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10歳 提督と修行その2

評価とブックマークありがとうございます。

これを励みに頑張っていきたいと思います。

他の方も評価、ブックマーク、感想、レビュー、活動報告へのコメントなどいただければ幸いです。

では33話目お楽しみください。

今までの結果から、イツキは物理とか化学の考えを捨てることにした。

密度がどうのとか重力がどうのとかそういった概念の外の話だと思ったからだ。


(性質を付与、どういうことだろう?某アニメのラピュタは巨大な飛行石を中心にしていたが、その飛行石はなぜ浮いていたのか?反重力だろうか?某ゲームにも浮かぶ大陸が出てきていた。浮かんだ原理は不明だが……。)


夕食の時もイツキは考えていた。

夕食で出てきたコンソメスープも研究対象だ。


「ねえ、アウィス。このコンソメスープを浮かべられる?」


いきなり変な質問をしたのでアウィスはあきれた。


「はあ?何言ってんの?」

「提督からの宿題で、水に浮く性質を与えないといけないんだけど、いまいち分からなくって……」

「提督からの宿題なんて、それは難問ね」

「でしょう?だからアウィスにも話を聞いて何かヒントになるようなものはないかなと思ってね」

「まあ、ヒントになるかどうかわからないけど話は聞いてみる?」

「お願いします」


イツキは藁にもすがる思いだった。

アウィスは説明を始める。


「私たちって、結構暑いところを船で通ってきたじゃない?でも、私は暑くなかった。何でかわかる?」


それは簡単だ。

体の周りの空気の分子運動速度を少し遅くしてしまえばいいのだ。


「それは体の周りを冷やしてたんじゃないの?」

「それじゃあ、体の周り以外にも冷気が移っていくから、ウェスが暑がっていたのが説明つかないじゃない。」


確かにそうだ。買い物のときアウィスとウェスは結構近くにいた。

説明がつかない。


「それじゃあどうしたの?」

「周りの空気に『快適になれ』ってお願いをしてたのよ」

「お願いって、空気には何かいるんですか?」

「見たことはないけど、何かいるんじゃないかしら」

「案外、そのコンソメスープにもいるかもね」


(確かに日本だと八百万というありとあらゆる神様がいたというから、いてもおかしくないかも……)


「ちょっと操作してみてくれない?参考にしたいから」

「しょうがないわね。『冷めたく感じさせなさい』」


アウィスがそう言うと、コンソメスープは冷えていた。

しかし、液体の分子運動は変わっていなかった。


「アウィス、もっと冷やせる?」

「わかったわ。『もっと冷たく感じさせなさい』」


アウィスがそう言うと、コンソメスープは氷のように冷たくなっていた。

しかし、液体の分子運動は変わっていなかった。


「お願いすればいいんだよね?」

「そうよ」

「では、『浮かんでください』」


イツキがそう言うと、コンソメスープは浮いた。

それから何度もコンソメスープを浮かべたり落としたりした。

そのたびに様子を見ていると、意外なことがわかった。

物理的な性質は全く変わっていなかった。

そして、RPG的にはなるが、スープの状態が浮遊となっていたことだ。

人の状態だと、病気や毒、誘惑となるところをスープの状態として浮遊としたのだ。


(さすが魔法、さすがファンタジー世界)


