第100話 ベルフェゴール
妖精族の15人を保護して前に助けた2人と合わせると17人になった。今は妖精の森に滞在している。バイモンさんを入れれば18人になる。
皆ここに住むことを承諾したので今は家作りをしている。外形は俺が作ってあげたものだが細かいところは彼女たちに任せている。家は普通の家と同じである。
バイモンさんはまだ心配らしく他の3か所も一応場所だけは確認したいということだった。
だから円盤に乗って場所の確認に行った。どの場所も見つかりにくいところにあり不自由な生活そうだが皆楽しそうに生活していた。
「バイモンさん、ここに住んでもいいんですよ」
「いえ、私の住むところは大魔王様と共にありますので」
「そうですか」
ナチュラルリッチタウンに帰ってくると何か騒ぎが起きていた。
なんでもポスターで指名手配しておいたベルフェゴールが捕まったということだった。
本当ならずいぶん早いお出ましだな。 それになかなかの行動力だ。
本物かどうか確かめに行ってやろう。 俺は女性版に変身する。
「変身」
しまった!町の中では魔法が使えなかった。すぐさま町の外へ出て変身をする。
ヴァルキリーのパトロール詰所に行ってみると一人の女の子が拘束されていた。
頭には立派な牛のような2本の角が生えている。本物よりはずいぶん若い。15歳位に見える。
変身したのかな?まあ話してみれば分かるか。
「ちょっと!なんで私がつがまらなくちゃならないのよ!」
「それはあなたがベルフェゴールに似ているからですよ」
「私はナオ。大魔王ナオトの使いの者です」
「私はただの旅行者よ!」
「私はあなたを見かけたことがあります。魔王アスタロトの国で」
「何ですって?そんな事あるわけがないわ」
「いえいえ、それはこの町の外へ出たら分かります」
「ちょっと一緒に来てください」
女を連れて町の外へ出る。変身の魔法をかけているなら魔法が解除になるはずだ。
「ディセイブルマジック」
すると形がどんどん変わっていく。いや前より大きくなっていくのか。
あっという間に20歳ぐらいのお姉さんになった。やっぱりベルフェゴールだ。
「どうです?これでも言い訳ができますか」
「こっ、こっ、これは一体どういうことだ」
「あなたの魔法が解けたということですよ。ベルフェゴール」
「我の魔法は完璧のはず?サンダーランス!あれ?」
「もう魔法は使えませんよ。あなたいったい何しに来たんですか。戦いに来たんですか?観光ですか?」
「魔王ナオトに一泡吹かせてやろうと思ってきたのよ。この我の魅力でね」
「じゃあ仲良くなりに来たんですか」
「国同士で争っているのだ。そんなことできるわけないだろ」
「つまりその魅力で魔王ナオトを篭絡に来たんですね」
「···」
「それじゃあ魔王ナオトのところまで案内しますよ」
ベルフェゴールを自室に案内する。ここは嫁たちも入ってこない。俺の錬金術の部屋だ。
あ、しまった。女のまんまだった。男に戻らねば。ここじゃ魔法は使えないし、そうだ窓から出て円盤に乗って空で変身してこよう。
「いやあ、お待たせしました。ベルフェゴールさん。俺が魔王ナオトです」
「お前が魔王ナオト!まだ子供じゃないか」
「いや見た目はこうなんですけどね。年は結構いってるんですよ。とりあえず何か食べませんか」
「我は、これは初めて見るがなかなかうまいものだな」
俺は故郷のご飯をベルフェゴールに食べてもらった。どうやら気に入ってもらえたようだ
「酒はいける方ですか色々ありますよ」
「軽いものならいいぞ」
故郷から持ってきたワインがあったのでそれで乾杯をする。
「これは何だ?綺麗なものだな」
「ああそれは俺が作ったアクセサリーですよ。気に入ったのがあったら、いくつか持ってきますか」
「うむ、いい物だな」
彼女はネックレスと指輪更に腕輪も気に入ったようで、しきりに手にしていた。
「どうぞお土産に持って帰ってください」
「ああ、そうか」
「これは俺の故郷のゲームです。一緒にやってみますか」
「うむ。面白いな」
なんだかんだと3時間ほど一緒に過ごしていた。そして最後に彼女にお土産を持たせて返すことにした。
「ここにお土産を用意しました。大きい箱と小さい箱のどちらがいいですか」
別に大きいものを選んだからといってどこかの昔話のように化け物が出てくるわけではない。
「両方だ!」
「ははは、両方ですか。いいですよ」
俺はマジックポーチを用意して彼女にあげた。
「これに入れて持って帰ってください」
「うむ、すまぬな」
俺は彼女を転移門まで送る。
「それじゃあ気をつけてお帰りください」
「うむ、今日は世話になったな。その···ありがとう」
そんなに悪い人ではなかったな。できれば戦いたくないものだ。