12歳 東南アジア逆侵攻
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では58話目お楽しみください。
このイツキの作戦案は将軍会議で話し合われ、多少の修正があったものの承認された。
まず、上陸用の舟はシンガポールへ曳航すること。
マレー半島へ上陸後は西海岸線に沿って北上し、カシー山地を目指すこと。
エーヤワディー川付近に拠点を作ること。
陸軍の移動に際しては、魔法を使わずに移動できるよう、橋や谷を構築して進むこと。
海軍はバンコクへ入港し、陸軍を下船させ、カオヤイに築城すること。
もともとインドシナ半島に暮らしていた獣人の農業専門家を派遣すること。
そんな条件で許可された。
出兵が決まると話が早い。
まずは魔王国本土と東南アジアで食料を買い付け、穀類については1年分以上を確保した。
その分、値上がりして庶民の生活を多少圧迫したとしても、致し方のないことである。
また、魔王様の用意した揚陸艇と兵員輸送車両を見させてもらった。
兵員輸送車両は幅3.5メートルで長さは5メートルほど。
車高が高く、またノーパンクタイヤのため安定性は問題なし。
ちょっと狭いが横向きの4列シート(向かい合うシート×2)で兵員43名(操縦者席含む)を輸送する。
この車両が80両なので、3,440名を輸送することになる。
次に揚陸艇は、幅4メートル、貨物スペース長さ10メートルで、何とか兵員輸送車を2台乗せられる感じだ。
これが40隻パース港で作られていた。
兵員輸送車もパースの近くで作られていたので問題はないだろう。
食料も用意した。
移動手段も用意した。
あとは、道だな。
そう思ったら行動するのが吉である。
イツキは小隊6人で偵察行動を取ろうと第1戦闘攻撃団長のグレモリー少将に相談しに行った。
「行ってらっしゃい」
対して理由も訊かずに送り出してくれた。
シンガポールから西側を進んでいくと、雨が多いせいなのか川が多かった。
中には川幅が300~400メートルはありそうなところもあった。
丸太橋でいいやと思っていたイツキの計画は崩壊した。
いいこともあった。エーヤワディー川から近いところにいい山地を見つけたのだ。
エーヤワディー川からは少し離れるが、チャイティーヨー山という1,000メートルの山を発見。
この山は東西を2つの川に挟まれ、北はより標高が高い山地となっており、南に備えればいいだけという難攻不落の場所だ。
(そんなところを見つけても侵攻できなければ意味がないのだけれど……)
部隊の部屋に戻るとトントさんがコーヒーを淹れてくれた。
「ありがとう、トントさん」
「顔色が優れないようですが、何かありました?」
(のんきそうなトントさんに心配された……)
「川が多すぎて大変だし、それ以上に太い川もあって橋が架からないんだよ」
「橋……では陸軍の施設科に訊いてみてはいかがでしょうか?」
「施設科?」
「はい。土木工事の専門家ですよ」
ということで、陸軍施設科に行ったイツキは相談をしてみた。
「それは橋脚作ればいいんじゃないか?」
大工の棟梁の様な人にそんなことを言われた。
「橋脚……川の中に石を積んで土台にして橋をかければいいですね」
「ああ、そうだが」
「ありがとうございます」
「ちょっと待て!」
そう言って駆け出そうとするイツキを棟梁は止める
「何でしょうか?」
「ちょっと教えてやるからこっちに来い」
そう言われて応接スペースに来た。
「どんな橋を考えている?」
「丸太の橋を橋脚を使って作ろうかと」
「丸太を使うのは別にいいが、どんなものを運ぶんだ?重さは?」
重さは量っていなかった。
イツキは自衛隊の73式中型トラックを思い浮かべた。
富士学校で諸元を聞いたような気がする。
(確か3トンでその半分運ぶって言ってたな。幅は約1.5倍だから4.5トン、運ぶ人員は2倍だから3トンと計算しよう)
「運ぶのは車両、重さは7~8トンといったところでしょうか」
「そんなもの丸太橋じゃ運べないぞ!丸太が途中で折れちまう」
「では、どうすればいいでしょうか?」
「時間はかかるが、材料を川に向かって水平に並べていくんだ。それを杭で留めていく。そうすればもっと強い橋ができる。幅はどれくらいなものだ?」
「車両の幅は3.5メートルというところでした」
