10歳 訓練その1
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飛行隊結成式の翌日、ラッパの音で起こされた。
イツキは外に出て点呼するのか、乾布摩擦するのかとちょっと期待していたが、ただ起こすためのラッパだった。
起きて隊舎の食堂に向かうと、朝食を摂る。
朝食の最中、マルコシアス将軍が荷物を持って入ってきた。
「昨日サイズ合わせした制服だ。デブって入らないとかは言わせないぞ!」
中には紺色の制服が入っていた。
翼のある人にはそれ用に背中の部分を開けて首元を縛るようにしていた。
イツキのサイズの服は海軍主催で行われている市民との交流会で子供に着せるものを用意してもらっていた。
もちろんイツキはそんなことは知らず、よく用意できたものだと感心していた。
「各自、着替えたら9時に訓練場に集合だ!場所は入口に掲示してあるのでよく見て迷わない様に!」
そう言うとマルコシアスは出ていった。
アウィスは、「これちょっと着てみたかったのよね」と制服を広げてご満悦だ。
朝食を終えたら、制服に着替え、杖を持ちグラウンドへ行く。
グラウンドは人で溢れかえっていたが、特にどう並ぶかなどは決められていないようだ。
とりあえずイツキはアウィスやウェス、アモルと一緒にいることにした。
そのうちグラウンドの真ん中にロープが張られる。
「ロープのこちら側がA班、こちら側がB班だ」
そんなことを中央でマルコシアスは叫んでいた。
イツキ達はA班となった。
「A班は私について飛行するように」
ナベリウス将軍の声がしたらA班の真ん中からみんな飛行していくのが見て取れた。
イツキ達もそれに習い飛行する。
上空1,000メートルの地点でA班は止まった。
「ここから北東に30キロ行ったところにカタジュラという岩がある。そこまでいって帰ってきたら訓練終了だ。ではスタート!」
皆それぞれスタートしていく。
イツキは楽しい方がいいかと4人で飛行することにした。
一番遅いウェスに合わせていくが、格段に早かった。
往復およそ8分で到着した。
「4人とも合格だ。後は昼まで自由にして良し」
ナベリウスは優秀な生徒がいることに嬉しさを感じていた。
「では少し飛んできていいですか?」
「昼間では自由にしていいと言った。好きにすれば良い」
許可は貰ったので、4人で北を目指す。
北にはマクドネル山脈があり、それを1周してくるのが目的だ。
「アウィスは魔法陣を二重に起動できることを目標にしよう。アモルさんとウェスは魔法陣を起動できるようになりましょう」
各自目標設定して飛行する。
アウィスは複数の魔法陣を使うのでふらふらしていたが、コツをつかんだのか一気にスピードが上がった。
イツキはアモルとウェスに付きっきりで速度上昇の魔法陣を教え込んでいた。
そして、器用なアモルさんはコツを掴んで速度を上げてアウィスについていった。
ウェスはちょっと大変だったが、最後の方で何とかものにしたようだ。
そうして山脈を一周して戻ると、丁度お昼の時間だった。
兵舎に戻って昼食を摂る。
すると話しかけてくるものがいた。
女性の4人組だ。
「4人は本当に速いよね。コツがあるなら教えてもらいたいんだけど……」
こういったことにはアモルさんが対応する。
「地道な努力といいたいところだが、コツが無いわけではない。空いた時間があれば勉強会でも開こうか」
そう言ってこちらを見てくる。
イツキは肯いた。
「では空き時間に勉強会を開こう。場所は……その時空いている部屋でも見つけようか。最悪私たちの部屋で行おう。」
「本当!?ありがとう。必ず参加するわ」
そういったことがありながらも、午後の訓練をする。
午後の訓練担当はマルコシアスだ。
「この訓練は魔法攻撃の精度を試すものだ!60メートル先の的の中心に傷をつければ合格となる!では始め!」
イツキとアウィスはダーツをやっていたこともあり、1回で合格。ウェスは的を袈裟切りにして合格。アモルさんもすぐに合格した。
