俺達と奴らの34日間戦争
「ぐぅぅぅぅぅう」
俺は今めちゃくちゃ腹が痛い。
どれくらいかと言うと、便秘で1週間ウンコが出ない時ぐらいだ。
それは何故か?
まぁそりゃね、殴られてるからだよ。
やったのは隣のクラスのヤンキーどもだ、別に俺が特別いじめられてるわけじゃーない、このヤンキーどもは廊下でたまたま通りかかった俺に殴りかかってきたんだ。
こいつらはイカれていることで有名だ。
年下へのレイプ未遂、若い先生へのセクハラ、じいちゃん先生への暴行などなど、早く転校させろよ!?って言いたくなるようなことをしてきている。
じゃあ何故学校は問題にしないか?答えはPTAだ。奴らの父親と母親がPTAの役員で父親のほうなんか会長だ。
おかしいのはわかっている、何回も先生達へ状況を告白しているのだが一向に変わることはない、せいぜい体育の先生に怒られる程度で終わる。
このままだと、奴らはさらに調子に乗り、婦女暴行に恐喝、傷害騒ぎが起こるだろう。
だが、そんなことをさせていいわけがない。未然に防がなければならない、しかし奴らは地味に運がよく、状況証拠を揃えさせないのだ。
前の年下のレイプ未遂についても、告白していたから2人きりだったとか、キスはしたが合意だったといって、女の子は恐怖で頷いてしまう始末。
先生へのセクハラについては、逆に騒ぎになる前に親に言って先生が淫乱みたいな感じにしやがった。
いや無理があるだろ?って思うかもしれないが、これがPTAという害悪の力だ。
奴らは学校を良くするために集まってるはずなのに、他所の家を落とし、グループを作り差別をしたりするし、自分達の意見に沿わない場合は例えそれが生徒のためになっても文句を言う、実際にどうゆうものかを知らないのに知っているかのように批判をする。
女子高生か!?っとツッコんだことが何回あるか。
そしてこの状況を黙認しているのも、学校の評判に泥がつかないようにとか言っていた。
いや奴らを野放ししていたら意味ないんじゃ…などPTAのクソどもには聞こえない。
奴らは難聴だ、だが自分に都合のいいことはよく聞こえるという、難聴主人公とまるで逆の意味で難聴とか需要ねぇんだよ!!
さて、こんなクソどもに友達がいるか否か?
答えは、いる、だ。
やはり、権力を持つものには甘い汁を吸うために近づく馬鹿どもが一定数いるのだ、まるで社会の縮図だよな?
全員男でちょいワルという中途半端な奴らだ、髪の毛はワックスで固めて、足が短いのにズボンは下げパンという、こいつは馬鹿か?と言いたくなるやつばっかだ。
勿論大多数のパンピー《イッパンピーポー》は関わらないが、一定数反抗するような奴がいて、奴らを返り討ちにしたり、泣かしたりしたのだ。
だが、悪いのは奴らではなく反抗したやつになってしまったのだ、PTAという害悪のせいで。
こんな横暴があっていいのか?学校はPTAの独裁国家なのか?先生達は一体何をしているのだね?