「多少の余裕を持たせて、4.5メートルといったところだな。まず丸太を4.5メートルに切るんだ。その丸太から板材を取り出すんだ。厚さは10センチもあればいいだろう。幅は丸太と相談だな。材料は丈夫なチークがいいだろう。大体太さが1メートルで、板材としては申し分ないだろう。それ以上太いチークなら、板を半分に切って幅を短くすることも考えなきゃならん。幅が長いと耐久性が無くなるからな」
「ありがとうございます」
「最後にもう一工夫必要だ。板材と板材の接合面をこうやって凸凹にして太い釘で2ヶ所固定する。そうするとより強度が高くなる。凸凹の高さは5センチあればいいだろう」
「ありがとうございます。では、太い釘を持っていくことにします」
「そうしておけ。がんばれよ」
ということを教えてもらったので、早速土木工事して実験してみる。
ウェスを連れてパース近郊にやってきた。
長さ10メートルほど、太さ1メートルほどのチークの丸太を1本と太い釘を多数、用意してもらった。
「じゃあ、まず4メートル50センチに切ってください」
「はい」
10メートルほどあった丸太が半分にされる。
「次は板を切りだします。厚さは10センチで」
「はい」
9枚の板が取りだせた。
「じゃあ、次に幅を調節するんだけど凸凹を付けて切れます?」
「はい。大丈夫です」
「それじゃあ、5センチくらい幅を取って凸凹をつけてくれます?」
「はい」
まず1番小さな板2枚に凸凹を作ってもらった。
ぴったり合う。
その板を合わせて、釘で2ヶ所、車が通りそうな辺りを固定する。
身長の半分ほどの橋桁ができた。
「次も同じように凸凹はできますか?」
「大丈夫です」
板が更に2枚できた。
凸凹はぴったり合う。
凸凹を合わせて釘で固定する。
まず2枚をつなげた板を作り、さっき作った板に接続する。
凸凹はぴったりだ。
合計で身長よりも大きな板ができた。
それを続けていくと、チークの丸太1本から10メートルほどの橋桁ができた。
とりあえず、レンガの上に置いてその上を兵員輸送車で走ってもらった。
頑丈にできた橋桁は壊れなかった。
ただ、運転手さんの話では幅がわかりにくいから手すりが欲しいとのことだった。
現地に着いたら両端に丸太でも打ちこんでそこにロープを通すようにしようと思った。
とりあえず目途は立った。
問題は作業スピードだが、ウェスに頑張ってもらうしかない。
いや、出発前に橋のパーツだけ作ってもらって、当日は釘打ちだけで作るようにしよう。
ということで、入手できるチーク材を全部入手してウェスには頑張ってもらった。
(金ならある!カジノで稼いだのがな!)
お金も出すし、知恵も出した。
作業効率アップの工夫として、釘を打つ所には墨を塗ってわかりやすくしているのだ。
これにより、誰でも作業がしやすくなる。
他に必要なものは、大量の太い釘、ロープ、金槌、そしてスコップだ。
これも余るほど買っておく。
(途中で切らしたりしたら悲惨だからね)
ロープは10キロ、釘は10万本、金槌は3,440個、スコップ3,440個を用意した。
そしてイツキの『カシー山地奪取作戦』は開始された。
この作戦の始まりは空軍によるシンガポール占領である。
相変わらずチョークポイントであるシンガポールは人間のいい的だ。
今回は男性も捕虜にしてジャカルタに送ってもらった。
貴重な労働力だ。
そしてシンガポールを占領すると、海軍の来援を待つ。
そして、あらかじめジャカルタを出港していた海軍から揚陸艇を受け取るとすぐに出発した。
第2、第3戦闘攻撃団は先んじてバンコクを制圧、人間を捕獲し、ジャカルタへ移送した。
その後、海軍はバンコクへ入港。
陸軍を下ろし、補給のためにジャカルタへと戻っていった。
陸軍は速やかにカオヤイを占領、築城することとなった。
陸軍は築城をハルファス将軍に任せた。
ハルファス将軍はまずカオヤイの周囲に堀を作ると全長180キロにもなる城壁を建設。
井戸を掘り、食料庫を作り、兵舎を作り、見張り台を作り、収容所を作り、城を作った。
そして連れてきた獣人の指導の元、チャオプラヤ川周辺で冬に種をまく米の田植えが行われた。
作業したのはジャカルタから連れてこられた人間の男性で、兵士は監視をしているだけだった。
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