「すごいなお前ら。後は自由時間だ。遊ぶなとは言わないが模範となるように行動してくれ」
と言われたので、また山脈1周だ。
アウィスは三重の魔法陣作成を頑張っている。
アモルさんは本当に器用で、二重の魔法陣を完成させて、更に速く飛ぶようになっていた。
ウェスもがんばってはいたが、今回はあまり成果はなかった。
戻ったら勉強会だ。
幸い食堂が空いていたため、そこを使わせてもらう。
まず初めはアモルさんによる状態:飛行の説明だ。
「人には状態というものがある。私の様なサキュバスに誘惑されれば状態は誘惑になる。他にも毒や病気といった状態異常がある。そして肝心なのは飛行という状態もあるということだ。この状態になれば私たちの様な速度になる。自分の体が飛行状態であると念じろ。そうすれば状態は変化する」
その説明でわかるかどうかは疑問だが、とりあえず説明は終わった。
次はアウィスによる魔法陣の説明だ。
本を使いながら教えていく。
「まず、簡単な魔法陣からよ。この魔法陣は魔力を流せば火が出るわ。それをイメージして手元に出すの。それがスタートよ。」
そんなことをやっていると何かやっているとぞろぞろ人が集まってきた。
「飛行魔法の高速化に興味があれば参加してください」
そういうとみんなが参加した。
アモルとアウィスが忙しそうなのをイツキは傍目から見ていたら、あんたも教えなさいとアウィスに言われ教えることになった。
みんな勉強熱心なので、夕食まで教えることになってしまった。
授業の最後には白紙の本を持ってきたら魔法陣の本を写本してあげることを約束して解散してもらった。
夕食を終えた後、後は寝るだけというところで、ウェスがアウィスに魔法陣の本を借りに来ていた。
まだ魔法陣の多重化に成功していないので気にしたのだろう。
「無理はいけないよ。まだ始まったばっかりなんだから、おいおい覚えていけばいいさ」
「ありがとうございます。でも、みんな何か教えていたので、なんだか寂しくて……」
そんなことを言いながらウェスは勉強に励んだ。
机の明かりは夜更けまで灯っていた。
翌日の午前中の訓練は空中での戦闘を地上で模したものだ。
教官はマルコシアス。
「100メートルの距離からスタートだ。その場で魔法を使っても近づいて攻撃するのも自由だ。得意なようにやれ」
万が一にも撃墜され落下死させるのが嫌なのだろう。
相手は、昨日の勉強会にも出ていた女の子。
「先に攻撃していいよ」
「では、参ります!」
そう言って放って来たのはウェスの切断魔法の切れ味をちょっと弱くしたもの。
簡単にシールドではじくと、小さな魔力エネルギー弾を30発ほど用意する。
魔力エネルギー弾は非殺傷設定で、当たると魔力ダメージを負わせ、相手の魔力切れを狙ったものだ。
「今度はこっちの番ですよ!」
そういうと、1発ずつ相手に放っていく。
放つと同時に弾を補給する。
1分間に200発程度のペースで相手に撃ちこんでいく。
相手もシールドで弾こうとするが、何十という弾の数に対応しきれずにシールドが砕け散る。
その後は相手の体に弾を当て続け、魔力切れでノックダウンさせた。
「ちょっとやりすぎた?」
誰も「いいんじゃないでしょうか」とは言ってくれなかった。
その後も挑戦者をノックダウンさせていくイツキ。
午後の授業に支障が出ると途中で止めさせられた。
アウィスもヴェパル提督直伝の氷魔法で無双していたようだ。
「2人は次は俺と模擬戦だ」
マルコシアス教官に目を付けられた。
空いた時間は飛行に使う。
2人でカタジュラ間を往復する。
ここでアウィスは三重の魔法陣を成功させ、更にスピードに磨きがかかった。
お昼になると、最初に模擬戦をした女の子がフラフラしながらだがやってきた。
「攻撃魔法についても勉強会はないのでしょうか?」
そんなことを言っていた。
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