25歳 天使との戦い
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では75話目お楽しみください。
1,000人の天使の兵の戦力はどれほどのものか、イツキには判断がつかなかった。
「お母さん、マルコシアス団長と第2、第3戦闘攻撃団に連絡。ローマに出てきた敵を殲滅するようにと!」
「わかったわ」
イツキは母ウルラに指示を送ると第1戦闘攻撃団を率いてローマに向かった。
「各員、遠距離より攻撃開始。属性は問わない。発見があればすぐに知らせるように」
ということで戦闘開始だ。
まず遠距離からの魔力エネルギー弾で天使の様子をうかがう。
あまり効いていない様子だ。
「アモルさん、闇魔法はどうですか?」
「闇の魔法は効いているようだ。だが中央のでかいのには当たってもダメージがない様子だ」
「各員、闇魔法で攻撃開始!」
ということで闇魔法で攻撃開始。
確かにさっきよりも効いているようだ。
第2、第3戦闘攻撃団と連携して3方向から攻撃を浴びせる。
周囲の天使には効いているようだが、中央の3対6枚の翼を持つ天使には効いていない様子だ。
そのうち相手から攻撃が返ってくる。
何名かが墜落した。
「止まっていてはいい的です。各員飛行をしながら攻撃を再開!」
そしてジグザグに移動しながら敵に攻撃を与える。
周囲の天使は倒せるものの、中央にいる天使には効果が見えない。
「闇魔法を威力を上げて攻撃!」
更に攻撃を続ける。
双方の攻撃で天使も落ち、味方の団人も落ちていく。
最終的に残ったのはイツキの小隊と中央でダメージも見られない天使1人だった。
「アウィス、ウェス、アモルさん、アンビティオ、フランマ、密集してシールドを展開」
「なにするつもりよ」
「マルコシアス教官を倒したあれですよ」
アウィスの問いにイツキは迷わず答えた。
魔法陣を展開し、周囲を一周しながら魔力を集めていく。
「アウィス、ウェス、アモルさん、アンビティオ、フランマ、たぶん魔法を使ったら気絶すると思うから、身体を支えててね。心配しないでね」
「死ぬんじゃないわよ!」
「任されました!」
「任された!」
「わかりました!」
「了解しました!」
そして魔力を集め終わったら、天使に向かって突撃する。
0距離砲撃だ。
「これが私の全力全壊!スターライト・ブレイカー」
闇属性に改変された魔力の光の束が天使にぶつかる。
そしてイツキの意識は途切れた。
「ここは、どこ?」
イツキは白い空間にいた。
どこまでも白い空間だ。
なにもなく、いつまでもここにいたら狂ってしまいそうだ。
そこに拍手が響く。
上を見上げるとどこかで見た死神が居た。
久しぶりに見るストナタだ。
「イツキさん。目標達成おめでとうございます」
「え、そうなの?まだ色々残ってたと思うけど?」
「あとはイツキさんがいなくても世界征服は可能なので、呼びだしてしまいました」
ストナタは舌を出すが全然似合ってなかった。
「それでどうされます?今すぐ来世に行くこともできますが?」
「今、私の体はどうなってるんですか?」
「魔王国の本土の病院に寝かされている状態です」
「皆心配してくれてるのかな?」
「誰かしらがずっと見守っている状態ですね。愛されてますね」
ストナタがちゃかす。
「そうだね。それじゃあ、このまま来世に行くこともできないじゃないか」
「じゃあ、元の世界に戻しますね。死んだらまたここへ呼びますので、残りの生を謳歌してください」
そして意識が遠くなると、今度は病院で目を覚ます。
隣にはアウィスが居た。
「イツキ、起きたの?」
「はい。起きました」
「良かった。本当に良かった!」
そう言ってアウィスに抱きつかれる。
「ちょっと、アウィス?病人にする態度じゃないでしょう?」
「だって嬉しかったんだもの、今他の人も来るって」
まず来たのは、病院の先生バティンだった。
「懐かしいね。何年振りだろう。あの魔法を使ったんだろう?無事でよかったよ」
そんなことを言って魔力を量ると正常値だった。
「意識が戻ったのなら退院しても大丈夫だね。おめでとう」
「ありがとうございます」
バティンは戻っていった。
次に来たのはウルラだった。
「1年も眠りっぱなしなんて、心配掛けて、許さないわよ!」
そう言ってウルラも飛び込んできた。
「お母さん、苦しいです」
「その苦しみは子供を心配する親の苦しみよ。甘んじて受けなさい!」
