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10歳 航空隊結成式

評価とブックマークありがとうございます。

これを励みに頑張っていきたいと思います。

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では42話目お楽しみください。

 魔王との昼食会を終わらせたイツキはメイドさんに案内され、ロンガ将軍の部屋に戻ってきた。

 部屋に戻るとアウィス、ウェス、アモルが残っていた。


「戻ってくるまで動かないというものでな」


 ロンガ将軍はそう言っていた。

 応接スペースの机の上にお皿があることから、昼食もとったものと思われる。


「では、行こうか。みんな待ち草臥れているだろう」


 というロンガ将軍の案内で城の外に出る。

 城の正面の広場には一緒に舟に乗ってきた人たちや見知らぬ人たちがいた。

 整列して残っていたのだろうか。

 最前列はヴェパル提督と一緒に海軍省に行って勲章をもらった人たちである。


「4人は最前列の中央に並んでくれ」


 というロンガ将軍の言葉通り、海軍省で勲章をもらった人たちの前に4人で並ぶ。

 並び終えると、紫色の狼人マルコシアスが話し始めた。


「これより、海軍航空隊の結成式を行う!まず始めに魔王様から結成に先立ち挨拶がある!心して聞くように!」


 そういうと、魔王城から魔王が出てくる。

 そして演壇に上ると話し始めた。


「諸君。諸君らはヒト種の現状についてどう考えているだろうか。私が封印されておよそ100年の時が経った。その間にヒト種の状況はどう変わったであろうか。人間共は勢力を拡大し、獣人国家を飲み込み、獣人を奴隷とし、今なおも拡大しようとしている。それを甘んじて受け入れてよいのか。答えは否である。人としての尊厳の危機にいかに対処するのか。陸を歩いていては遅すぎる。海を渡っていても遅すぎる。空を飛び、迅速に人を助けること。それこそが諸君らの役目である。軍に入り辛く苦しい時もあるだろうが、その辛さは弾圧される他の人の辛さである。国歌にもあるように地中海からベーリング海、北極海から南極海、その歌の通りになるように各自の努力に期待する。以上」


 そういって魔王は朝礼台から降りて城内に消えていった。

 マルコシアスが続いて話す。


「続いて、飛行隊の隊長となるナベリウス中将より挨拶がある!心して聞くように!」


 魔王の次に登壇したのは、黒髪に黒い犬耳、そして黒い翼を持つ少女だった。


「それでは、挨拶をさせてもらおう。先程、魔王様が言われたように、飛行隊の肝はその速さにある。早いことこそ最も尊ぶべきことであり、遅い者はこれを恥ずべきであることを認識しなければいけない。訓練ではその速さを徹底的に鍛え上げることになる。遅い者はその速さを上げるまで徹底的に追い込む。この中の幾人かは墜落して死ぬことになろうともだ。諸君らの健闘を祈る。以上だ」


 そう言ってナベリウス中将は脇に逸れた。

 マルコシアスが式を進める。


「続いて隊旗の発表を行う!演壇に注目!」


 演壇に旗を持った兵士が入ってきた。

 マルコシアスが旗の説明をする。


「隊旗は魔王国のシンボルカラー紫をベースに魔王様の翼である6対12枚の黒い翼を中央に置いたデザインとなっている!各員、忘れることがないように!」


 その声と同時に兵士さんが演壇を降りる。

 兵士が演壇から降りたことを確認し、マルコシアスは司会進行に努める。


「では次に国歌斉唱を行う!楽隊、演奏始め!」


 広場の左右には何時の間にか音楽隊がいた

 トランペットが鳴り、国歌が始まることを示した。


『魔王国よ、魔王国よ!世界に冠たる魔王国よ!種は違えども、家族のように!轡を並べて、戦い抜く!地中海からベーリング海へ!北極海から南極海へ!魔王国よ、魔王国よ、団結せよ!世界に冠たる魔王国よ!魔王国よ、魔王国よ、団結せよ!世界に冠たる魔王国よ!』


