10歳 鉄道の旅
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では38話目お楽しみください。
初心に帰ったイツキだが、トレーニングしようにも場所もない。
仕方がないので食堂のスペースをちょっと借りてラジオ体操やストレッチについては頑張るようにした。
また、空き箱に使われていた木材で魔法ダーツを開発し、食堂で遊べるようにした。
魔法ダーツとは氷の魔法で針を作り、ダーツとして遊べるようにしたもの。
当然細くしないといけない。
それが魔法のコントロールにもつながる。
遊び方は先に501点稼ぐ方法にした。
距離は一番端のテーブルの遠い方の席の位置から壁まで約150センチ。
的の高さは決まっていないが、イツキが手を伸ばして設置した高さなので、ダーツの中心は140センチくらいの高さだろう
そのうち公式競技になったりするかもしれない。
頂点に君臨するのはヴェパル提督だ。
抜群のコントロールを見せ、ほぼパーフェクトでなくては勝てない相手になっている。
2位はイツキ、3位は艦長さんとなっている。
アウィスとアモルはは氷魔法を覚えていなかったため参加できていない。
これを機に覚えてみればと勧めておいた。
提督という見本も近くにいることだし……。
ウェスは多少使えたので参加しているが、氷が太いため20のトリプルにいくつも入れるということができていなかった。
そんな出発から2日目の朝も朝食を終えた後に勝負を挑まれたイツキは完勝していた。
そして新聞を読む。
陸軍はレヴィアタン以外の戦艦を使ってインドシナ半島のバンコクの辺りに上陸する計画の様だ。
そのため、ダーウィンの辺りでは食料が高騰しているとか。
また、マレー半島に逃れた難民は魔王国本土への亡命を希望しているとか。
来ても待っているのは砂漠を耕す作業だと思うのだが、難民にとってはここはユートピアに思えるらしい。
まあ、人間はいないし、戦火に追われることもない。
(衣食足りて礼節を知るということだ)
そんなことを考えながら部屋に戻った。
イツキはランニングは諦めて、アウィスのベッドを借りて腕立て伏せや腹筋背筋を鍛えていた。
なぜアウィスのベッドを借りているかと言えば自分のベッドでは天井にぶつかってしまうからだ。
30回ずつを1セットとして鍛えている。
疲れてきたら乗務員さんに水を頼んだ。
そんなことをしているとアウィスが声をかけてきた。
氷魔法が使いたいらしい。
ということなので、自分より優れた魔法使いヴェパル提督を紹介しておいた。
昼食の時に食堂に行くと食事そっちのけで魔法談義をしているアウィスと提督と艦長。
そっとしておこうと3人で昼食を食べた。
夕食もそんな感じだった。
夕食後、ダーツを1戦挑まれたイツキは完勝して部屋に戻る。
音楽番組を見るためだ。
この音楽番組、作詞作曲を魔王様が務めた曲を扱ってるというが、前世を知っているイツキにとってはそれはパクリだろうと言わざるを得なかった。
J○SR○Cはいないのだけれども。
今夜もラテン語の入った曲だ。
魔王の好みかもしれないが、ラテン語を使った曲が多いような気がしていた。
今夜も黒という意味を持つ名前のアニメのBGMとして使われた曲、最後と言いながら十何作続いているゲームのうちの8作目のBGMとして使われた曲、そして、ドリルがテーマになっている熱血アニメのBGMと聞く人がいればわかるものだらけだった。
イツキはあまり分からなかったが……。
そんな感じで1日が終わる。
アウィスは帰ってこなかった。
翌朝、朝食後にアウィスに勝負を挑まれた。
提督から仕込まれた氷魔法の針はかなり細く、コントロールも見事なものだ。
だが、覚えたてに負けるわけにはいかない。
気合を入れて戦った。
結果、イツキは9ダーツというパーフェクトゲーム、アウィスは最後少しはずして勝負はついた。
「アウィス。うまくなったね」
「提督の弟子だもの。そう簡単に負けるわけにはいかないわ」
ということで、アウィスはさらにコントロールを高めるために提督の部屋に帰って行った。
アウィスのベッドで筋トレしながらイツキは思った。
(アウィス、自分のベッド忘れてるんじゃない?)