今まで我慢してきたがもう我慢できない、目には目を歯には歯をだ、俺は前々から奴らに恨みを抱えてる人間に声をかけ策を練ることにした。
奴らを絶対に潰す!という目標の元、頭をひねり、時に殴られても我慢し、考えた。
ポン
俺の頭に電球が浮かんだ、俺は一緒に策を考えてたメンバーをゆっくり見回し、策を伝える。
「簡単なことだったわ、証拠がないから奴らは捕まらない。そして調子にのるんだ、だから証拠があればいいんだよ!これから一カ月奴の横暴に耐えに耐え続け、証拠を取り続ける。」
「おぉそこは盲点だった!物理的な解決法ばかり考えてた。」
「それは確かにいいかもしれないけど…セクハラされたらどうすればいいの?」
「その時はちゃんと抵抗するんだ、大声で叫べ俺らが飛んでいく!!」
それから俺らは一カ月もの間、耐えに耐え抜いた。一カ月の間にちょいワル達も含めてボコボコにされたのを取った奴もいるし、セクハラされているのを録音した奴もいる。
そして集まった証拠が102件だ、31日間でこれだけの証拠が揃ったのだ、言い訳もできないしおふざけじゃ効かない件も何個かある。
俺らは3つやることがある、1つ目はちょうどPTAの総会が三日後にあるのでそこでこの証拠を叩きつけること、2つ目はこの件を揉み消されないように教育委員会への届け出ることだ、そして最後に傷害事件もあるので警察へも届け出をだすことだ。
盤石の体制だ、負ける気がしない。
一応全員の携帯にコピーしたのを添付し、何人かは家のPCに保存しているので、消されたところで困らない。もしどの機関にも相手されなかった場合に備えて、ネットへ投下する用意もできている。
「おい、てめーら待てよ」
その日の帰り際、誰かから奴らに情報が行ったみたいで、マジギレしながらちょいワルどもを従えた奴らが下駄箱に構えていた。
こちらは全員がいるわけじゃないので5人しかいない、だがあちらは12人もいる。
明らかに多勢に無勢だ、だがこれも決定的な証拠になるかもしれないという葛藤の中で俺は揺れていた。
「お前らは先に行け、俺が残る」
俺はこの葛藤の中、被害を最小限かつ最大の証拠になりうる方法を考えだした。
「そっそれはやべーよ!?あいつら12人だぞ?死んじまう!」
「そうだぜ、俺らも一緒に逝く!」
「ダメだ、俺だけでいい。この計画は俺の発案だ、最後のキメは俺に任せてくれや?」
俺は覚悟を決めた目で、仲間を見回す。
他の4人は最後まで渋っていたが、俺が背中を押すことで逃げてくれた。
「お前さんよぉ〜、覚悟できてんだろぉな?」
「てめぇ携帯出せよ、記録消すからよぉ〜」
ははっ…こいつらは馬鹿だなぁ、俺だけが記録を持っているわけないだろうに、だが好都合だ。これで他のやつに被害がいかない。
「渡すかよ!このクズどもが、かかってこいよ?だがてめーらこそ覚悟しろよ?てめーらには法の裁きを受けて貰うからな(笑)」
「はっ?俺の親父はPTA会長だぜ?揉み消せんに決まってんだろ」
「俺の母ちゃんもPTAの上役だぜ?」
安い煽り口調で言ったら、これだ?
こいつら本物のバカだ、俺は今までPTAが最強のように書いてきたが、世の中で見ればたかが1つの学校のPTAの権力なんぞたかが知れてる。
警察にPTAが勝てるか?否、勝てない。
教育委員会にPTAが勝てるか?否、勝てない。
俺らにPTAが勝てるか?否、今までは負けていたがもう俺らは負けない。
こいつらがバカで良かった、こんなにアホだからこんなに綺麗に証拠が集められて、親共々どん底に落とせる。
「はっ!PTAがどうした?お前の世界じゃPTAが最強かもしれないが、俺の世界はもっと広いんでね!お前の価値観に縛られると思うなよ、このアホどもめ」
「なっなんだとぉ?アホだとぉ?舐めてっとマジでぶち殺すぞ?」
はい、殺人予告いただきましたぁ〜
そしてやはりバカだ、アホの部分しか聞こえてない、こいつらも親と一緒で難聴なのか?
「で?どうすんの?やんの?できんの?12人で?あれれ〜後ろの君たちぃ、そこのちょいワルくん、いや、なりヤンの坊ちゃん達はできるのかなぁ?今の話を聞いてたよね?君らならこれがどんだけやばいか少しはわかるかな?」
「「「わっ悪かった!!俺らは命令されてやっただけなんだ許してくれ」」」
後ろの雑魚ども何人かは、今更になって状況に気がついたようで面白いように顔が青くなっている、ザマァだ。
だがありがたい、ここで奴らを裏切ってこちらにつこうとするその浅はかな思考回路で。
「てめぇらうらぎんのかよぉ?ぁあ?」
こうなる、そりゃそうだ。目の前で裏切ったんだ、標的が変わるってもんよ。
「おいおい、仲間同士で喧嘩かぁ?俺は帰るぞ?」
