第六話 傭兵団
学びました。
「敵本隊みえました!およそ10km先、戦力は1000ほど…戦車が5機、こちらに進軍中です、どうしますか?隊長!」
決意の時から15分ほど経ったか、いつの間にかリーナはおらず、圭人は兵隊が集まっている広場のすみにポツリと立っていた。未だ鳴り止まない爆音の中近くの建物の屋根の上にいる女の子が声を張り上げて報告していた。しかし、あの女の子は双眼鏡も持っていなさそうなのによく見えるものだ、と考えている内にその隊長が口を開いた。そしてそれは聞き覚えのある声で
「C隊は対戦車地雷を各ポイントに設置!A隊は敵が3km圏入り次第、敵の指揮官の討ち取りを最優先に別動!D、B、E隊は迎撃準備!各自持ち場につけ!」
「「はっ!!」」
そう、隊長はリーナだった。しかし指示を出すリーナの姿は自分の知っているものとはだいぶ違った。この場にいる約50名はリーナの部下になるのか、そして隊員達はリーナの支持通りなのだろう。対戦車地雷らしきものを設置しに行っているものや、道を通さないようにバリケードを貼っているもの、武器を運んでいるものと様々だった。そしてリーナがこちらに近づいて来た。
「いや〜驚かせちゃったかな?隠してるつもりはなかったんだけどね」
どうやら口が半開きになっていたらしい。はっ、として圭人は答えた。
「えっと…この人達はリーナの部下…?リーナは軍隊の隊長なの?」
「違うよ!軍隊を仕切る将軍じゃなくて、私はこの傭兵団、『明日への希望』の隊長をやっているの、50人程度の小さな傭兵団なんだけどね」
「傭兵団…?」
「ああ、傭兵団って言うのはね、国直属の戦力の軍隊とは違って、お金で雇われて仕事を受けるの。今回みたいな街の防衛だけじゃなくて、人の護衛とかもするのよ、軍隊は国のためにしか動かないけど、傭兵団は雇われれば個人相手でもお金の分だけ仕事はする…って感じかしら。大きいとこは800人ぐらいいるらしいわね。軍隊とは別行動だから、こうして自由に戦うのよ」
「へぇ〜…」
なるほど…こんなの乱世だとそこそこ儲かるのだろう。しかし徴兵制度などはないのだろうか、そもそもこの世界はなぜ戦争をしているのだ…?まだまだこの世界には謎が多い。すると屋根の上にいた女の子が言った。
「敵3km圏内入りました!A隊動きます!」
するとリーナが言った。
「よし、圭人も一緒にA隊ときなさい。もしもの時は多分そっちのほうが安全だし…行くわよ!」
「…へ?」
次回、ようやく戦闘…?