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「いたたた……うまく力入らないや……」
体に着いた土埃を落とし自分の体を見て確認する
さっきの雷撃のせいでリボンや髪、服の一部が焦げていた
はぁ…まさかこんな時にこの魔法が使わないといけなくなるなんて…
魔力消費が大きいのになぁ…最悪だよ…
そんなことを思いながら私は白い空間に座っている。机もベットも食べ物も何もないただの空間。
多分5〜6坪ほどの大きさだ。
それは魔法、時空間上の隙間で作った特別な空間だ
それは私しか関与できない"特殊な魔法"
私の一族だけの魔法なのだ。使い勝手は本当に悪いけど…
私はごろりと寝転がる
「どうせしばらく体がうまく動かないからここにいよう」
痛む身体を我慢しながら
そんな独り言が空間の中を反響する
*
「ちっ……逃げられたか。」
ミオと戦ったフードの黒髪の少女がそうぼそっと呟く
"特殊魔法"と戦うなら時空間魔法も考えて置くべきだった
そんなことを思いながら静かに歩き出す
「モプさん。」
自分の歩く音しか聞こえなかった中突如声が聞こえてきた声
低く、男らしい声だ
"モプ"と呼ばれた黒髪の女はハッとして振り向く
「外では名前を呼ぶなと言ったはずだけど?ブラック」
ブラックと呼ばれた毛先の赤い黒髪のメガネ男
「今の貴女の感じなら名前を呼ばないと反応しません。それにあなたも名前を呼んでます。」
「いやお前は偽名だろ……」
「まあそうですね。」
どうでと良さそうな雰囲気でそいつは私を見る
モプと話す男は無表情でただ淡々と話す
「まあ確かに名前を呼ばれた方が反応はするけど。
まあいい。ところでなぜいつも本部にいる貴方が?」
私がそう言うとブラックは表情を一切変えずにため息をつく。
「モプさんがこの前、武器の調子が悪い、と言って押し付けてきた武器を調整し終えたので渡しに来たんです。」
どうぞと言ってブラックは私の使っているナイフを渡した。
「ああ、これね。ありがとう。
ブラックいつから此処に。」
私は受け取りながら聞いた
「……そうですね。モプさんが戦い始めたくらいから見ていました。
初めて空間魔法を見ました。興味深い魔法です。」
ブラックはそう言うと口元を少しニヤッとさせるが目は笑ってない
「ブラック、お前目、笑ってないぞ…。
まあいい、何故一緒に戦わなかった」
ブラックはため息をつきながら
「もしあの場面で貴方に手を出して、余計な事したらモプさんに殺されかねませんから。
それに俺は戦闘は得意ではありません」
あなたも俺の属性分かってるでしょう?と無表情でそう言うブラック
ブラックはそう言うとため息をつく
裏通りから出るために歩き出す
「まあ。確かにあの時手を出されていたらいくらお前でも、殺していたかもしれないからな」
ははっと笑いながら私は答えブラックはブラックで無表情のまま
「あー怖いです」
とトーンを一切変えずに話す
私はため息をつき
「はぁ……もういい行くぞブラック」
「はい」
*
目を開けると真っ白な空間にいた
私はむくりと起き腕を上にやり体を伸ばす
「んあーよく寝たー……」
流石に体のしびれやうまく動かなくなっていたのは回復しているようでむくりと起き上がり屈伸や飛んだりはねたりして体を動かす
「いつまでもここにいてもだよねー
出るかー……」
壁のあるところまで行き壁をコンコンと叩く
するとドアができる
時空間上の隙間は便利なもんで作ったら約1週間はずーっと存在している。
まあ人によるんだけど
今の私なら1週間と3日くらいはもつ
できたドアに手をかけ出たいところを想像する。宿の部屋の中を想像しながらドアを開けて外に出ると窓から見える空が赤くなっていた
夕焼けかな…
「6時間くらい寝てたのかな?」
思っていたよりも寝てしまっていたようだ
ボロボロの服のまではあれかと思い服を着替えようと思った
「この服作るの時間かかるのになぁ…」
まーた怒られちゃうや
服を着替えてる最中にこんこんとドアを叩く音が聞こえる
「失礼します」
入ってきたのはレナだった
「あれ?ミオさん…出掛けてませんでしたっけ……?」
レナは首を傾げながらミオを見ながらいう
「えっ?あっあっー……さっき帰ってきたんだ〜」
私着替えた服を後ろに隠しながらニコニコとしながら答える
「あら?そうだったんですね。フロントにいたのに全然気づかなかったです」
レナは苦笑いをして布団のシーツを取り替えようとこっちに来る
やばいやばいバレたらダメだからね…
「あっ布団のシーツ?ありがとう!」
「いえいえこれが仕事なので!あっそういえば警察の人がミオさんのサインが欲しいって言ってましたよ?確か茶色に黒い瞳の男の人です…頼りなさそうな?」
レナはそう言いながら素早くシーツを変えた
「えっ?あれかなジウムさんかな……」
「はい。多分そうですよ〜」
レナは変え終わるとドアの方に向かう
「あっミオさん。夜ご飯はここで食べてもらって大丈夫なんで。食べたくなったら来てください」
「分かった〜」
私はその後ご飯を食べジウムさんに会い
寝たのだった
*
たったったと足音が聞こえてくる
「モプ〜!」
高めの可愛らしい声でそう呼ぶピンク色の髪をしたかわいい女の子
モプの姿を見つけるとモプの懐に飛び込んでくる
「いたいた!!ブラックくんが呼んでたよ!」
そう言って抱きつきながら話しかけてくるのでモプは顔下げ
「分かった分かったミミ……分かったからとりあえず抱きつくのやめてな?」
モプがそう言ったらミミと呼ばれた少女はむーっとした顔で離れる
「別にイイじゃん……抱きつくくらい……」
「はいはい拗ねない拗ねない」
そう言って頭をポンポンと叩くと
「拗ねてないもん……モプのことブラックくんが探してたよ!一緒に行こ!」
そう言って手を繋ぎ引っ張るミミ
「行くから行くから……少しは落ち着け!あっ!ちょっおい!」
モプの言ってることを聞かずに歩き始めるミミ
たっく……ミミにあんまり強く出れないの知っててやってるなブラック……
「んで?来てやったけど何のようかなブラック。何も無いなら帰るけど」
モプはドアの横の壁にもたれながらブラックに聞いた
ブラックは明らかにため息を付きながら
「用がなかったら呼ばないですよ」
そう言ってブラックはとある紙をモプに渡す
こいつなんでいつもこんな腹立つ言い方するんだ?
あー…と逃がすしイライラする
「これ…カイトさんからです」
モプは黙って手紙のようなものを受け取る
「用ってこれ?こんなもんのためにわざわざ……」
モプはその紙を開き見てにやっと笑う
「………なるほどね……うちのボスも面白いこと言ってくれるね………」
ああ面白いことになりそうだ
「ねぇ…モプ、カイトさんからどんな伝言来てたの?」
「"近々紅が動き出すだろうから『セイウ』の街で戦う準備をしておけ"だってさ」
ミミは対して興味無さそうにそっかぁぁと言いウロウロし始める
「しばらくは退屈しなくて済みそうだ」