10歳 カジノ狂想曲
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では29話目お楽しみください。
人には自分の中での流行がある。
今イツキの中で流行っているのはコーヒーだ。
主に飲むのは朝食後。
コックさんからお湯の入ったポットを貸してもらい、レガスピで買ったコーヒーセットでコーヒーを飲むのだ。
イツキは美味しいと思って飲んでいるんだが、黒い液体と言うのはあまり好まれなかった。
たまに度胸試しに飲む人がいても、熱くて苦いと言って退散するのがオチだった。
道具もレガスピで買った1セットのみなので、大切に使っていた。
コーヒーミルは付属の刷毛で丁寧に掃除していたし、ドリッパーとコーヒーカップ、ソーサーは自分で手洗いしていた。フィルターはコーヒーの滓を捨てると逆さにして回転させ、遠心力で残った滓を飛ばすようにしていた。
そうした手入れを欠かさずにしていると愛着もわく。
ただし問題なのは、トランクにコーヒーセットを入れる余裕は全くないということだ。
(次の港で買えるかな?)
イツキとしては、肩から提げるドラムバッグの様なものを探したかった。
そこで兵士さんに聞いてくと、次のダバオの港に鞄屋さんがあることが知れた。
「その時は持ってたカバンが壊れてな。何とか鞄屋を探しだしたんだ。場所は港から伸びる通りの東側、商店街の中にあったから分かりやすいだろう」
そんなことを言っていた。
船は順調に航海中。
イツキは起床、朝食、コーヒータイム、片づけ、ラジオ体操、ランニング、昼食、ランニング、夕食、ストレッチ、就寝というパターンで過ごしていた。
そしてレガスピを出港して7日後、船はミンダナオ島ダバオに入港した。
入港が夕方になったので、2日間上陸許可が出た。
イツキの母ウルラは、事前に兵士たちから情報を得ていたのか、迷わず高級な宿を確保した。
相変わらずウェスが伝令役を務めているなと思うと、時間もないので出発した。
埠頭の入口には多くの人が集まっていた。
恐らくは新聞記者さんがただろう。
ご苦労なことだと思いつつ、ホテルに到着した。
このホテル、目に毒なものが2つあった。
1つはプール、もう1つはカジノだ。
(カジノに行きたいって言っても許してもらえるかな?)
カジノを見たとき、イツキはふと死神の出したチート能力について考えた。
経験値10倍。
もしかするとカジノも経験値が入るんじゃないか?
運の能力値が上がるんじゃないかとイツキは考えた。
夕食を食べているときに相談してみた。
「明日の午後ならいいわ。だけど、限度は金貨1枚までだからね」
お許しをもらえた。
ちなみに明日は午前中に買い物、午後はウェスとアモルはプール、イツキとウルラ、アウィスはカジノというスケジュールになった。
よくあさ、5人は商店街を散策した。
その際、イツキは鞄屋を見つけると皆を誘導した。
「いらっしゃい、何をお探しで?」
「ここはどんなお店なんですか?」
「ここは革の鞄専門店だ。今流行りの魔法の袋のようにすることもできるぞ」
「そうなんですか。肩から提げるような鞄はありますか?」
「それはこっちの方だ」
ということで案内される。
白くて小さな肩掛けバッグやこげ茶色の大きなバッグなど色々あった。
順に見て行くと、ドゥクスからもらったような茶色のトランクが目に入った。
「このバッグを魔法の袋みたいにできますか?」
「お嬢ちゃんは通だね。普通小さい袋に魔法をかけるものだがこのサイズを選ぶとはね。少し時間はいただくけど、可能だよ」
「どれくらいかかりますか?」
「夕方までかかるだろうな」
「夕方ですか。午後はカジノで遊ぶ予定なんですよね。明日の朝には船が出ちゃうし、朝に何とかなりませんか?」
「あの大きな船に乗ってきたのか。じゃあ乗り遅れるわけにはいかないな。朝店を開けるから来るといい」
「ありがとうございます」
ということでトランク型の魔法の袋、購入決定です。
また、商店街にはコーヒーの豆を売っているところもあったので補充しておいた。
ここでもココナッツオイルが売っており、イツキは使ってもいないのにまたウルラに化粧品と石鹸を購入させられる羽目になった。
昼食は食べ歩きだ。やっぱりエビが多い。そしてイカやカニが獲れていた。
果物も多く、またドライフルーツも買うことになった。
そして午後、イツキはルーレットでディーラーさんにドゥクスからもらった金貨のうち一枚をコインに替えてもらった。
5,000サタナス分の茶色のチップが1枚、1,000サタナス分のオレンジのチップが4枚、10サタナスのルーレットチップが100枚手元に置かれた。