こうなったら俺が体を張って証拠を取る必要がなくなった、まっ元々こうするつもりだったしな。
俺は‘被害を最小限(奴らの仲間になすりつける)かつ最大の証拠を得る(ちょいワルがやられているところをバッチリ撮る)’だからな。
アホどもめ人柱になってくれてありがたいぜ。
「「「ちょっまっギャァァァ」」」
俺はさっと奴らの横を通り、フェンスを登り学校の外に出た上で奴らの動向を動画に写す。
そしてひととおり取り終わった俺は、さっさと家に帰った。
三日後、体育館でのPTA総会の最中だ、俺らは10人で来ている、学校の備品室と職員室からPCとプロジェクターを借り(勝手に)今から体育館へと乗り込む。
パァン
「こんにちわーー、いきなりですみませんが今日は俺たちの話を聞いて欲しくて乗り込ませてもらいました。」
ざわざわざわ
「あらやだ、品がないわね?どこの家の息子さんかしら?」
あらやだ、品がないわね?笑わせてくれるぜ、お前さんそれはブーメランってやつだ。
「まぁまぁ聴けばわかりますから(笑)落ち着いてくださいよ、ここで騒ぐなんて品がないですよ?」
軽くジャブをいれる。
「なっ、あなたなんて名前なの?親御さんは誰かしら?先生方、黙ってないで外に追い出してくださらないの?」
おいおい親子揃って煽り耐性がないなぁ。
「あっいいんですか?まぁ別に僕たちはこのまま帰ってもいいんですが、知らないところで問題になったら困ると思いますがねぇ」
「なっ何を言うのかしら?」
「まぁまぁ見ててくださいよ!」
とりあえず聞く姿勢を取らせたところで、迅速にプロジェクターやPCの準備をし、ステージにある巨大スクリーンを降ろし映像を映す。
「さぁさぁこれから放送いたしますのは、かの有名な悪ガキどもの33日間に及ぶ事件の数々です」
口上を述べて、スクリーンへと視線を誘導する。そして音声とともに映像が流れ出す。
『おい、てめぇ邪魔なんだよ、どけよ!ドカッ』
『なめてんのかてめぇ?俺の親はPTAの偉い人だぞ?』
『君かわいいね?俺とエッチしない?最近溜まってんだよね?いいじゃん俺結構権力あるよ?』
『おっぱいさわらしてくんない?断ったらお前が無理やり襲って来たって親に言うけど?』
『ドカッバキッドゴッボカッおらおら、土下座して謝れよぉ、俺が入りたいときにトイレ入ってやがってよぉ』
『みんなもやれよ、こいつまじ抵抗しないんですけど笑笑』
『てめぇ何裏切ってんだよ、このやろう俺がどんだけ優しくしたと思ってんだ?あぁ?』
数分程度に編集した決定的なシーンを映像、音声ともにPTAの方々に見せる。
「なっなっなっ…」
さっきまで余裕ぶってた、奴らのうちの1人の母親が数々の証拠に顔を青くし言葉を失う。
「おい、君たち?この映像は俺たちが預かる。君達は安心して家に帰りなさい。」
もう1人のPTA会長の方がアホみたいなことをいいながら近寄って来た。
「あー別にあげてもいいですよ?コピーしてあるんで(笑)」
「なっ!?それも消しなさい、そもそも学校に携帯持って来たらダメだろう!!」
「はいはい、そうですねぇ!じゃあ、撮った人たちは後で先生に怒られときますんでそれでいいですよね?」
中学生に言い負かされたからなのか、それともこの状況になのかはわからんが非常に憤っているPTA会長さん。
「あっそうだ!言うの忘れてましたけど、これ教育委員会と警察にも届けたんで!こちらは皆親と相談して裁判を起こす予定なんで覚悟してくださいね!それではご視聴ありがとうございました!では撤収!!」
言うことを言って迅速に撤収作業をし、体育館をでる。
出る前に見たPTAの面々は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。
あれから1週間たった、結局PTA会長は辞任、奴らは1カ月もの間停学、裁判の結果によっては転校せざるをえないだろう。
一応、警察には傷害事件として証拠が揃いすぎてるため責任は免れないだろう。
教育委員会はこの事件を重く見て、先生達への意識調査やPTAによる学校への極度の介入による懸念などを話し合い、何やら色々と変わるらしい。
俺たちはやりきった。決して、俺らが無傷だったわけではない、レイプされかけた子(される前にしっかり助けた、代わりに殴られたが)、セクハラに暴行、集団リンチなどこちらは心も体もボロボロだ。
だけど作戦をやり終えたみんなは清々しい顔をしている。
俺らは勝ったんだ、これは一種の革命だ。
こんな風に国家というのは変わって来たんだなと中学生ながらに痛感した。
1人はみんなのために、みんなは1人のために
これが俺達と奴らの34日間の戦争だ。
評価感想のほどよろしくお願いします!!
前作、青白い女の人も是非ご覧になってくだされ!!