そうしてアウィスと朝食後ダーツを1ゲーム楽しむことになった。
アウィスは提督の指導のもと、イツキと同レベルになっていた。
1位が提督、2位をイツキとアウィスが競う。
艦長はそれほど氷魔法に造詣が深くないようで、4位に甘んじた。
あと何かできないかと思って乗務員さんにお願いしたところ、パン窯の火を出すのはどうかと言われた。
ということで、昼食用の3等室に乗ってる人のパンが焼き終わった後で、パンを焼くことにした。
バターロールパンで15分ほど温度を維持する。
するときれいに焼けた。
食べてみると、ちゃんとモチモチしておいしいし、ちゃんと火が通っている。
ということで、他の人の分まで焼いていく。
しかし、600人分以上を焼いてもあまり魔力消費が感じられず、さらに何かできないかと乗務員さんに頼んだ。
乗務員さんも困っただろうが、それなら機関車に乗ってみるかと提案してくれた。
夕食を食べ終わる頃にはクーパーピディーという駅に着いており、1両目の機関車に案内してもらう。
「こちらのお客様が魔力を消費したいというので……」
乗務員さんに説明してもらって手伝わせてもらう。
機関車はトイレや休憩室があり、スピードメーター、供給している魔力量を測る魔力計と魔力を供給するための棹が4つあった。
「止めろって言ったら止めるんだぞ」
という機関長の言葉に肯いて4人のうちの一人と交代してもらい、魔力供給桿をつかみ魔力を供給する。
軽く魔力を流しただけで、メーターが振り切りそうになる。
メーターの最高値を維持するようにしたら、速度が上がっていく。
ついでに挑戦ということで、1人で2本の魔力供給棹を操作するようにしてみた。
2つのメーターを最高値にしても魔力消費はそれほどではなかった。
一方で速度は1.5倍になった。
あまりにも速くなったので、次の駅に連絡を取り早目に後退と補給することを伝える。
その後、午前3時ごろカルゲラという駅で1時間休憩し、出発する。
魔王城の城下町ウルルに着いたのは出発して5日目の10時過ぎだった。
「無理を言ってすいませんでした」
「いや、こっちも早く着いたんだから良しとしよう。ありがとうな」
そんな感じで機関長と別れを告げると最後尾の車両に行く。
するとアウィスがイツキのトランク2つを抱えて出てきていた。
「戻ってこないから心配したわよ」
「それを言ったらダーツを習いにいってたアウィスも戻ってこなくてさびしかったよ」
「あの時は近くだったからいいじゃない。イツキは先頭の車両に行っちゃったって聞いて驚いたんだから」
「ごめんね。でも、面白かったよ。軍から離れたらこういう職業もいいかもね」
「じゃれ合うのはそこまでにしましょう。私達が先に行かなくては後の方の行動に差し支えます」
そう言って場を取り仕切ったのは提督だった。
提督を先頭に艦長、アモル、アウィス、ウェス、イツキ、その他大勢が並んで歩いていく。
城下町は、魔王が周囲に塩湖を塩抜きして灌漑に使用しており、緑も豊かな街作りになっていた。
魔王城はエアーズロックをくりぬいて作られている。
駅から魔王城には大きな通りがあり、規制線が引かれていた。
その規制線の外側には多数の人がおり、数多の魔王国の旗が振られ、またフラッシュもたかれていた。
「魔王国海軍万歳!」
「魔王国に栄光あれ!」
そんな声が周りから聞こえる。
その大きな通りをイツキ達は歩いて魔王城に向かう。
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