イツキのルーレットチップの色は白だった。
「ベットしてください」
その声とともにディーラーさんは球を投げ入れる。
イツキは黒に1枚掛けた
「ラストコール」
イツキの周囲の者は悩みながらコインを押しだす。
「ノー・モア・ベット」
皆が球の行方を見守った。
球が入ったのは黒の2番。
幸先がよいとイツキは思った。
イツキは白いチップを1枚黒に掛け続けた。
最初の方は勝ったり負けたりで増えるか増えないかということを繰り返していた。
ただ、時間が経つとイツキのチップが増え始めた。
白いチップが150枚にもなろうとしたところでイツキは手持ちのチップを茶色いチップ2枚と白いチップ50枚にした。
その後もイツキのチップは増え続けた。
「この子は持っている」
そう言われて、ルーレット台の全員が黒に掛けるようになると、声をかけられた。
ルーレットで立っていたディーラーさんよりも壮年のディーラーさんだ。
「お客様。奥に席をご用意しております。どうぞそちらに」
「その前に、連れの様子を見てきます」
そういうとウルラとアウィスの様子を見に行く。
ウルラはバーカウンターでお酒を飲んでいた。
「おかあさん、奥に部屋があるそうなのでそちらに行ってきます」
「気をつけてねー」
酔って楽しそうだ。
アウィスはスロットをしていた。
くるくる回るリールに目を回していた。
「アウィス、奥の部屋に行くけどついてくる?」
「行くわ」
ということでアウィスと一緒に奥の部屋に行く。
部屋にはルーレット台、ポーカー台、ブラックジャック台が用意されていた。
「こちらの台は最小で100サタナスとなります。どれになさいますか?」
「ルーレットで」
「コインの色はどうなさいますか?」
「白で」
ということでルーレット台に着く。
「あ、アウィス、コイン残ってる?」
「持ってきてるわよ、使う?」
「ありがたく借りるよ」
その数30枚ほどだろうか。
イツキの白コインと合わせるとぴったり100サタナスになった。
「このコインと10サタナスの白チップでここの白チップを1枚」
そういうと交換された。
「勝てるの?」
「勝つか負けるか、一喜一憂するのがカジノの醍醐味だよ」
ゲームが始まる。
「ベットしてください」
その声とともにディーラーさんは球を投げ入れる。
イツキは36の1点掛けだ
「ラストコール」
イツキは動じない。
「ノー・モア・ベット」
球の行方を3人が見守った。
球が入ったのは赤の36番。
イツキの手元に36枚のチップが届けられる。
ディーラーさんは悔しそう。
「やったわね、イツキ!」
「じゃあこれは借りてた分」
そう言って1枚アウィスにプレゼントした。
「では、次のゲームに参ります」
そういうとディーラーさんはボールを用意した。
「ベットしてください」
その声とともにディーラーさんは球を投げ入れる。
イツキはこんどは0の1点掛けだ
「ラストコール」
イツキは動かない。
「ノー・モア・ベット」
球の行方を3人が見守った。
球が入ったのは緑の0番。
イツキの手元に36枚のチップが届けられる。
やっぱりディーラーさんは悔しそう。
ここで一つ提案した。
「せっかく独り占めなので、趣も何もありませんけど、早めにお願いします。回転率を上げましょう」
「かしこまりました」
その後、ペースは一気に上がった。
1時間に90回くらいのペースでルーレットをプレイできた。
イツキは連戦連勝。
たまに負けるが、勝つと36枚だ。
収支は大幅に黒字となった。
気がつくと夕食の時間だった。
ウェスとアモルに連絡を取る
「ウェス、アモルさん、今手が離せないのでカジノにいるおかあさんとアウィスを連れて夕食にしてください」
「それはわかったけど、イツキはどうするの?」
「どうにかするから大丈夫。心配しないで。」
そういうとアウィスを外に出す。
「もうすぐウェスとアモルさんが来るから扉の前で待っててください」
「イツキはどうするの?」
「食事を持ってきてもらうって可能ですか?」
そうディーラーさんに訊く。
「はい。熱中してこちらで摂られる方もおります」
「ということだから、私はこちらで夕食を摂ります。先に寝てていいですよ」
「いつまで遊ぶつもりよ!」
そう言いながらアウィスは外に出て行った。
夕食はサンドイッチになった。
イツキのルーレットは午前になるまで続き、帰るころには青の硬貨3枚と四角い金貨7枚を渡された。
(見たことない硬貨があるよ。でも、ちょっとは運のパラメータも上がったかな)
そんなことをイツキは考えていた。
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