その次に来たのはアモルとウェスだった。
「やっと気がついたと聞いて飛んできたぞ」
「心配したんですよ」
「2人にも心配を掛けましたね。ごめんなさい。そしてありがとう」
2人は飛びついては来ずに軽くハグしただけだ。
そしてアンビティオとフランマ、トントがやってくる。
「イツキ様。大丈夫なのですか?」
「小隊長、心配しましたよ」
「小隊長、怪我はなかったですか?」
「もう大丈夫です。心配いりません」
そう言って3人とも軽くハグをする。
そして7人で病院を後にすると、見慣れた兵舎にやってくる。
自室に戻って、アウィスにその後の状況を聞く。
「あの魔法を使ったら敵は消え去ったの。空軍の戦闘攻撃隊はうちの小隊以外はほぼ全滅。しょうがないから空中輸送隊を戦闘攻撃隊に、練習飛行隊を空中輸送隊に使うありさまだったわ。とりあえず陸軍は被害がなかったみたいだから侵略は続行。今はドーヴァー海峡を渡って、グレートブリテン島やアイルランド島を攻略しているはずよ」
(なるほど。そこまで行けばあとは開発されていないであろう南北アメリカだけになるから放っておいてもクリアするわけだ)
イツキが肯くとアウィスは怪訝そうだ。
「なに、そんなに肯いて?」
「いや、死神にこのまま死んでも世界征服すると聞いてね。そこまで侵攻できれば世界征服もできるだろうと思ってね」
「死神にまで知り合いがいるの?別の世界からやってきたり本当に不思議ね」
アウィスに呆れられた。
「でも、次に会うのは死んだ時だと思うよ。縁起でもないけど……」
「そう。それで、これからどうするの?」
「どうするって……」
(目標にしていた世界征服はなんとかなりそうだ。そうなると目標が無くなってしまう)
「どうしようかな……」
「魔王様の娘になったんだから、魔王様の手伝いでもしたら?」
(確かに同郷の誼もあるし、手伝うのに否はない)
「そうしようかな。アウィスはどうする?」
「今は辞めるに辞められないわよ。当分は空軍暮らしね」
「そっか。じゃあ、遠征に行っちゃうんだね」
「なに?さびしいの?」
「さびしいね。アウィスには一緒にいてもらいたい」
イツキは人恋しかった。
「仕方ないわね。じゃあ、予備役になってくるわ」
「いいの?」
「その代わり、生活はちゃんと面倒見なさいよ」
「わかったよ」
「その話、乗らせてもらおうか」
そう言って隣の部屋からアモルとウェスが顔を出す。
「2人だけなんて水臭いです」
「面白そうな話には乗らせてもらおうか」
イツキ達4人は予備役少将になり、魔王の手伝いとして魔王国本土を緑豊かにしようとするのだった。
「本当に辞めるのか?」
イツキ達4人は翌日、大臣に退職届を提出しに来ていた。
「はい。私の目標は達成されたので、もういいかと」
イツキはそう言った。
「私達はイツキに付き合っていくつもりだから辞めるだけよ」
「まぁ、ここまで一緒だったからな。ついていくつもりだ」
「大臣には本当にお世話になりました」
アウィス達もそう言った。
しかし、ナベリウスは留意して欲しそうだ。
「今辞められては困る。どうにかならんのか?」
「決めたものは決めたんです。大臣の頼みだろうと聞けません!」
そう言ってイツキ達は大臣室から出た。
次に向かうのは魔王の執務室だ。
「ということで、空軍を辞めてきたんですけど、なにをやればいいですか?」
「お前に魔王となる権利をやろう」
「要りません」
イツキは魔王となる権利を固辞する。
「では、お手伝いということで、隣の部屋を使ってください。仕事はその後で」
「はい」
宰相とは話があった。
そして隣の部屋に入るとそれぞれのスペースでくつろいだ。
イツキは執務用の椅子に腰かけて、アウィス達は応接スペースのソファで。
そうしていると、扉が激しく開けられた。
トントが立っていた。
「隊長、空軍やめたって本当なんですか?」
「本当の話です」
「じゃあ、私も連れていってください。秘書でも何でもやりますから」
「じゃあ、秘書ということで」
「ありがとうございます。今辞表を書いてきますね」
そう言ってトントは去っていった。
「いいの?秘書なんて務まるとは思えないけど?」
「美味しいコーヒーを淹れてくれる人であれば秘書の資格があると思います」
ということで、トントも含めて5人で魔王国本土の緑化を進めることになる。
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