯が見えてきた。そのうっそうとした森の中に大きな館があった。
「これがムルムルの館かな」
「何か御用ですか」
声をかけられたかと思ったら、そこにはグリフォンにまたがった青い騎士がいた。
「あなたがムルムルさんですか」
「そうですが」
「実は私、諸国をめぐって武者修行中でして是非お手合わせを願いたいのですが」
「そうですね。まあ暇ですからいいですよ。お相手しても」
ネクロマンサーって聞いたけど、こいつももう死んでるのかな?よくわからん。
魔法で何かを召喚しようとしている。そのまま見ているとスケルトンのドラゴンが出てきた。全長は10メートルぐらいある。
魔法の無効化、ディセイブルマジックをかけたら面白くないのでここは魔法で対抗する。
グラビティを6回唱えてスケルトンのドラゴンの周りに配置し一気にドラゴンを押しつぶした。
「ほう、なかなかやるな」
「ふふふふふ」
右手にサンダーストーム。左手にハイレーザー。合わせてサンダーストームレーザー!
「はっ!」
直撃だ!逃げる暇もなかっただろう。
「速いな!結構効いたよ」
「この野郎。痛くねえのか」
そうかこいつはアンデッドか。それじゃ痛みは感じないわな。
相手の方から黒い霧のようなものが固まりで飛んでくる。周り中から来るので俺はバリアーを張った。
バリアーに染み通ってくるこの黒いものは何だ?どうせろくなもんじゃないけど呪いの類だな。
体中からハイレーザーを発射して焼き切る。それでも黒いものが体にまとわりついて息苦しい。体が重くなってきた。
「なかなかやるじゃないか」
魔法を撃っても痛くないんじゃしょうがない。今度はドロドロに溶かしてやる。
右手にファイヤーストー厶左手にヘルスウインド。合わせてヘルスファイヤーストーム!
「どうだ」
相手の鎧が焼けただれ、右手と左手が 落ちた。
「あー!すごい魔法だな。これを私一人で味わうにはもったいないですね」
「ん?どうした?」
「ポロン!エルモ!ペナン!ストリ!プイン!クドラ! あなた達も相手をしてもらいなさい。面白いですよ」
「おお、何と!」
肩の付け根から新しい腕が2本出てきた。これにはびっくりした。そしてもう一つ、可愛い女の子が6人出てきたのだ。こっちもびっくりした。