イツキは感心した。

そして口に出さなくてもよくなるまで数時間、食堂を閉めると言われるまで続けるのだった。

翌朝、提督との特訓で成果を見せた。


「そうです。まだ弱いですけどその方向で間違ってません」


そうお墨付きを頂いた。

後は魔力向上のウェイトトレーニングのようなものだ。

海水を浮いた状態、もっと浮いた状態、沈んだ状態、もっと沈んだ状態と変化させ続けるのだ。


「こんなに早くコツを掴むなんて、『杖持ち』さんはやっぱり優秀ですね」

「いえ、今回は友人の助けがなくてはどうしようもなかったでしょう。いい友人を持ちました」

「うらやましいです。ところで、最後の修行があるのですがやっていかれます?」

「もちろんです」


最後の修行は雨を降らすことだった。

海水から水の粒を作り出し浮遊状態にして上空に飛ばす。

そして、数分後に雨粒になって落ちてくるという魔法だ。

この魔法の難しさは、雨粒よりも小さな水の粒を操作して上に飛ばさないといけないということだ。

だが、魔力には自信があったイツキは雨粒サイズの水を空まで上げることから始まり、その日中には雲を作り、雨を降らすことに成功した。


「これで私の修行はお終いです。いかがでしたか?」

「魔法について難しく考えすぎていたのかもしれません。それについて感じさせてくれたことを感謝します。また機会がありましたらよろしくお願いします」


それからイツキは使ってきた魔法について再考を始めた。

まず飛行魔法だが、現在は重力がないものとして飛行している。

これを、状態:飛行にするとどうなるのかということをまず考えた。

結果からいえば、大幅な速度上昇につながった。

魔方陣の効果と加えると音速も超えるのではないかと思うくらいの速度が出るようになっていた。

また、ストーン・バレットや炎弾についても、自分の周りに出現した際に状態:飛行とすることで、使用魔力を低減、また、発射速度も大幅アップとなった。


(改めてファンタジーってすごい)


ちなみにそれをアウィスに伝えると、


「知らないであんな速度で飛んでたの?信じられない」


と驚かれた。

ウェスにも話してみると、


「そんな技術もあったんですね、勉強したいです」


と言っていたので、今度個人的に教えることになった。


アモルは


「状態変化ってサキュバスが一番に覚えるものだぞ。だが飛行魔法に使えるのは知らなかった。教えてほしい」


との事だったので、部屋で教えることにした。

母ウルラは、


「魔法の技術なんてわからないわ。でも、使えるって言うんだから覚えようかしら」


と言っていたので、授業に参加してもらうことになった。

朝のランニングは止めて魔法教室を開く。

参加者はウルラ、ウェス、アモル、助手にアウィスだ。


「状態異常を有効に活用することは極めて重要です。この間やったように長距離から岩をぶつけて船を壊すときなどに岩に状態異常:飛行を付けると格段に速度が上昇します。同様のことが飛行魔法にも言えます。、自分自身に状態異常:飛行をつけることで、飛行速度の上昇が見込めるのです。では、日常的に使っているアウィスから何かアドバイスを」

「アドバイス?そうね、基本は速く飛ばしてくださいっていうお願いね。そうすることで、お願いしない時よりも速く飛ぶことができるわ」

「何はともあれ、実際に飛んでみることが大事ですから、甲板から飛行の練習と行きましょう」


そう言って5人で甲板に出て飛行する。

そして飛行しながら、お祈りをしていた。

すると、さっそく効果が出たのか、アモルさんがものすごい速さで飛び始めた。


「やっぱり状態異常になれてるサキュバスだとやりやすいのかな?」

「さあ、でも、他の二人もできそうよ」


見るとウルラもウェスもいつもより早く飛んでいた。

もう少し速度はあげられるだろうが、抑えて飛んでいるのかもしれない。

速さを体験させるために、ウェスに追いつくと、ウェスに抱きついて離れないようにする。

そして速度上昇の魔方陣を五重に展開し、状態:飛行にして飛行する。


「きゃあーーーーーーー!」


どうにもハードすぎたらしい。

速度を落とすと、ウェスに言われた。


「心の準備があるんだから、何をするのか先に言ってください!」


そう言うことだったのでウルラを抱えて飛ぶときは先に伝えた。


「おかあさん、今からすごい速さで飛ぶけど準備はいい?」

「ええ、大丈夫よ」


そして、やっぱり速度上昇の魔方陣を五重に展開し、状態:飛行にして飛行する。

ウルラは驚きはしたが声には出さなかった。

そしてぽつりとつぶやいた。


「こんな速さが必要なのね」

「おかあさん、何か言った?」

「いえ、何でもないわ」


そうして各自、能力を向上させながら魔王国本土に到着する。


お読みいただきありがとうございます。

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