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10歳 シンガポール撤退戦その2

評価とブックマークありがとうございます。

これを励みに頑張っていきたいと思います。

他の方も評価、ブックマーク、感想、レビュー、活動報告へのコメントなどいただければ幸いです。

では48話目お楽しみください。

 島には多くの飛行隊の面子が到着しており、陸軍の兵士たちは涙して喜んでいた。

 昼食用にもらったサンドウィッチを食しながらナベリウス隊長を探していると、陸軍のテントにまた行くことになった。

 陸軍の司令官と思われる人物と話している隊長を見つける。


「陛下の意思が撤退であるのならばいたし方あるまい」

「しかし、それでは海軍に手柄を奪われっぱなしです」

「反撃して、敵に一撃でも加えねばただでは帰れません」


 そんな陸軍の内輪揉めを眺めている隊長にアモルが声をかける。


「隊長、今よろしいでしょうか?」

「アモル少尉候補生。何か報告でも?」

「はい。敵の上陸用舟艇はすべて破壊、またジョホール海峡はマレー半島側およそ1キロにわたって敵を殲滅致しました」

「了解した。上空から監視活動を行い、妨害行為があればこれを排除せよ」

『はい』


 そう言われて4人でテントの外に出てきた。


「どうするの?」

「もう1周するか?」


 アウィスの問いにアモルが提案する。


『賛成!』


 ということで、イツキ達はもう少し広範囲に攻撃をすることにした。

 今回はアモルとウェスが耳の回収役。

 ウェスは午前中に攻撃した範囲で取りこぼしが無いかのチェックだ。


「では、攻撃開始」

『了解!』


 そうして二次攻撃は始まった。

 今度は東から西に攻撃をしていく。

 途中、前線指揮所と思われるテントがあったので、徹底的に潰しておく。

 生命反応がある限り、弾を撃っていった。

 間に木があったりすれば、それを打ち倒していった。

 その結果、ジョホール海峡からマレー側およそ3キロにわたって生存者もなく、また木も倒されているという状態となった。


「あらかた回収したぞ」

「こっちも終わりました」


 イツキとアウィスはアモル、ウェスと合流した。


「どう、新記録は出そう?」

「1人当たり1,000人ってところだな」

「それは良かった」


 アウィスはアモルの答えに破顔した。


「じゃあ、これからどうする?」

「人間の軍に1日でこの距離をまた詰められるとは思えないから、島に戻って休むとしよう。明日も何もないと思うが……」


 アウィスの問いにアモルが答える。


「せっかくだから高いホテルにでも泊らない?」

『異議なし!』


 ということで開店休業中だったホテルに4人で泊る。

 部屋はスイートルーム。

 広い部屋で寝ていると昔のことを思い出す。


「ウルラさん大丈夫だよね?」


 アウィスが聞いてくる。


「便りが無いのはいい便りって言ってね、気にしてないんだ。無くなったらなくなったで連絡来るだろうし」

「薄情な娘ね」

「教育の賜物かな?」


 そんな話をして、就寝した。

 翌日は朝食は出してくれたけど、ホテルの従業員さん達は全員避難するそうだ。

 4人で交代しながら海峡を見張る。

 だが、人間の軍は来なかった。

 そのためスムーズに避難ができたのだが、一番厄介だったのは獣人の王様だったらしい。

 シンガポールを枕に死ぬと言って聞かず、簀巻きにして運んだとのことだ。

 こうしてシンガポールにいたものはすべて3隻の戦艦に乗り込んで魔王国本土に移住することになった。


「では、君たちの功績を見せてもらおうかな」


 そう隊長に問われたので、アモルとウェスは魔法の袋を取り出した。


「これは、この数は個人としては考えづらい……どうやって集めたんだ?」

「イツキとアウィスがひたすら攻撃を行い、私とウェントゥスが集めておりました」


 隊長は唖然としていた。


「何か秘策というか、効率を上げるようなものはあるのか?」

「全員サキュバスの魔法である生命探知の魔法が使えます。私が教えました。」


 アモルが秘密をばらした。

 ただ、ここら辺りが潮時かともイツキは思っていた。


「だから生者を効率良く見つけ、殺すことができるということだな。」

「その通りかと」

