第二話 始まり
「っ…何が…」
目を開いた圭人は自分の身に何が起きたかわからなかった。目の前にはついさっきまでいた花園は無く、中世ヨーロッパのような街並みがガレキの山になっていて、かろうじて崩れるのを逃れた建物も外壁はボロボロとなって人が住めるような状況ではないようだった。
「なんだ…ここ…」
すると少し遠くから複数声が聞こえた。圭人はとっさにすぐ近くのガレキに身を隠し彼らの話を盗み聞いた。
「おぉおぉ…これはものの見事に壊れちゃってますねぇお頭ァ、めぼしいものもなさそうですぜ」
「あぁそうだな、引き上げるか…」
彼らは5人ほどで、全員がアサルトライフルを持ち武装していた。会話の内容から察するに盗賊か何かをやっているのだろう。火事場泥棒のようなものだろうか?
泥棒たちが立ち去ろうとしているようだったので安堵して気を少し緩めてしまったのがいけなかった。少し体を動かすと、ガタッっと大きめの音が出てしまった。
「誰だ?!誰かいるのか!」
まずいと思った圭人は本能的に走り出し、とりあえずそこから離れる、ということだけを考えて走り出した。何も持っていない圭人にとって選択肢は逃げるしかなかった。後ろから銃の発砲音がして、すぐ頬をかすめる。そこから離れる事だけを考えて走り続けていると
「こっち!早く!」
ガレキの中から手が伸び腕を掴まれ引っ張られた。