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初恋の…

作者: 秋りんぐ。

いつからだろう。


胸がドキドキするのは。



目を合わせられないのは。



――君を好きなのは。



『初恋の…』





出会いはありきたり(?)なものだった。






放送委員会に入った私は、斜め前に座る一年生を見た。







彼の名前はまだ知らないし、知りたいとも思わない。






知ったところで別に何も起きないだろう、と思っていた。








♪♪♪







そんな彼の名前を知るきっかけは些細なことだった。









十月に入り、曜日ごとの放送当番を決めた日。









ここで、彼の名前が『水島』ということを知った。












そして、なぜかよく話すようになった。











あれから早くも一年半が経った。








私たちはもう三年生。






この頃の私と水島は、委員会の役員だった。







一緒にいることが多くなり、誤解されたこともあった。









いつの間にか、私は水島に好意を抱くようになっていた。









♪♪♪






その日は体育祭だった。











上でカメラを回しているはずの水島が、なぜかこちらに来た。









「…ヤバい」









「何?地面が恋しくなった?」









「違うわ。カメラのメモリーが不足してたんだよ」










冗談を真に受けた水島は、何があったか口にした。








メモリーがなくては、撮ることなんてできるわけない。









仕方ないので、放送席のカメラだけで撮影することになった。








結果、何とかなった。








だけど……あれから口を利く回数が少なくなった。








受験があるから双方ピリピリしていたからかもしれない、と今は思う。







♪♪♪







みんなの進路が決まり、気が抜けた頃。









最後の委員会の集まりに出た。









そこで後輩たちに、好きな人を告白する流れになった。








「先輩の好きな人?誰だろう」







「ヒントください!ヒント!!」








「……あんたたちが知ってる人」








こう言うと、二人の後輩が口を揃えた。








「「あー、水島先輩ですか?」」









なぜ分かったんだろうと首をかしげていると、後輩が爆弾を投下。









「お似合いだもんね、先輩たち」










どういうことなのだろうか。









尋ねると、後輩はこう続ける。









「だって、一緒にいる時間多かったでしょ?」









「…え?そんな?」









いや、一緒にいるときは多かった。でもそんなにいたっけ?








「いましたよー」











思い返して、一気に顔が熱くなった。そういえば結構いた…!








♪♪♪





卒業式の前に行ったお別れ会。レクをやったり、踊ったり。











委員会の関係で、私はレク以外の時はずっと舞台裏にいた。














そして、水島も。









舞台で踊っている人たちを見ていると、水島がいきなり私を呼んだ。








振り向くと、どういうわけか聞いたことある歌の見たことある振りを踊っていた。









「何やってんの?」









「見てのとおり」









「そうじゃなくて、なんで踊ってんの」









最大の謎。どうしてコイツは踊っているんだ。










「最後のイベントだろ?踊らにゃソンソンって言うじゃん」










キョトンとした顔で踊るのをやめた水島が言う。









「……あっそ」









台詞は素っ気なくなってしまったが、声に笑いを混ぜて返した。










躍り続ける水島に、笑い声を浴びせずにはいられなくなったのだ。











♪♪♪







卒業式








さすがにそろそろ思いを伝えたい。










そう思い、手紙を書いた。生まれて初めてのラブレターである。










涙でぐしゃぐしゃになった顔を水で洗い、走って水島の元に向かう。











「水島っ!!」











「ん?何?帰りたいんだけど…」








「えと…」









緊張して渡せない。どうにかして言葉を紡ぎたい。







「…用がないなら行くわ。じゃあ」










これを逃したら、水島に会えなくなる。伝えられなくなる。












「待って…!」








何とか引き留めた。











「これ、あとで読んで……ラブレター、だけど…」











「えっ…」










「それと…」








「それと…?」













「3年間楽しかった。ありがとね」











3年間ありがとう。








いつか水島に書いてもらったアルバムのメッセージにそうあった。











目を見開いた水島は、「こちらこそ」と笑っていた。














『初恋の幕を下ろすとき』

いやー、書きましたー。







現在作者は居間で寝転がりながら後書きを書いてます。





暑くなってきましたが、体調には気をつけていきたいですね!(建前)





では、閲覧ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後。最後に思いを主人公が無事伝えられたが、これで付き合うことにはならないっぽいところがすんごい現実感ありました。でもそれがいい味出してますね。 [気になる点] さすがに行間空けすぎなよう…
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