「では、カリキュラムに盛り込まねばなるまい。その魔法を覚えるだけで効率が段違いになるのだからな」

「恐れ入ります。」


 その功績のためだろう、4人と隊長が勲章を受けることになった。

 そのため、また挨拶回りに奔走することになった。

 まずは海軍省大臣フォルネウス様。


「ナベリウス=ケルベロス中将、入ります。」

「うむ、入りたまえ」


 ということで、隊長について中に入る。


「飛行隊隊長ナベリウス=ケルベロス、勲章の授与に先立ちまして、ご挨拶に参りました」

「うむ、陸軍はこっ酷くやられたようだが、海軍は安全だったと聞くがどうだったのだ?」

「飛行隊が到着したところでは、人間も渡河用の船を用意したところだったようです。それを後ろの4人が阻止してくれました」

「懐かしいな、『1,000人殺し』だったか?元気そうでよかったよ」

「これも閣下の御加護の賜物でございます」

「そんなかしこまった言い方をするな。これからもよろしく頼むぞ」

『はい』


 そんなやり取りをして海軍省から出ていく。

 次に向かうのは筆頭将軍のロンガ大将だ。


「飛行隊は大活躍だったそうだな。海軍としては手放したくなくなったのではないかな?」


 会うなりロンガ大将はそんなことを言い出した。


「フォルネウス大臣のお考えは私にはわかりませんが、予定では、私が大将に昇格して空軍大臣になる予定ですので、なにとぞご支援のほどよろしくお願いいたします」


 隊長が冗談めかしてそのようなことを言うとロンガ大将は豪快に笑いだした。


「面白い。気にいったぞ。フォルネウスが何を言おうと空軍として独立させるので安心するように。後ろの4人は去年の叙勲以来かな?海軍の制服姿で見違えたな」

「ご無沙汰しております。ロンガ大将におかれましてはお変わりない様子で安心いたしました」


 こういうときの対応はアモルに任せっきりである。


「元気なようで安心したぞ。何かあれば伝えてくれ、力になろう」

「ご配慮感謝いたします」


 そんなところで時間が来たようだ。


「ロンガ大将、お時間です。玉座の間へお願いします」

「了解した」


 ということで玉座の間に来た。

 相変わらず、高くそして広い。

 絨毯の外側には将軍と官僚が並ぶ。

 その中を歩き、玉座の手前で片膝をついて準備する。


「魔王陛下が入られます。」


 その言葉に将軍たちも官僚たちも玉座に対して礼をし、それを維持する。

 そして魔王が宰相を連れて入ってくる。

 魔王は玉座に座り、宰相はその左側に立った。


「面を上げよ」


 その言葉に将軍たちも官僚たちも顔を上げる。

 隊長はそのままだ。


「これより、シンガポール撤退戦における戦功が大であった者に対する勲章の授与式を始める。ナベリウス=ケルベロス海軍中将!」

「はい!」


 隊長は5段ほどの階段の上にある玉座の前まで行くと魔王様に一礼した。


「魔王国王はナベリウス=ケルベロス海軍中将に桐花大綬章を授与する。魔王城においてみずから名を署し璽をおさせる。新魔王暦11年2月3日。魔王国宰相サピエンス=カンケラリウス」


 玉座の間は拍手で包まれた。

 隊長は魔王から賞状を受け取り、勲章をかけられると段を下り、元の位置に戻る。

 次はアモルだ。

 やっぱりがちがちに緊張している。

 ちょっとぎこちないがこちらは宰相からの受取となる。

 賞状と勲章を受け取り戻ってくる。

 やがてイツキの番になる


「イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス海軍少尉候補生」

「はい!」


 玉座への階段を上り魔王様に一礼、宰相に一礼して一歩下がる。


「魔王国王はイツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス海軍少尉候補生に旭日大綬章を授与する。魔王城においてみずから名を署し璽をおさせる。新魔王暦11年2月3日。魔王国宰相サピエンス=カンケラリウス」


 賞状を受け取り、勲章をかけてもらう。

 相変わらず勲章は刺々しい。


「以上を以って授与式を終了とする」


 こうしてイツキは2つ目の勲章をもらうことになった。


お読みいただきありがとうございます。

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