2
今日も今日とて平和なヴァリウス王国の王都。
「今晩は、ユイ」
「ナナシか。今日は遅いのな」
「……………」
今日も今日とて不審な外套姿の二人。
「……なんだそんな不機嫌な顔は。苦虫を軽く10匹は噛み潰して、リックス(素早いウサギのモンスター。レア。美味しい)に逃げられたみたいな顔してるぞ」
「今日久々にお茶会に出たんですよ」
「ああ、お互いをあげつらう毒々しい魔の巣窟か」
「ええ、伏魔殿ですね。退屈だからドレスの中で薬を調合しようにも、マーメイドドレスじゃできないじゃないですか!」
「本物の毒を持ち込んでいたのかお前は」
「バレなきゃオッケー☆」
「はあ……。お前、今日パーティー組むか?本当なら一人で行くつもりだったんだがストレス解消ぐらいにはなるだろう?」
「ちなみになんのクエストを受けるおつもりで?」
「この北の方で魔窟殿(色々な魔物が集まって群れを形成していること。定住型)を作り始めているらしいから、討伐依頼を」
「ユイが火魔法で一撃とかしないなら行きます」
「ナナシも薬物で一撃とかすんなよ」
「…………。………善処します」
「おい!?」
ギルドに向かって歩き出す。
「………ご飯おごってくださいね。今日はリリアにご飯要らないって言ってきたので」
「やだ」
「え、何でですか。お金ないんですか?」
これを見ていた隠密の一言。
「国王に向かってお金ないんですかって………」
爆笑。