 イツキは歌詞を知らなかったので口パクだ。


「これにて結成式を終了とする!」


 マルコシアスが閉式を宣言すると端にいる兵士さんが叫び出す。


「それでは端の列から付いてきてください。騎獣を持っている人は自分の列が移動になった際に騎獣のところに行ってください」


 そうして端から糸をほどくように解散していった。


「勲章の受章者は俺についてくるように」


 そう言ったマルコシアスに兵舎に連れて行ってもらった。

 兵舎は4階建ての煉瓦製の建物だった。

 入ってすぐの左手前がイツキの部屋だった。

 部屋は4人部屋で、メンツは変わらなかった。

 部屋は、真ん中にロッカーや机、本棚が置いてあり、実質小さな2人部屋が2つあるようなものだった。

 ロッカーや机の上は空いているので、会話しようと思ったら出来る。

 部屋割は入って右側にイツキとアウィス、左側にアモルとウェスとなった。

 2段ベットになっており、イツキとアウィスはいつものようにイツキが上、アウィスが下となった。


「そう言えば、魔王様とお昼に何話してたのよ?」


 アウィスが訊いてくる。


「前世のこととかかな」

「そう言えば、イツキの前世ってどんな感じだったの?」

「今とほとんど変わらないよ。兵士になる学校に通ってたんだ」


 ふと防大時代を思い出す。


「ふーん、あ、参考までにどんな日常だったか教えてよ」

「いいよ。日の出とともにラッパで起こされて、ベッドを整えて、着替えて外で点呼するんだ」

「何か船の生活よりよっぽどきつそうね」


 アウィスは露骨に嫌そうな表情だ。


「船の方がよっぽど楽だろうね」

「それで、点呼を取ったらどうするの?」

「掃除だね。埃が少しでも落ちていたら怒鳴られるんだ」

「それは怖いわね」


 船では1度も掃除などしていなかったアウィスには想像もつかないだろう。


「その後は朝食を摂って、朝礼だね」

「朝礼って今日みたいに集まるのかしら?」

「さあ、その辺は教官の指導方針にもよるから何とも……次は授業するところに行進して向かうんだ。揃ってないとこれも怒られるし、荷物の準備に手間取っても怒られるね」

「怒られてばっかりね」


 アウィスはうんざりとした表情だ。


「入ったばかりで慣れてないとそんなものだよ。それから授業、訓練だね。お昼前まで4つの項目について勉強してたよ」

「4つも?」


 飛行訓練と遠距離の魔法訓練しか想像していなかったアウィスにこの数字は衝撃的だ。


「そう。ただ戦うだけじゃなく、教養も身につけないといけないんだ」

「頭が痛くなってきたわ」


 おでこを抑えるアウィス。


「まあ、マルコシアス将軍の訓示では、飛行速度を上げることが最重要事項らしいから、そこまで思い悩むこともないんじゃない?アウィスは速いし」

「もっと早い人に言われたくない」


 ふてくされるアウィス。


「気にしない気にしない。そんなことで悩むくらいなら魔法陣の多重化について考えた方がよっぽどましだよ」

「それはそうかもしれないけど……」

「話を続けるね。午前の訓練が終わったらお昼休み。昼食を摂ったり買い物したり自由な時間があった」

「厳しいだけかと思ったけどそういう面もあるのね」


 アウィスは意外そうだ。


「まあ、1時間だけだけどね。それが終わったら午後の訓練に行く行進をするんだ」

「また行進?」


 やっぱりうんざりな感じのアウィス。


「軍隊の基本だからね、行進は。仕方ないよ。そうやって習慣付けておくと後々楽だしね」

「上がコントロールしやすいってこと?」

「そういうことだね。午後も4種類の訓練があったよ」

「合わせて8つって、勉強熱心ね」


 ここまで来ると感心するアウィス。


「まあ、上に立つ人が無能じゃ下がかわいそうでしょ。仕方がないことだよ。その後は部活動、サッカーとかで体を動かすんだ」

「サッカーってこの間見てたやつ?」

「そうそう、足でボールを蹴るやつね」

「あれがそんなに運動になるとは思えないんだけど、まぁ、体を動かすのは訓練の基本よね」


 船の上で走り続けていたアウィスには簡単そうに見えるらしい。


「そうだね。次は夕食とお風呂。それからまた掃除。これも怠ったらものすごい怒られる」

「なんだか怒られてばっかりね」


 やっぱりうんざりするアウィス。


「できてないから仕方がないよ。その後夜の点呼があって、洗濯して寝る。そんなパターンだったかな」

「こことは全然違いそうね」

「どんなカリキュラムか楽しみだけどね」


 結局その日は夕食を食べてた後、制服のサイズ合わせで終わった。


お読みいただきありがとうございます。

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